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「大将浪漫」週刊サッカーダイジェスト連載コラム
 連載第48回 【今週のキーワード】FWの相性
今回は前線でコンビを組むFW同士の相性について

 自分がピッチに立っていたとき、どんなタイプの選手と相性が良かったかというと、自分にないものを持っている選手、自分の短所を補ってくれるというか。お互いの持ち味が違う関係の方が、それぞれの役割が明確になる。例えば僕の場合だったら、高さがあってポストプレーに秀でた選手のほうがやりやすかった。
 裏を返すと、自分と同じ特長を持った選手とやると、やりにくい。プレーエリアが同じだとかぶるんだよね。あと、その選手の性格も重要だと思う。僕から見たら、自分を生かしてくれる選手はいいよね。みんなそうかもしれないけど(笑)。
 ただ、すぐに合う選手もいるし、コンビを組んでしばらく経ってから合う選手もいる。でも、よく選手同士でコンビネーションを話し合うのかなんて質問されたけど、それはあまり意味がないんじゃないかな。サッカーに対する考え方やプレースタイルが違えば、いくらコンビを組んでも合わないことはある。また、無理に合わせようとすると、どちらかが我慢をしなきゃならないこともある。難しいところだね。
 僕が現役のとき、浦和には背が高くてポストプレーがうまい選手はあまりいなかった。そんななかで、一番プレーしやすいと思っていたパートナーは岡野雅行。彼は右サイドでチャンスメイクをしてくれるタイプのFWで、組みやすかった。でも、最初から合っていたわけじゃない。プレーしていくうちに良くなった。岡野も自分の役割を理解してくれたようで、お互いに良さを引き出せるようになっていった。岡野自身も僕と合っていたと言ってくれているしね。コンビを組むようになってからは彼のセンタリングを上げるときの体勢を見て、ボールがニアサイドへくるのかファーサイドにくるのかが分かったよ。それがコンビネーションというのかな。長く組んだことで、相手のプレーの特徴が分かったんだ。まあ、岡野はだいたいパスを出す側で、僕がフィニッシュする役だったけど(笑)。彼はストライカーというタイプではなかったから。両方のFWが点を取るというのは難しいんだ。
 チームのなかには役割というものがある。だから、あるチームでストライカーだった選手でも、違うチームに移籍したらチャンスメーカーになることもある。それはチーム内のパワーバランスで決まる。パワーバランスというのは年齢、性格、実力など、さまざまな要素が絡み合って生まれるんだ。
 エメルソンと達也(田中)みたいなコンビは稀だと思う。僕が現役時代に組んでいたころのエメルソンは猪突猛進で、ボールを持ったら離さなかった。それだとチームメイトに信頼されないし、良い形でボールが回ってこない。だから、レッズに入った頃のエメのゴールは、ほとんど個人で突破したもので、コンビネーションで崩した得点がない。でも、いまでは周りを信頼するようになって、仲間からも効果的なパスが出るようになった。だから、達也と組んでも良い関係が築けているんだと思う。
 お互いのライバル意識があまりにも強いとダメなときもある。ベテランと若手というのは良い関係を築きやすいけど、同年代だとジェラシーが生まれることもある。FWはとくにそう。この前のアテネオリンピックでいえば、アルゼンチンのテベスとサビオラが一緒のピッチに立てなかった。ビエルサ監督はテベスのチームと判断したんだろう。あそこでサビオラも共存させていたら、パワーバランスが崩れてしまったんじゃないかな。変に張り合うとチームワークが乱れたりする。信頼関係って大事なんだ。パスを受けたら返してやる。逆にパスを出したらちゃんと返ってくるというね。
 前線の選手はエゴが高いから、お互いが信頼してないとコンビネーションは築けない。だから、例え実力がある選手でも相性が合わなければ威力が減退する。指揮官は、その点も見極めてメンバーを決めなくてはならないのだと思う。
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