『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』の押井守監督が4年ぶりに製作する長編アニメ作について6月20日に会見を行った。タイトルは『スカイ・クロラ』で現在製作中。ワーナー・ブラザース映画が配給する。原作は森博嗣の同名ベストセラー小説(中央公論新社)。映画の舞台は架空のヨーロッパで、戦争請負会社に所属する16、7歳の男女の愛と生と死を描く恋愛映画。「自身の転機であり、監督としての力量を試される作品。(今までに馴染みのない)情緒的なものを目指します!」と胸中を語り尽くした。
取材では「若者にメッセージを」と依頼されるが、「男として40年生きても自分のことで精一杯。それほど人生は辛いもの」。だが最近、娘の結婚と愛犬の死を体験し考えが一変。「55歳を迎え人生を一巡した今だからこそ若い人に伝えたい。身体を鍛えたことで気力も体力も充実している今が、若い人にモノを言う最後のチャンス」と明るい表情を見せたが、「若い人にモノ申す的な、すごいこと言っちゃった」と苦笑いする面も。生きることは各年代によって等位でなく、「不幸も人生の醍醐味のひとつ。捨て身で生きる覚悟と意志があれば人生は情熱の対象になる」といったメッセージを込めて描くという。
押井監督にとって恋愛映画は、「フランソワ・トリュフォーの『隣の女』で同作以上のものはない」と断言。同じく究極の愛を描く『スカイ・クロラ』では、「恋愛は反社会的行為であり、人を幸せにしない。恋愛の怖さを見せ付けたい」と熱弁をふるった。だからこそ初の濡れ場にも挑戦するという。
一見、辛口に聞こえるが、会見でこれほど多弁な監督は珍しい。「今の若者は自由すぎて将来の選択すら難しい傾向にある。それを決めるのは自分自身だよ」っと若者に肩を押してあげたいとの優しさが込められている。それゆえ若い人に伝わる言葉を考慮して脚本家には女性で『世界の中心で、愛をさけぶ』を手がけた伊藤ちひろを起用した。「今までさんざん逃げたので、本作は逃げも隠れもしません!」と潔い。ラブシーン、情緒的なもの、ドラマ重視、戦闘戦といった作風や、返答に困って煙に巻いてきたことは返上。真っ向から立ち向かうという本気度を示す発言を多々残して降壇した。押井監督の新たな決意を耳にし、期待は高まるばかりだ。
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』 2008年全国ロードショー
文:南樹里
(6月21日更新)
|
 |

押井守監督が描く「10代男女の恋愛ドラマとは? 写真:南樹里 |