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「大将浪漫」週刊サッカーダイジェスト連載コラム

 連載第58回 【今週のキーワード】最終予選

  2005年の日本サッカーは楽しみが多いね。僕のなかではドイツ・ワールドカップの最終予選が一番興味ある。どの試合も緊迫した試合になると思う。そんななかで日本代表がどのくらいやってくれるのか。興味は尽きない。

 僕は94年アメリカ・ワールドカップのアジア最終予選に出場した。そのときは、日本サッカーのためにという気構えがあったね。Jリーグができたばかりで、盛り立てなきゃいけないという思いもあった。いわゆるサッカーバブルの時期だった。それまでの日本はアジアを勝ち抜けるようなチームではなかったのに、急にワールドカップ出場を期待されるようになった。だから、プレッシャーが重くのしかかったよ。

 日本はこれまでワールドカップに2回出場して、Jリーグが設立されてからは13年もの月日が経った。その間に着々と成長を果たして、アジアでもトップクラスの実力を備えた。でも、最終予選は何が起こるか分からない。だから期待とは裏返しに心配な面もある。

 世間はワールドカップに出るのが当たり前と思っている向きがあるよね。でも、1次予選のオマーン戦で苦戦したように、予選はそんなに簡単なものじゃない。また、昨年の12月に行なわれたドイツ戦を見ても、まだまだ世界とは差がある。だから決して油断してはならない。

 今回、アジア地域からワールドカップに出場できる国は4・5。グループ1位と2位は自動的に本大会への切符を獲得できて、3位でもプレーオフがある。その意味では、97年のフランス・ワールドカップ予選や93年のアメリカ・ワールドカップ予選のときよりは出場枠が多い。だから、言い方は悪いが今回は余裕がある。選手はそのアドバンテージをうまく利用して戦って欲しいね。

 とにかく大事なのは初戦のホーム、北朝鮮戦だろう。6試合のうちの1試合という考えはあるが、先に勝点を取れれば楽になる。万一、この試合で引き分け、もしくは負けるようなことになると、次のイラン戦は相当プレッシャーがかかってしまう。

 グループリーグの相手のなかでは、やはりイランが一番のライバルだろうね。彼らは韓国と同等のレベルにあると思うし、日本よりもタレント力は上かもしれない。ヨーロッパで活躍している選手も多いので、日本は組織で対抗する形になるだろう。10万人が集まるとも言われるイランとのアウェー戦で勝点を取るのは困難な作業になると思う。

 でも、日本はドイツ・ワールドカップの本大会でベスト8を目標としている。だったら北朝鮮戦での取りこぼしは許されないし、イラン戦は最悪でも引き分け、バーレーン戦にはしっかり勝たないといけないよね。

  最終予選はこれまでの予選、大会とはまったく違う。4年に一度の世界最高の舞台を目ざして、他の国も死に物狂いで向かってくる。メディアの反応、サポーターの声援もこれまでとはまったく違うだろう。選手だけでなく、みんながワールドカップとはどんな大会なのか分かっている。周りも含めてすべてが最終予選の環境を作り上げるんだ。そんな場で戦えることを誇りに思って、選手たちには闘って欲しいね。

 僕自身も、去年の1次予選、アウェーのオマーン戦の試合を現地で見たときはドキドキした。久しぶりにそんな感情が芽生えたよ。そんなに危ない試合ではなかったけど、負けたら終わってしまうという緊張感が伝わってきた。多分、最終予選はそのとき以上のピリピリしたムードを感じることができるだろう。

 今回はメディアの側から最終予選を伝える立場になる。現地で最終予選の空気、熱を感じられる。そういう経験ができることが嬉しい。とにかく、選手たちには頑張って欲しい。心から応援しているよ。
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