マダガスカル日記
その8 2000年12月27日


サルの研究者の事務所はベレンティのコテージから車で3分ほど。徒歩15分くらいの場所にあった。 彼女はMiss.souma。原猿の生態の研究のためこの森に住んでいる若くてたくましい日本人女性だ。

初めて会うのにアポもなしに訪ねたのだが、ここベレンティのことをこと細かに教えてもらった。

彼女は親のいない小猿を育てていた。僕がおじゃました日、 その小猿が亡くなった直後で「落ち込んでいた」とのこと。昔、小学生の頃、 道端で鳴いているスズメの子供を拾い、家で育てようとあれやこれやと与えようとしたが、 何も食べずに死んでしまったことを思いだす。

僕らはシルベスターの家へ遊びに行った。ベレンティには村があった。 シルベスターはそこに住んでいたのだ。村は砂まみれの西部劇に出てきそうな中にある。

彼の家はキオスクをやっていて、コーラや食料・雑貨などを売っている。 訪ねると歯が少ないお母さんが出てきてにっこりと笑った。 彼の部屋は4畳半程の一部屋の木造りの一軒屋。一部屋だけの家になっている。

中にはベッドやら椅子机があり、その日は部屋に17歳の奥さんの友達とその友達の子供、 シルベスターの友人などが集まっていた。僕らは歓迎された。 Miss soumaはここに来て(確か)5ヶ月だというのに、村の人たちから信頼も厚く受け入れられていた。

家の周りには子供が集まってきて、部屋の中の様子を覗いている。時々、 その子供達をどこかのおばちゃんが追い払う。

デジカメで写真を撮ってその場で見せたら、シルベスターがげらげら笑った。 なんでおかしい?と聞くと、シルベスターの友人の目が赤く光っていて、 それが昼間見たブラウンキツネザルとそっくりだったのだ。

つづく

写真はシルベスターの家に集った人たち


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