Dr.ンジャメナの「地理学講座」


「通信芸人」も続々登場し、にぎやかになってきましたねえ。
「でも、いったいスーダンとかエチオピアって、どこじゃいっ!」とお嘆きの貴兄も多いはず。そりゃそーだ。
そんなみなさんに送るのがこの「地理学講座」。おいらが、やさしく解説しちゃいます。

■スーダン共和国

【基本データ】
面積:250.6万k 人口:2809.8万人 首都:ハルツーム
言語:アラビア語(公用語) 民族:アラブ人(75%)ナイロート
系黒人(25%)
宗教:イスラム教72%(北部)、キリスト教
気候:北部は砂漠やステップで乾燥。南部はサバナ気候(Aw)。
平均気温:ハルツーム22.6℃(1月) 31.8℃(7月) 年降水量:135.8
主産物:綿花

【解説講義】

突然だけど「連想ゲェ〜〜〜ム!!」
「スーダン」で思い浮かべることをいくつでも挙げてみてくれぃ!
  
「す、す〜だん?・・・・ #♂★※☆£¢!」

こりゃ、普通ワカンナイよね。
これでスラスラ「連想」できた人、あんた何者?(笑)
まったく、マリとかスーダンとか、このコーナーの「通信芸人」は「辺境」ばっか行ってるから、読者もついてくのが大変だぜ(笑)。

ハルツーム・コプト教会
ハルツーム・コプト教会
スーダンは、「アフリカで一番でかい国」で、エジプトの南にあります。
国の中央を、南北にナイル川本流(白ナイル川)が流れ、支流の青ナイル川が、首都のハルツーム付近で合流。
藤堂さんは、ナイル川沿いに、エジプトから南下してきたわけ。
この国は、北部と南部が全然違うところに特徴があります。

北部は「砂漠地帯」。TVの「電波少年」でパンヤオが「脱水症状」になっちゃったのは、ここらへん。暑くて乾燥してるんだ。
乾燥がひどいので、ハルツーム周辺の「ゲジラ地区」では「ゴジラ攻撃計画」ならぬ「ゲジラ灌漑計画」という「怪獣」みたいな名前のプロジェクトで、綿花を作ってます。住民も「アラビア人」の「イスラム教徒」が大多数でアラブの匂いがプンプンしてる。

それに比べて南部は「熱帯地方」で、「黒人」が住んでます。
てなわけで、「北部」と「南部」は全然違うので、対立は壮絶。
内戦やゲリラ活動が激しく展開されてるのが現状なんですよ。

そんななか、'89年のクーデターで、「北部」の「イスラム復古」を掲げる勢力が政権について、「イスラム法」にもとづくバリバリの「イスラム原理主義」の国づくりをはじめちゃった。そんでもって過激な路線をまっしぐら。世界各地の過激なイスラム教徒を支援してるとのうわさも・・・。

アメリカはそんなスーダンが気に入らないから、「テロ支援国家」と指定。
「エジプト大統領暗殺未遂事件」もスーダンが関与してるとこのことで、国連安保理は「スーダン制裁」を決議。最近も「アメリカ大使館テロ事件」との関連で、アメリカがスーダン国内を「ミサイル攻撃」したり、とかなり政治的には、緊迫してるんです。

藤堂さんはそんなスーダンで、「やさしさにつつまれ」てきたのですよ。
住んでる人のひとりひとりは、ホントはいいひとなんだね。
さて、これでもう「連想ゲーム」に出てもOKだぜ。(出ねーか?)

■エチオピア連邦民主共和国

【基本データ】
面積:110.4万k 人口:5,667.7万人 首都:アディスアベバ
言語:アムハラ語・英語(公用語)他、民族:アムハラ族30%他 
宗教:キリスト教コプト派(国教)55%、イスラム教35%。
気候:中央部のエチオピア高原は高山気候(H)で気温の年変化少
ない。
    まわりの低地はサバナ気候(Aw)やステップ気候(BS)

平均気温:アディスアベバ15.8℃(1月)15.4℃(7月) 年降水量:1,199.6
主産物:コーヒー

【解説講義】

またまた「連想ゲェ〜〜〜ム!!」。
それでは第2問はこちらっ。「エチオピア」だ!

