 写真下:左より、YU JIU LIN(『牡丹亭』柳夢梅役)、坂東玉三郎、ZHOU XUE FENG(『楊貴妃』方士役) |
坂東玉三郎と中国の伝統演劇“昆劇(こんげき)”の合同公演がこの春行われることが決定し、その会見が7日、都内にて行われた。昆劇の舞台に歌舞伎俳優が出演するのは史上初めて。
昆劇とは約600年ほど前に生まれ、中国の演劇でその影響を受けていないものはないと言われる舞台芸術。その後流行し日本でもよく知られる京劇の力強さとは異なり、繊細で深い表現に長けた芸能で、2001年にはユネスコ世界文化遺産に認定されている。この昆劇でも日本の歌舞伎と同じように、もともと女性の役も男性が演じてきたものの、近年では女形は絶滅の危機にあるという。今回、日本を代表する女形・玉三郎が昆劇の舞台に出演するということは、昆劇において女形という伝統の形を復興させるきっかけとなる期待も含まれ、その意味からも今回の日中合同公演は貴重な機会になりそうだ。
上演されるのは、絶世の美女・杜麗娘(とれいじょう)と彼女が恋をする若者・柳夢梅(りゅうむばい)の甘美で数奇な物語『牡丹亭』。全55幕という大作で、純粋で強い情と命の輝きを描き、昆劇の最高傑作と称される作品だ。今回は前半の名場面『遊園・驚夢・堆花・写真・離魂』を上演、うち『驚夢』と『離魂』で玉三郎が杜麗娘を演じる。玉三郎は20年ほど前に『牡丹亭』が国立劇場で上演された折に観劇し、『離魂』のシーンで大変感動したという。「杜麗娘が会えない恋人に対してはるかな思いを抱いて死んでいく時に、月がみえない、雨もそぼふっている。このニュアンスは日本でもわかるというよりも、同じものであり、それを違った楽器と違った言葉と違った様式で表現するということに非常に深く感動いたしました。この『牡丹亭』に触れさせていただきたいという思いからすべては始まったこと。まさかこの瞬間(離魂)をわたしが演じさせていただけることになるとは」と感慨深げに語る。
昆劇の特徴として、詩(言葉)、歌(音楽)、舞(演技)が一体となっていることがあげられ、歌いながら舞う演技には高度な技術が要求されるが、柳夢梅役で共演する昆劇の俳優、YU JIU LINは「玉三郎さんは昆曲の節回しもお上手で驚いた」と太鼓判。歌舞伎では観られない玉三郎の新境地が堪能できそうだ。
なお、玉三郎の代表作のひとつである『楊貴妃』も同時上演。こちらは現代の創作舞踊であるが、今回は昆劇の演出で昆劇風に上演するというのでこちらも期待したい。
公演は3月6日(木)から25日(火)まで京都・南座にて行われる。チケットは2月15日(金)より一般発売開始。南座公演のあと、5月6日(火)から15日(月)にかけて北京公演も決定している。
(1月8日更新)
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