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F 1 速報  F1GP 第15戦 アメリカGP9月24日
涙のVから2週間、M・シューマッハ−がポール・トゥ・ウィンを決めた。これで今季7勝目、ポイントでリタイアしたM・ハッキネンの80Pを抜いて、88Pに伸ばした。また2位は盟友のR・バリチェロ。フェラーリ追い風の1−2だ。


 根拠はいくつかある。まずひとつ。バリチェロの存在だ。フェラーリでシューマッハとコンビを組むバリチェロは、フェラーリからの「チームオーダー」を受け、シューを王者にすべくコース上でのサポート役に回っている。実際、バリチェロの献身的な援護射撃を受け、シューマッハがチェッカーを受けたレースはいくつかある。絶対的な関係に、垣根を取り除いた瞬間があった。7月末・ドイツGPでのこと。地元の声援を一身に受け、シューは2番グリッドからスタート。が、後ろから追突を受け、あえなくリタイア。ハッキネン、クルサードのマクラ−レン勢が、ポイントを詰めるチャンスとなった。そこで待ったをかけたのが、バリチェロ。124戦目にして初の優勝を勝ち取ったのだ(これは最長記録、今まではハッキネンの97戦目Vが最長。ちなみにシューは18戦目で勝利の美酒を浴びた)。このレース後、シューマッハは、バリチェロの勝利を我がことのように喜び、祝福した。シューマッハはバリチェロとの抱擁で「マイケル(シューの愛称)をなんとしても王者にしたい」とナンバー2に思わせたのだ。

ミハエル・シューマッハ(ドイツ)
ルーベンス・バリチェロ(ブラジル)

 では、ライバルとなるハッキネン&クルサードはどうだろうか。そもそもマクラーレンには「チームオーダー」という概念はない。あくまでその日調子のいいものが前を行く、チャンプ争いのために、ナンバー2がナンバー1に順位を譲るということはないのだ。しかも、V3を目論むハッキネンと、クルサードはポイントは13P差(第13戦終了現在)。ドライバーズタイトルの可能性が十二分にあるクルサードが、わざわざハッキネンにポイントを譲るとは考えにくい。さらに言うと、ハッキネンがすでにV2を果たしているのも、『シュー本命』説の大きな要因となる。50年を超えるF1史を見ても、V3以上の連続王座を獲得したドラ イバーはJ・M・ファンジオただひとり。ドライバーとしての実力、さらに最強のマシンを手に入れても、連続優勝というのは難しいのだ。たとえば、王座は取るより、守り抜くほうが難しいとはボクシングで言われる言葉だ。また、Jリーグを見ても、1stステージ、2ndステージを完全優勝を果たしたチームは未だいない。競技が違う、と言っても「タイトル」を獲った安心感がハッキネンにないとは限らない。

デビッド・クルサード(イギリス)
ミカ・ハッキネン(フィンランド)
 また、フェラーリのバックアップ体制も万全だ。イタリアの名門チームは、年間200億円を超える莫大な資金を投入していると言われる。一昨年、シューVSミカのタイトル争いとなった日本GPでは、フェラーリはその一戦のために、60億円というビッグマネーをつぎ込んだとさえ噂された。言いたいのは、金額ではなく、それだけの金をつぎ込んでもフェラーリはタイトルを渇望しているということ。すでに2年連続ドライバーズタイトルを獲得しているマクラ−レンが、「すべてを注ぎ込んでもタイトルを…」と思えるかわからない状況を考えれば、やはりフェラーリに分がある。

 そして最後にして、最大の根拠。ミハエル・シューマッハが、最速にして最強、現役ナンバー1ドライバーだからだ。V2ドライバー、ハッキネンもたしかに速い。しかし、シューがナンバー1であることは、誰しもが認めていること。また「お金」の話でちょっと下世話だが、シューの年棒は40億円(推定)を超えている。ミカの倍以上と言われているのだ。この事実がふたりのドライバーとしての値段を雄弁に語っているとは言えないか。ナンバー1ドライバーが、ナンバー1ドライバーであることを証明する。ミレニアムF1のクライマックスはそんな順当な結末を予感させる。

撮影/竹内英士(スタジオ・ビス)



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