シニア海外ロングステイ タイ編
第2回目 年金とロングステイ
増成 ヒトミ
海外でのロングステイを思い立ったときに、気になるのは資金の問題。定年退職して年金受給で生活している人たちにとっては、「具体的にいくらあれば現地で生活ができるのか」、「海外に住んでいて年金が受給できるのか」というのは気になるところ。前回に引き続き、ロングステイコンサルティング（タイランド）株式会社の佐藤裕代表にお話を伺った。
●タイ・バンコクでの１カ月の生活費の目安を教えて下さい。様々なライフスタイルの方がおられまして、２カ月に１度の年金額は17,000バーツ、生活費は15,000バーツ以下という方から、共済年金と厚生年金を合わせて21万バーツ、生活費は10万バーツ以上と様々です。平均的には２カ月に１度の年金受給額が10万バーツ、１カ月の生活費が35,000〜40,000バーツの方が多いようです。
（※１バーツ＝約2.8円／2003年6月24日現在）
●国民年金のみの受給でも、タイでのロングステイは可能ですか。
ビザに関する自己保証として他に資金がある方なら可能です。年金だけでリタイアメントビザを申請する場合、タイ政府が要求する１カ月あたりの年金額は65,000バーツ以上で、国民年金だけを拠りどころとする方々は対象外になっています。私の知る中では、国民年金だけを原資にロングステイされている方はいらっしゃいません。
●年金生活者でない場合のロングステイの例を教えて下さい。年金受給年齢に達していない方で、50歳を期にリタイアメントビザを取得されるようなケースでは、
１）今までの預貯金や資産を売却して全財産を投入して移住するケース
２）早期退職割増金等の制度を利用して年金受給年齢まで"つなぎ"の資金にするというケース
-という２つのケースがあります。
●日本で支給される年金を海外でどうやって手にしたら良いのでしょう。
社会保険庁に規定の用紙「年金の支払を受ける者に関する事項」、公務員等共済組合の年金は「受給権者異動届（海外分）」を提出します。いずれの書類も海外への住所変更と受け取り金融機関の変更が同時にできます。どちらの場合も税務署の様式９「租税条約に関する届出書」２枚と在留証明書（http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/zairyu/）１通を併せて提出します。「金融機関、口座番号を確認できる書類」を要求される場合は残高証明書と通帳のコピーで対処します。
受け取り先金融機関には、タイのローカル銀行の口座を持つことが一番便利です。キャッシュカードの使い勝手、支店やＡＴＭ機（現金自動預け入れ払い機）のネットワークの多さ、スケールメリット、日本に支店があること等を考えると、バンコク銀行（Bangkok Bank）が一番優れていると思います。年金の支払者に上記の届けを出すと、タイのご自分の口座に年金の支払日の２〜３日後に振り込まれてきます。
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■ローカル銀行での口座の開設方法 身分証明書としてパスポートの他に労働許可証（Work Permit）の提示を求められる場合があるため、リタイアメントビザでは口座開設できない場合がある。が、銀行や窓口の担当者によっても対応が異なるため、開設時に窓口で問い合わせることが必要だ。なお、インターネットバンキングができる銀行も多いため、口座開設をするときに同時に申し込んでおくと便利だ。 なお、日本国内の銀行の口座を使って、海外でその口座から現金を引き出すということもできる。詳しくは各銀行のホームページへ。
・みずほ銀行「インターナショナルキャッシュカード」
http://www.mizuhobank.co.jp/start/international/index.html
・ＵＦＪ銀行「インターナショナルカード」
http://www.ufjbank.co.jp/service/cashcard/cai_annai_f.html
・東京三菱銀行「インターナショナルカード」
http://www.btm.co.jp/tsukau/card/itncard/index.htm
・シティバンク「ワールドキャッシュカード」
http://www.citibank.co.jp/basic/wcc/index1.html （参考・すべて英語サイト）
・バンコク銀行（Bangkok Bank）
http://www.bangkokbank.com/Bangkok+Bank/Main.htm
・タイ農民銀行（Kasikorn Bank）
http://www.kasikornbank.com/GlobalHome/0,1083,-EN-1,00.html
・アユタヤ銀行（Bank of Ayudhya）
http://www.krungsri.com/eng/index.htm
・サイアム商業銀行（Siam Commercial Bank）
http://www.scb.co.th/eng/eng_main.shtml
・グルンタイ銀行（Krung Thai Bank）
http://www.ktb.co.th/cgi-bin/frontweb/eng/index.pl
・タイ軍人銀行（Thai Military Bank）
http://www.tmb.co.th/tmb_eng/personal_banking/personal_banking.html |
（取材協力）
・ロングステイコンサルティング（タイランド）株式会社
http://www.longstayconsulting.co.th/
http://www.longstayconsulting.co.th/
＜作者紹介＞
増成 ヒトミ
97年からバンコク在住。日系の会社に勤務するかたわら、ライターや翻訳業をこなす。スペースアルク「ヒトミのバンコクな毎日」、キレイコム「世界のキレイ・タイ編」など好評連載中。
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