シニア海外ロングステイ タイ編
第5回目 チェンマイ県でのロングステイ実例
増成 ヒトミ


map "北方の薔薇"とも称されるチェンマイ県は、旧ランナー王国の首都として知られ、街のあちこちに古都の面影を残している。バンコクから空路で約1時間、陸路では約8時間。年間平均気温は約25度と、バンコクより3度ほど低いことから、過ごしやすい気候が外国人観光客にもにも好まれている。今回はこのチェンマイにロングステイされている方の実例をご紹介したい。



shrine photo 北海道出身の金子正行さん、英子さんご夫婦(共に54歳)は定年より6年早く退職して、今年の6月からチェンマイ県でロングステイを楽しんでいる。住まいは県の中心部に近い11階建てのマンションで、家賃は月に15,000バーツ(約42,000円)。キッチンの設備が日本のようにいかないのが難点だが、広さは約100uで、バンコクと同じ広さの物件と比較すると家賃は割安だ。空港からは車で約15分で、チャオプラヤ川の支流ピン川に近く、緑に囲まれた環境といえる。

ほぼ毎日、ご夫婦は散策を兼ねて近くのタイ料理や中華料理のレストランに昼食に出かけている。また2〜3日に一度の割合で、エアポートプラザやセントラルデパートにも足を伸ばす。普段の買い物はこの2店に加え、マンションから歩いて7〜8分のリムピンマーケットで済ませている。バンコクの日系スーパーのようにはいかないが、必要なものは大体揃う。今は自家用車がないので行動範囲が限られてしまうが、車を購入すればゴルフやドライブなどにも出かけたいと正行さんは言う。

現在は退職金を遣いながら日々の生活を送っている。60歳になって年金が支給されるまではその予定だ。来た当初は洗濯機や電子レンジといった家電製品を購入したので出費がかさんだが、今後は家賃を含めて月に11〜12万円の範囲で収めようと考えている。英子さんは日本が夏の間は日本で過ごし、冬になったらチェンマイで過ごそうと決めている。一方、正行さんは「帰りたくなったときに帰ればいい」と、特に予定は決めていない。

shrine photo 正行さんが過去に旅行して一番気に入ったというチェンマイは、バンコクに比較して緑と花が多く、交通渋滞もなく、空気もきれいな住み易い街だ。ソンテウと呼ばれる乗り合いバスに乗れば、他の乗客が笑顔で挨拶してくれるなど、ほのぼのとした気持ちにさせられることも多い。しかし、観光地とはいえども地方都市ゆえに、バンコク以上の語学力が必要とされるが、片言の英語や身振り手振りで何とか意思の疎通はできる。難点は公共交通機関と呼べるものがなく、市内のお堀の外周を走るバスが最近復活したようだが、庶民の足と呼ぶにはまだまだ時間がかかりそうだ。

最後に、金子さんご夫婦より、これからタイにロングステイする人たちへのアドバイスを頂戴した。

「私共夫婦はいつも『なるようになるさ』、こんな調子で日本で生活してきました。何事も行動を起こさなければ今のままです。タイに来ても何とかなるもんですよ。50歳過ぎてからのチャレンジも楽しいです。失敗しても日本に帰ればいいんですから」。


(参考)
・チェンマイ専門の情報サイト[サワディーチャオ チェンマイ]
…チェンマイの物価などの情報が掲載されている。
http://www.sawadeechao.net

(取材協力)
・ロングステイコンサルティング(タイランド)株式会社
http://www.longstayconsulting.co.th/


<作者紹介>
増成 ヒトミ
97年からバンコク在住。スペースアルク「ヒトミのバンコクな毎日」、キレイコム「世界のキレイ・タイ編」、ウェブコラムマガジンのらり「挨拶は『もうごはん食べた?』」など好評連載中。
ご意見・ご感想は、編集部へ info@stepup.co.jp



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