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Keishi Tanaka

昨年9月、惜しまれつつも解散したバンド、Riddim Saunter。解散から7ヵ月、ボーカルの田中啓史のデビュー作『夜の終わり』がリリースされる。作品の発表もライブにおいても縦横無尽に活動してきたバンドを経て届けられた今回の作品は、音楽と写真、そこに詞が綴られたフォトCDブックという形式だ。初の日本語詞を含む作詞作曲はもちろん、全ての楽器を田中がひとりで手掛けた今作は、温かいメロディと言葉、ある意味生まれたてのような無垢な世界が光る。充実のソロ活動を展開中の田中が、バンド解散から『夜の終わり』、現在の活動スタイルについて語った。

――昨年の9月3日に中野サンプラザで行われたRiddim Saunter解散ライブから、7ヵ月が経ちました。解散後の想いを聞かせていただけますか?

「Riddim Saunterの解散を決めてからは、9月以降のことも頭の中でぼんやり考え始めていて。ライブは止めたくないなっていう思いはあったんですよ。例えば『一年間、ライブはしません。制作に入ります』っていうのは、ちょっと違うかなって思って。ありがたいことに、弾き語りでのライブを結構誘ってもらっていたので、それはやっていこうとまず思いました。12月くらいからなんとなく準備をしつつ、年明けたら、ちゃんとやろうって思って。それで、ちょっと始めたらその曲を世に出したくなったというか、形にしたいなって思いが強くなって。弾き語りを今後ずっとメインの活動としてやっていきたいわけではないんで、このスタイルでひとつ形にしたら次に向かえるんじゃないかと思ったんです」

Keishi Tanaka

――バンドの解散に関しては、9月には気持ち的に整理がついていたんですか?

「整理はついていましたね。整理がついて、決断をしたという感じです。だから、解散ライブで、いつものようなライブができたんだと思います」

――なるほど。だから、解散ライブなのに、しんみりとした空気にはならず、あんな多幸感にあふれたライブになったんですね。啓史君にとって、Riddim Saunterは何でしたか?

「うーん、、、大げさかもしれませんが、“生活”って感じですかね。今、29歳ですけど、Riddim は20代の自分の音楽生活の形で、30代は違うものが始まるのかなって」

――そこで、“田中啓史”として動き出したデビュー作が、CDでありフォトブックでもある『夜の終わり』ですね。

「まだ、Riddimを解散して1年も経ってないので、バンドセットのイメージがわかなかったし、それはもうちょっと先でいいかなって思って。今回は、ひとりで作る形になりました」

――昨年10月過ぎあたりに、啓史君とお話させていただいたとき、「次は本のような形に音楽をつけたい」っていうビジョンがすでにありましたよね?

「漠然と思い始めていた時期ですね。普通にCDで、1stアルバムとするのは、自分的には早いというか、0枚目を出したいなって思いがあって。パーソナルなもの、自分っぽいものを作りたかったし、歌詞を書くもの好きだし、日本語詞もやりたかったんで。そこに繋がるようなものをって考えると、本という形がいいなと思って」

――“0枚目”という位置づけにこだわったのは?

「こだわったというほどではなく、自分の中の感覚の話です。レーベルの人や先輩、周りの人からすると、『今のお前には、0枚目はない』と言われました(笑)。たぶん僕が思っているのは、弾き語りのライブだけを、このままずっとやり続けるわけではないというのがあるからかもしれないですね。1枚目って感じは、いまだに自分の中でなくて前夜的な感覚です。バンドをやっていたから、メンバーがいるからこそ良くなる部分があるのもわかっているし、あとは、ライブでギターを持たずに歌いたいっていう思いもあるから、弾き語りだけを続けていく気持ちはないんですよ」

――自分の中で、今のスタイルを貫き通すのであれば、1stとしたかもしれないと。

「そうですね。誤解を恐れずに言えば、今回の作品は遊びっぽいんですね。遊び心でやっている部分があるので、『何で本なの?』ってクスッとしてもらえたらいいなって部分は、ちょっとありますね」

