藤堂NOW!

藤堂NOW!特別篇
Dr.ンジャメナの 地理学講座「インド」

■インド
【基本データ】
面積:328.8万k 人口:93,574.4万人 首都:ニューデリー
言語:ヒンディー語、英語他 民族:アーリア系(72%)ドラビダ系(25%)
宗教:ヒンズー教(83%)イスラム教(11%)
気候:沿岸部は熱帯。ガンジス川中流は温帯。モンスーンの影響大。
平均気温:ニューデリー 14.2℃(1月) 30.9℃(7月)
年降水量:795.9mm
主産物:米・小麦・さとうきび・綿花・ジュート・茶
【解説講義】
藤堂さんは、いまごろインドにいるらしいですねえ。
そこで、今日は「カレーライス」を求めてインドをさまよう「旅行者」の目から、「インドの地理」をベンキョーしちゃいましょ!
これで、あなたも藤堂さんを疑似体験!

◆「インド・ルピー」のお札の秘密
「わーい!、ひゃっほー!!、インド到着だぜ! よっしゃああ、カレー食ったるぞ〜!!」

つーわけで、いきなり「ハイテンション」でインドに到着した旅行者。
カレー食うには「インド・ルピー」が必要。まずは両替所に向かわないとね。
窓口に行くと、イケてるインド人ねえちゃんが、お金を「インド・ルピー」にとっかえてくれます。ここでは、ちょいと、そのお札にご注目!

英語で「ルピー」って書いてあんのは分かるけど、あとはニョロニョロとしたわけのわからんミミズ文字がいっぱいだあ。
「英語もわかんねーのに、読めるわけねーだろ!」って声が、聞こえてきそうです。そりゃ、そーだ。

でもねえ、実は、このお札。16もの言語で書かれているのです!
インドは「多言語国家」で、公用語「ヒンディー語」、準公用語「英語」の他に、14もの地方公用語があって、ご丁寧にもお札には、それが全部書かれてるんだなー。「多言語国家」の典型例だね。

ま、かなしーことに、日本人にはどれも同じく、「ニョロニョロ文字」にしか見えないんだけど(涙)。


◆インドの牛とマクドナルド
「そんなのどーでもいいから、はやくカレーが食いて〜!」

てなわけで、いざ「カレーライス」を求めて、街に飛び出してみましょう。
インドの街では、牛がそこらじゅうに寝てます。
「野良犬」ならぬ「野良牛」が車道のど真ん中にエラそうに、のーのーと寝てて、車や人間はそれを避けて歩いてる。

「おいおい牛!、おまえらエラソーに、『何様』のつもりだ!」って言ったら、「牛さん」は言うでしょう。

「『神様』だよ〜〜ん!」

「な、な、な、なめてんのかあ、この畜生ぉぉ!」(まさに畜生だ(笑))とブチ切れたい衝動に駆られるかもしれませんが、押さえて、押さえて! ここでは牛さんが正しいのです。

インドは「ヒンズー教」が多数派。「ヒンズー教」では「牛」は神が宿る神聖な動物とされていて、今でも「牛殺し」は「母殺し」よりも罪深いと言われてるほどだとか。
だからインドでは、牛さんはとてもエラいのだ。

そんなインドにも、1996年に「マクドナルドハンバーガー」が初登場。
だけど、ハンバーガーにも「牛肉」は一切使われてないらしいっすよ。
鶏肉や羊肉や魚肉や水牛の肉で代用しているそうな。

「うーんジューシ〜。さすがビーフ100%!!」
なんつーコピーは、この国ではまずいっすねえ(笑)。
そんなことしたら、インド人を敵に回すことになっちゃうからね。


◆「カレーライス」物語
さて、街をさまよっても、「カレーライス」には一向にめぐり合えない。
「どーして?どーして?」そんなあなたに、ここで衝撃事実を。

週刊誌見だし風に言うと、

ジャジャーン♪、衝撃スクープ!
「旅行者号泣!、インドにカレーライスは存在しない!!」

な、なにぃ〜!、「インドといえばカレーライス」っつーのは、もう日本人にとっちゃ「宇宙の常識」のはず!!
もちろん、インドには香辛料をつかった料理はありますよ。
だけど、日本でいう「カレーライス」は無いのですよ。
だって、あれはインドから日本に伝わったんじゃないんだから。

そこで「カレーライス」の複雑な物語をご紹介。

カレーライスは、「インド→ヨーロッパ→日本」と伝わっていくうちに、本家のものとは別物になっちゃったんです。

「カレー」の語源は、南インドの「タミル語」で「煮汁」を意味する「kari」。
16世紀に交易にきたヨーロッパ人が、住民が食べてる汁状のものの名を尋ねて、住民は「汁だ!」と答えたらしい。
それが香辛料をつかった汁物料理の意味として伝わり、英語のcurryを経て、日本語の「カレー」の語源になったとか。

インドでは、そもそも「マサーラ」と呼ばれる、ターメリック、クミン、タマリンド等のスパイスを調合した調味料があります。
日本人が「醤油」を頻繁につかうのと同じく、インド人は「マサーラ」を頻繁に使う。

1772年にイギリスのインド総督が、その「マサーラ」を本国に持ちかえり、それをイギリス人の口に合うように「シチュー」と合体させて、小麦粉をつなぎにつかった「カレー」が誕生。ビクトリア女王に献上したとか。

その「カレー」が明治時代の日本に入ってきて、当時の「丼物ブーム」(つーのがあったそうな。)によって、ご飯の上にドロドロのカレーをぶっかける、現在の「カレーライス」が出来あがったのでした!

だから、インドのカレーは日本の「カレーライス」とはぜーんぜん違う。
サラサラしてるし、日本人が「醤油料理」と言わないのと同じく、「カレー料理」なんてものもないのだ。

「インド→ヨーロッパ→日本」と、「通信芸人」のように旅してるうちに、アレンジにつぐアレンジで、「別物」になっちゃったわけだ。
藤堂さんや、のりさんも日本に帰ってきたら「別物」になってたりして(笑)?

まあ、てなわけで、日本の「カレーライス」には、マジで「インド人もびっくり!」なのです。(これって古い?)

そんじゃ、また〜。

毎回勉強になりますね! “日本人が「醤油料理」と言わないのと同じように「カレー料理」なんてものもない”なんて、まさに衝撃の事実!!

藤堂さんのホームページ
http://www.t3.rim.or.jp/~todd/vol3.html

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