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50代で海外旅行デビューを過酷なアドベンチャーで飾った、辻里江さんの体験談を旅日記からご紹介します。体調を崩してから気力までも失いつつあった辻さんでしたが、ようやくキャンピングの生活にも慣れ、自ら英語でツアーメンバーを笑わせるまでに打ち解けるまでに。涙を流しながらも、ひとつずつ苦難(?)を乗り越えた辻さんの体調と心の変化が旅日記から見えてきます。 ※ 「FOOTLOOSE ウェスタンドリーム」ツアーとは 北米のアドベンチャーツアーでは32年の歴史を持つトレックアメリカ社が主催するツアー。世界各国・さまざまな年齢層の参加者が少人数(13人以下)のグループで、経験豊富なツアーリーダーの下、改造したミニバスでキャンプをしながらヨセミテ、ザイオン、ブライス、グランドキャニオン等の国立公園やインディアンで有名なモニュメントバレーをハイキング中心に冒険するツアー。基本料金は$1,000〜。 日本では潟Gクスプローラー「地球探検隊」にて販売。トレックアメリカに参加した経験豊かなスタッフが、参加者からの生の声も交えて対応をしている。(ツアー料金等のプログラム紹介は「世界の仲間と旅する」を参照下さい) 第5日目(9/28) ザイオン国立公園 ハイキング・マウンテンバイク デス・バレーの190号線から160号線へ。昼食後すぐ車に乗りザイオンへ向かう(国道15号)。よーく食べた人達はぐっすり昼寝、私はロダとおしゃべり、冗談も話せ車中が楽しい。ソルトレイクシティーまで(320マイル)標識があり、ザイオンに入ったのか?長いトンネルをくぐる。この巨大な岩群にオドロク。昼食をたっぷり取ることが必要であることを思い知る。9:00pm過ぎにならないと夕食にありつけないこと、日々のアクティビティー、300キロ以上のドライブを考えると体力がもたない。多方面に渡り、"考える力"がついた。夕食後、キャンプ場でトレック社の4ツアーが集まり、大きなキャンプファイヤーを囲み、時の流れるままに暖を取っている。ファイヤーを見ていると不思議な気持ちになってくる。月が空が全てが澄み切った大気、大自然の中で幸せ。 第6日目(9/29) ザイオン国立公園 レイクパウエルで1日浜辺を楽しむ。レイクパウエルの風景は美しすぎて私の持ち合わせの言葉では表現できない。リーダーのトムの友人がこの近くにいて、彼らのジェットボートで遊ぶのだ(1人約$40)。空は真っ青、日焼けせよとばかりに照っている。砂浜はパウダーサンドで歩くととても気持ちの良い感触が足の裏から全身に伝わってくる。各自がそれぞれの時間を大切に過ごしている。私もロダと一緒に日焼けを楽しむ。今晩はレイクパウエルを見ながらのバイキングだ。バンから水を降ろす時に入れ物ごと落としたり…疲れと共に自分自身がいやになる。日本を離れすでに34日目、日本へ手紙を書く度に涙が頬を伝わる。英語のシャワーにも慣れたのに…。トムの用意してくれたバイキングは本当においしかった。 第7日目(9/30) ブライス・キャニオン国立公園 ハイキング 8:00am朝食をテントの近くの店でとる。水を積み、バンに乗る。山中までトラックで行き(1995m)ここからザイオンの岩山を下山するのだ。先発隊が一生懸命歩いて行ってしまった。私を含めた他のものがゆっくり歩いて行く。歩き始めの頃は汗が出たり、動悸が激しく少々心配になったが、30分位で日常生活の歩みができることがわかり、とても嬉しく、とにかく嬉しくゆっくりと散歩のように歩いてみた。森林浴の様にさわやかな森の中を歩いている。これだけで体力と気力の充実していることに感謝しながら、馬の声、見たこともない小動物を見ながら歩く。4時間かけ、トムのバンが見えてからの大岩、巨大岩は本当にすごい。言葉で表現してもやはり体験以外ないと思うほど、このツアーの初体験は私にとって体力、気力の中から生まれる感動でもあった。ザイオンを歩いたことが、これからの一番の気力につながった。ツアーが始まって1週間、英語のシャワーの中でもひとりで行動できることも、全て人間は環境の中に入ってしまえば何とか自分流に行動できることにも気付いた。体力の弱った所からスタートした私には、何でも感謝感謝に心が変化していった。"次回はもっとアクティビティに参加する"歩行中に自分に言い聞かせた。ザイオン公園で3時間の自由時間があった。トムも1週間目に入り、しっかり疲れている。ヒゲづらで芝生に寝ころんでいる。私はポストオフィスで切手を買っては、今の感動を手紙にしたためていた。涼風のなかでみんなに疲れが出始めていた(要注意)。 日々の予定を聞いて行動するのが精一杯の私は、久しぶりにアイスクリームを食べる自分の"力"に涙が出てくる。人間、無力で異文化の中で日々24時間生活すると、何かにつけ自分の状態がはっきり理解できることを生まれて初めて思い知らされる。その状態で、アイスクリームを食べる気力に涙するとは…何でもない日常生活に、言葉の違いと時間軸の違いにどんなに戸惑ったか…その度に何も失敗と思わなくてもいいのに…。無力を知らされるのは、些細な日常生活の違いなのだ。 |
● FOOTLOOSEツアーは現地の状況やツアー参加者の意見を反映させるため、出発前のツアー旅程はあくまでも大枠をつかむための予定として作成されている。実際、辻さんのツアーも現地の状況に合わせてフレキシブルに進んでいる。 |