――今回の作品に寄せて、「言葉と音、そこにある情景。もはや何が最初にあるのか、自分でもわからない。(中略)今回は、その三つを同じ位置づけとして作品を創った」という想いが、綴られていますね。

「ワード、ピクチャー、ソングを対等に並べてみたかったんです。豪華なブックレットっていう案もあったんですけど、それだと音源に重きが置かれると思って」

――どれかひとつが主役ではないということですね。

「3つが主役って感じですね。歌詞を描くときに、情景が浮かぶ歌詞を描きたいと毎回思っていて。さらに突き詰めて言うと、ただ情景だけを歌うというよりは、言いたいことを歌うために情景を付けていたような感じで、今まで歌詞を作っていたんで。頭の中を具象化すると、こうなったというか。曲を聴く人にも、それぞれに違っていいんですけど情景が見えていたらいいなと思って。今回の写真は、笹原清明さんにお願いしたんですが、笹原さんに詞だけ読んでいただいて選んでもらった写真なんです。笹原さんには、こういうふうに見えているんだなっていうのが、面白かったですね」

――啓史君が、選んだ写真じゃないっていうのが、ある意味重要ですね。

「最初、自分で写真を撮ってもいいかなと思ったんですけど、人が思う情景が見たかったし、“そういう見え方をしてるんだ”って、発見というか面白さもあるし。笹原さんは、一度カジヒデキさんとのアーティスト写真でお世話になったんですが、僕のライブは撮ってもらったことがないんです。Riddimのライブでのイメージに引っ張られないほうが、いいなと思っていたので」

――写真家さんには、フラットな気持ちで参加してほしかったんですね。

「そうですね」

Keishi Tanaka

――ここに収められた音楽が本当に素晴らしいですね。縦横無尽に活動していたバンドを経て、再び音楽を鳴らすことの喜びというか、音楽へ向かう気持ちの純度の高さを感じました。

「弾き語りライブでの再現を考えて作ったから、自分でできることしかやってないんですよね。メロディも鍵盤で付けないようにしたり。自分の中からしか出てないものっていう感覚はすごくありますね」

――淀みがないですよね。

「シンプルですが、そこにはこだわったというか」

Photo●吉田圭子

PROFILE

2002年に結成し、2011年まで活躍したRiddim Saunterのボーカル。Riddim Saunter として、3枚のオリジナル・アルバムとアコースティック・アルバム、リミックス・アルバムなどをリリース。惜しまれつつも2011年9月3日、中野サンプラザでのライブを最後にRiddim Saunterを解散。その後、Keishi Tanaka名義での活動をスタートする。また、2011年に結成されたTHE DEKITSのメンバーとしても活動中。
オフィシャルホームページ


TICKET

「TGMX & Keishi Tanaka Acoustic Live Tour"TWIN SONGS"」

4月15日(日)東京都 三軒茶屋a-brigde
4月22日(日)千葉県 西千葉cafeSTAND
5月18日(金)神奈川県 横浜STUDIO OLIVE
6月1日 (金)福島県 いわきBURROWS
6月2日 (土)宮城県 仙台KOFFEE CO
6月3日 (日)岩手県 盛岡Kamatinamijuku
6月15日(金)福岡県 福岡cafe Teco
6月16日(土)熊本県 熊本NAVARO
6月17日(日)岡山県 岡山mai mai
6月19日(火)大阪府 大阪millibar
6月20日(水)愛知県 名古屋K・D Japon
6月22日(金)栃木県 宇都宮 kcucha rismo espresso coffees

公演・チケット情報



「Keishi Tanaka's "夜の終わり" release party
"End Of Night at CAY"」


7月6日(金) 青山CAY

公演・チケット情報



RELEASE

Words, Pictures, and Songs
『夜の終わり』
4月11日(水)リリース
2940円
Niw!Records
NIW77


2012.04.10更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
  • さまぁ〜ず
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  • 堀北真希
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