・・・「陸上のアベベ選手?」「あとねえ。アトランタ五輪のロバ選手!」「イカンガーとかいう選手もいなかったっけ?」

こういう「連想」をした人もかなりいるはず!
「エチオピア」は「スーダン」と違って、まだ連想しやすいよねえ。

「アベベ選手」と「ロバ選手」は大正解!
だけど、「イカンガー」と答えたそこのオトーサン、残念でした。「イカンガー」は「タンザニア人」なのだあ! その辺混乱しないでね。
エチオピアは高原状の国なので、首都のアディスアベバで標高2360m。
これじゃ、年中「高地トレーニング状態」。どーりで長距離に強いはずだ。

エチオピア・ラリベラの岩窟教会
エチオピア・ラリベラの岩窟教会
さて、このエチオピア、実は「アフリカ最古の独立国」です。
ちょっと前に皇帝が退くまで、同じ系統の王室が2000年くらい続いていて、そういう例は、世界では日本とエチオピアしかない、と言われてました。

エチオピアで変わってるのが、宗教事情。
「コプト教」が「国教」とされてます。「コプト教」っつっても聞きなれないよね。
これは古い時代の「キリスト教の一派」で、「コプト」とは、ここらへんの言葉で「エジプト」という意味。まだイスラム教が伝わる前に、エジプト経由で伝わってきたんで、こんな風に呼ばれてるわけ。

この「コプト教」は、エジプトやスーダンなどでも信仰されていて、藤堂さんも、スーダンのハルツームのコプト教会を絶賛してるよね。(「wwm第15回」参照)、でも、スーダンはイスラム教が多数派なのに対して、エチオピアでは「コプト教」が「国教」になるほど厚く信仰されてるんですねえ。

最近のエチオピアといえば、「エリトリア」の「分離独立」が重要。
'93年に「イスラム教」を信仰する「エリトリア」地域が「分離独立」したのだ。人間で言えば「離婚」だね。
「宗教が違うから、あなたとはうまくやってけないの」っつーのが、「離婚原因」だけど、もっと根が深くて、そもそも「結婚」自体にも問題があった。

イタリアの植民地だった「エリトリア」は、'52年にエチオピアと「連邦」を結成。
だけど、次第に「自治権」を奪われ、'62年にはついに完全にエチオピアに「併合」されちゃったのです。まあ、強引に「結婚」しちゃったようなもの。
そんな「エリトリア」としては、「ちょいと話が違うじゃないのよ〜。やってらんないわよ!」てなわけで、ずっとずっと「離婚」したかったわけです。
そりゃ、そうだわな。そこで、'93年にエチオピアの「政変」のドサクサを契機に、「エリトリア」は念願の「離婚宣言」をしたわけだ。オトーサン、オカーサン、お子さんの世界地図をチェックしてみてね。世界は動いてるぜぃ!

だけど、エチオピアとしてはまだ「未練」があるから、両国はまだドンパチと散発的に戦闘していて、まだくすぶってるんですよ。「離婚」問題は大変だからね。
藤堂さん滞在中にも、国境地帯で戦闘があり死傷者が出るような状態。
そこで、日本政府から「渡航延期勧告」が出たわけっす。

そーだ、あと、エチオピアといえば、実は、コーヒーの「原産地」なんですよ。
南部の「カッファ地方」(Kaffa)が原産地とされていて、それが語源となったとか。「カッファ地方」には、コーヒーの木がアチコチに自生しているそうな。
これで、あなたも「ものしり博士」(笑)!どっかでさりげなく「マメ知識」を自慢しよう。

うおおお、今日はたくさん勉強しちまったぜ。
そんじゃ、今日の講義はここまで〜。


事務局の声

コーヒーの「原産地」がエチオピアだとは知りませんでした。「カッファ地方」ですか…、いくつになっても勉強ですねぇ。

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