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「大将浪漫」週刊サッカーダイジェスト連載コラム

 連載第65回 【今週のキーワード】監督交代、俊哉

  今季のJリーグで、早くも監督交代劇があった。神戸は松永英機監督を解任して、ブラジル人のエメルソン・レオンを新たに招聘した。Jリーグは昇降格があるから、チーム成績がクラブ運営に影響を及ぼす。その意味では、日本のプロ野球のような昇降格がない環境に比べて、このようなシーズン中での監督交代劇が多くなる。

  ただ、指揮官を代えるとともに、クラブが未来へのビジョンをしっかりと描かなくては、慢性的に厳しい状況が続くと思うんだ。僕は神戸の内情を知らないからはっきりとしたことは言えない。ただ、いまだに漠然とした不安が、このチームにはあるよね。シーズン中に監督を代えるのは影響が大きい。その点で、今回の神戸の場合は、ちょっと監督交代の判断が早かったかなと感じる。

  オーナーの意向が反映されているという点では、ヨーロッパのクラブ事情と似ているのかもしれない。「莫大な金を出しているのだから、現場にも口を出す」というオーナーは、世界中にたくさんいる。この点では、神戸には今までの日本的な体質にはない空気を感じる。

  ここからは個人的な意見。チームを作るのには時間がかかる。だから、僕はシーズン中での監督交代は極力避けるべきだと思っている。例えば京都は、ハシラさん(柱谷幸一監督)が昨季途中から指揮を執ったけど、チーム成績が劇的に向上することはなかった(2004年シーズンは5位)。でも、今は力をつけて、J2リーグで首位を走っている。安定したチーム作りには、ある程度の時間が必要なんだ。

  確かに指揮官を代えなきゃいけない状況ってある。例えば、当事者である監督に自信がなくなった時。そして、選手の信頼がなくなった時。これを取り戻すのは難しい。そんな場合はチームをリフレッシュさせる必要はあるよね。ただ、リフレッシュさせたからといって、すべてが好転するわけでもない。

  今、Jリーグの監督は僕のひとつ上の世代の方々が務め始めている。前述のハシラさん、それに反町さん(新潟監督)、健太さん(長谷川健太。清水監督)、都並さん(仙台監督)……。僕も今、指導者を目指そうとしているところ。そんな自分の境遇を考えると、今回の神戸の監督交代劇は、「もう代えるの!?」と思ってしまうんだよね。

  話は変わって、藤田俊哉(磐田)のこと。今の彼の立場を考えたら、移籍も仕方ないと思う。確かに彼の年齢を考えると、若い選手にいろいろと教えて、自身は黒子役に回るのも大切な仕事だと思う。ただ、そうなると、必然的に出場機会が減ってくる。でも、それは嫌だと判断したんだろう。一選手としてプレーしたいと思うなら、新天地を求めるのは当然のこと。だって彼は、今でもバリバリの日本代表選手なんだからね。

  もやもやした状態でプレーしているなら出たほうがいい。ジュビロにとっては黄金期を築いて、サポーターにも支持されている大切な選手だから、彼を放出するのは苦渋の決断だとは思う。ただ、俊哉が移籍を決断したとしても、その選択を責めることはできない。彼にしてみたら来年のワールドカップ出場も視野に入れているはずで、そのためには所属クラブでしっかりと試合に出ていなくては代表監督にアピールできない。

  今、彼には4チームからオファーがあると聞いている。自身を欲してくれるクラブがあることは選手冥利に尽きるよね。また、俊哉のキャラクターはどのクラブでも貴重な存在になるだろう。もちろん技術面は然り。なによりジュビロ磐田という常勝軍団の一員として築いた“勝者のメンタリティ”は、チームに大きな影響を及ぼすはずだ。それを仲間に伝えられれば、全体的なチーム力も格段にアップすると思う。
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