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今回で連載も4回目。50代で海外旅行デビューを過酷なアドベンチャーで飾った、辻里江さんの体験談を旅日記からご紹介しています。出発前から体調不良を感じながらも旅をスタートさせ、慣れないテント生活や疲労で万全のコンディションではなかった辻さん。しかし、様々な経験を通してツアーメンバーに支えられながら何とか旅を続行し、ようやくこのツアーを心底楽しめるほど余裕がでてきました。今回も涙を流した辻さんですが、今までとは違うようです。どんな感動があったのでしょう? ※ 「FOOTLOOSE ウェスタンドリーム」ツアーとは 北米のアドベンチャーツアーでは32年の歴史を持つトレックアメリカ社が主催するツアー。世界各国・さまざまな年齢層の参加者が少人数(13人以下)のグループで、経験豊富なツアーリーダーの下、改造したミニバスでキャンプをしながらヨセミテ、ザイオン、ブライス、グランドキャニオン等の国立公園やインディアンで有名なモニュメントバレーをハイキング中心に冒険するツアー。基本料金は$1,000〜。 日本では潟Gクスプローラー「地球探検隊」にて販売。トレックアメリカに参加した経験豊かなスタッフが、参加者からの生の声も交えて対応をしている。(ツアー料金等のプログラム紹介は「世界の仲間と旅する」を参照下さい) 第8日目(10/1) レイク・パウエル ブライスキャニオンではトムも一緒に歩くらしい…少々安心。ブライスポイントから(8300フィート)この風景を見た時、"大自然の営みは一体なんであろう"と想像力を200%に膨らませても、私の小さな知恵、心、謎など問題にもしない大自然美であった。「エエ!!ここから下山し、このトレイルをたっぷり4時間かけ歩くのか?」とにかくトムを先頭に進む。スイス人達はもういない。「マイクが少々あぶないのでは…」やはり思った通りリタイヤ。私はとにかく行くゾ!ここで心身ともにリフレッシュした。気力が湧いてきた。どの岩柱もひとつとして同じではない!日々刻々と変化、秒単位で色も変化する。あまりにも唐突なブライスの出現で声も出ない。滝のような音の正体はこの何百何千という針の峰の間を吹き抜ける風の音。雨、霜という自然の彫刻でできたのである。静かに敬服の意あるのみと下山した。マイケルはやはりリタイヤしたようだ。 自分自身をどう励ましたのか憶えていないが、とにかく、ゆっくりゆっくり一歩を大切にし、積み重ねで登って行った。途中、幾度か休んで全景を見て驚き、感動し、また涙が出てくる。このようなことを繰り返し、トム達が待っていてくれてニッコリ。『ここから3キロあるが里江OK?待っていれば迎えに来るよ!』とトム。『とんでもない!私は最後まで歩き通すよ。』と私。スタスタ歩いていつの間にかひとりになった。なんとなく心細く、途中で道を聞くと良く理解できたので安心した時、ジェーン、ハイジ、ロダが私の後ろから『SATOE!』と声をかけてくれ、一緒に歩いていった。トム達が大パノラマのブライスキャニオンの駐車場で待っていてくれ、大きな拍手で私達を迎えてくれた。ザイオンの感動を上回るこのブライスキャニオンは力強く、嬉し涙が止まらなかった。幸せ最高! どこを訪れても、"観光旅行と旅をすること"の違いを教えてくれる。このツアーは自然と人間が一体となって初めて体験できる旅である。咳も、胃も回復し快調になってきた。嬉しい…。どこまでも続くドロンコ道、木々は美しく色づき秋を迎えている。山道2時間、誰ひとり文句も言わずすごい。"グレートな人々よ!" 今日はアラン、ハイジ、私が夕食当番。私はビールをご馳走した。アラン、ハイジの結婚記念日でヘレンが何か嬉しいプランを持っているようだ。7:00p.m.に全員でシャワー、ランドリー。本当にしっかりシャワーが浴びられたのはこの日が最初だった。その後に夕食、全員でアラン夫妻のパーティーを開いた。チョコレートケーキはバカデカでおいしくない。私も日本から持参した人形絵はがきとニオイ袋をプレゼント。ビッキーはとても喜び、私にキスをした。酒の勢いも入って、私もセレナーデを歌って拍手を浴びる。 第9日目(10/2) モニュメント・バレー インディアン居留地 7:30a.m.起床。レイクパウエルのキャンプ場のダムを見たが、大きすぎて写真には撮れない。11:00a.m.にインディアンのサンドストーンクレパスをトレイル。まさかこんな所にクレパスがあるとは。巨大な砂の塊が迷路のように下りていく、地下へ潜ること30分以上。ハシゴ、手すり、自力で何とかして動体移動をしながら下りていく。また、夢の世界が続く。12:00p.m.終了、$13は安いと思う程のアドベンチャーであった。 車中はロック、ソウル、ジャズがかかり、この2週間の旅だけなら決して大変ではないと思った。メンバー全員の優しい人柄に触れられ、56歳で味わう友情はどこから生まれるのか?大自然の中で育まれる自然体であったと思った。私達を大きく包んでくれた旅である。最高!! モニュメントバレーの目前にテントを張り、5:00p.m.まで自由時間。透き通るように青い空と赤茶けた広漠たる荒野のコントラスト。それを際立たせるかのように立つ、モニュメントバレーはユタ州とアリゾナ州の州の境界付近にある。ここはナバホインディアン居留地である。ビュート(残丘)に向かって座り、静かな大地と語り合ってこそ、彼らは偉大なる精霊の力を感じることができなのでは…ここはアメリカ映画の原点でもある。ビュートを後方に見ながら、ツアーのパンフレットを思い出し、思わず大声で『トム、この風景はあなたの持っている本の表紙ね』と言ったら、バンのルームランプをつけて『ピンポーン』を言ってくれ、私は本当に舞い上がるほど嬉しかった。やはり事前の勉強は必要であった。素晴らしい風景の中、私の心が一層豊かになったようだ。素晴らしい時が流れた。 そのトレックアメリカの表紙をのままの風景の中を、私達の一台のバンのみが走行していく。もの凄い雨、遠くでは稲光が見える。砂煙を上げ、ガーゼを被せたような風景に合わせたのか、すでに2時間走行中のバンの車内に流れる曲は、インディアン音楽(最高の選曲)だ。雷は遠くでいつまでも鳴っている。日々、どこまで私達を感動させてくれるのか、このツアーは!!いや、ここはトムの感性に感謝! |
● FOOTLOOSEツアーは現地の状況やツアー参加者の意見を反映させるため、出発前のツアー旅程はあくまでも大枠をつかむための予定として作成されている。実際、辻さんのツアーも現地の状況に合わせてフレキシブルに進んでいる。 |