土の人形をちょっとずつ動かしてはコマ撮りし、 まるで生きているかのように見せるクレイアニメだが、 スタッフの苦労は並大抵ではない。 　映画のフィルムは一秒24コマ。わずか3秒の映像を撮影するにもまる一日かかるというから根気がないとやっていられない。 　今回撮影されたのは、なんと11万5千コマ以上。完成までに5年もの歳月が費やされた。クレイアニメの素朴で温かい質感には、涙ぐましい努力が隠されているのである。 代はCG全盛時代。クレイアニメの手作り感が 本領である本作にも、CG技術は使われているが、 どこがCGでどこがクレイ人形なのか、見分けられる観客はほとんどいないに違いない。　例えば、野菜畑を荒らすかわいらしい ウサギたちの多くはＣＧで描かれているのだが、「ウォレスとグルミット」の世界観を壊さないために、粘土特有の凸凹や表面に付く指紋の跡までも表現！ 　作品を愛するがゆえのコダワリには、ただただ脱帽。