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「大将浪漫」週刊サッカーダイジェスト連載コラム
 連載第44回 【今週のキーワード】ユーロ2004・パート2
 ポルトガルに行ってきた。僕が観たのは準決勝のギリシャ−チェコと決勝戦のポルトガル−ギリシャ。
 ギリシャ−チェコは期待していたような、ゴールを奪いにいくサッカーにはならなかった。ギリシャはチェコにサッカーをさせないようにしていた。ただ、当然それは勝つために必要な手段で、それを徹底したからこそギリシャは優勝できたんだろうと思う。
 ギリシャは組織的だった。まさか準決勝、決勝と立てつづけにギリシャを観ることになるとは思ってなかったんだけど(笑)。チェコ戦を観てびっくりしたのは、「ギリシャはここまで徹底してマンツーマンをやってるんだな」ってこと。なおかつ、センターバックのデッラスという背の高い選手をひとり余らせて、つねに全体のカバーリングをさせていた。それと、ギリシャは中盤もしっかりマンツーマンをしていたんだよ。チェコはコラー、バロシュの2トップの他にロシツキー、ネドベド、ポボルスキーらのセカンドストライカーがいるんで「マンツーマンじゃキツイかな」って思っていたんだけど、その辺はしっかりと役割分担して対応していたね。
 ギリシャは一人ひとりの能力が高いと思う。そういう選手たちがあそこまで徹底してマンツーマンをして、攻撃のときにはしっかり自分たちの形に戻している。普通、マンツーマンで相手についていると、マイボールになったときに自分のポジションがズレているときがある。ボールを取ってから速い攻めをしようとしても、システムが崩れたままの状態で攻めなきゃならない。そうするとボールを取られたときに苦しい状況に陥る。でもギリシャは、マイボールになったときには慌てて攻めることをしないんだ。
 例えばチェコ戦では右サイドバックのセイタリディスという選手がバロシュをマンツーマンマークしていた。彼はバロシュが動くとしっかりとマークするから、バロシュがポジションをチェンジして動き回るとチェコから見て左サイドにスペースができる。でも、そこにはギリシャの中盤の選手がカバーリングに入るから穴がない。そして、いざマイボールになったときは、セイタリディスは自分のポジションである右サイドにちゃんと戻っている。システムをちゃんと整えて攻めるんだ。
 そこまでポジションを立て直して攻めるということはどこかで修正する時間を作らなくちゃならないんだけど、ギリシャはそこがしっかりしているんだ。前線の選手がボールをキープしたりしてね。
 その間、ギリシャの選手は猛ダッシュしているわけじゃないんだよ。そんなことしたら90分持たない。活動量は多いかもしれないけど、無理のない動きをしているんだよ。そういう意味では、ギリシャの選手は能力が高いと思う。そんなに簡単にボールを取られないしね。
 ある程度の実力を持った選手たちにしっかりとした戦術を浸透させたところに、ギリシャの勝因があったように思う。時代に逆行するようなマンツーマンマークを採用したにしてもね。それくらい徹底していた。
 やっぱり公式大会って興奮する。親善試合じゃないでしょ。周りで観ているひとからも真剣勝負の緊張感を感じたもの。僕自身はタイトルが懸かった大きな大会を観戦するのって初めての経験だった。ただ、正直なところギリシャの試合を観るのは1回で良かったかな(笑)。ポルトガルとチェコとの決勝戦なら、もっと点の取り合いになったかもしれない。そういう試合を観たかったけど、こればっかりはしょうがないよね。
 ただね、ギリシャのサッカーもありなんだなって思った。最近は選手を買い漁ってスター軍団を作ろうなんて傾向もあるけど、ギリシャを見てあらためて、サッカーは団体競技なんだなって思ったよ。ギリシャには飛び抜けた選手がいなかったけど、それでも優勝することはできる。サッカーは組織的な力が重要なんだなって痛感したよ。
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