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石野卓球

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――では、7月4日にリリースされる『WIRE TRAX 1999-2012』について。

卓球 過去、WIREに向けて作った曲って、毎年、1曲ずつ作って、それきりじゃない? まとめて聴いたことないなと思って、自分でまとめて聴いてみたんだよね。こんな事したの、初めてだったんだけど、それが出そうと思ったきっかけになった。で、聴いてみたら、意外な統一感があったから、リリースしておきたいなと思ったんだよね。

石野卓球

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――なるほど。その“まとめて聴いてみよう”って思って、アクションした、きっかけは?

卓球 今年のWIREコンピ用の曲を作ろうと思った時“今までの曲、どんなんだったけなぁ”と思って、自分が作った曲、探してたんだよね。そしたら出てくる出てくる、みたいな状態で。いっそのこと、自分で、コンプリートしてみよう、と。それで、年代別に遡って聴いてみて“あぁ、こういう聴き方もあるなぁ”と思った。

――1枚にまとめるにあたり、楽曲に手を加えたりは?

卓球 収録時間の関係で、エディットしたりとか、あと曲の中で少し長いなと思う部分を削ったりとか。あとはマスタリング。でも、それぐらいだよ。極力、手を入れないようにしようと思ってさ。

――なるほど。その理由は?

卓球 その方が、当時の時代の感じがわかるかなと思ったんだよね。あとさ、今回じつは、最初の予定では『WIRE TRAX 2000-2012』ってなってたのね。なぜかって言うと「あれ、俺、99年、曲作ってコンピに入れたっけ? 入れてないような気がするんだけど」って言ったら、横にいたマネージャーが「入ってないですね」って、自信満々に言ったんだよ(笑)。だから無いもんだと思って『WIRE TRAX 2000-2012』なって、そのまま進んでた。そしたら、もう、ほんと、ギリギリ、明日、マスタリングですっていうタイミングで、レコード会社のスタッフが「99年、ありました」って(笑)。そのスタッフの話によると、ずっと「99年、どうして入れないのかな」って思ってたんだって。そこに理由があるのかなと思っていて、言いだす雰囲気じゃない感じで(笑)。で、本当に最終確認で「99年は、入れないんですか?」と言った、と。そしたら俺が「え、あるの、もちろん入れるよ」って。もうただ単純に、忘れてただけでさ(一同大爆笑)。つまり、曲に対して、それぐらいの感覚だったんだよね。ほとんど忘れてるっていうかさ。もちろんイントロとか聴いて“あぁ、こんな感じだった”って思い出す事はあるけど、もうとっくに、手を離れている感覚で。WIREコンピの曲は、普通のアルバムみたいに、ある程度期間を決めて、その中で作るっていうスタイルじゃなくて、年に1回って決めて、そこで作って、以上……って感じでしょ。リリースの後、その曲と付き合うことが、あまりない。それをずっと10何年間繰り返したもんだから、曲に対して思いれがないわけじゃないんだけど、忘れているんだよね。それが、10何年分、並べてみたら、自分でも思っていなかった側面が見えた。年に1回曲を作るってスタイルを、定点観測で見るみたいな感じだった。そこで、この10何年かの自分の中での、WIREに対する距離とか、関係性とかも見えてきたんだよね。

――その距離や関係性の変化を具体的に言うと?

卓球 最初はアンセム的なものを作っていた。だんだんそういう形をやらないようになってきて、最近になればなるほど、自分のアルバムとかでもやらないような、ちょっと実験的なことをやるっていう場になっていたりとか。同じコンピの中の1曲なんだけど、自分の立ち位置が変わってきてるなっていうのが見えた。

――なるほど。曲を聴いて、例えば今言ったような、WIREと自分の関係性とか思い出すわけじゃないですか。それを思い出す時って、曲のどんな部分なんですか?『WIRE TRAX 1999-2012』の曲って、歌詞がないわけじゃないですか。だから、過去を思い出すきっかけが、他の曲とは違うのかなと思ったんですよ。たぶん、覚えてるのは、当時の感情とかじゃないな、と。

卓球 あぁ、感情とは違うところで覚えてるよね。WIREのコンピに入れる曲に関しては、抒情性を入れないように心がけてたのね。むしろ、そういうのを避けてた。だから、感情では思い出しにくいっていうか。ソロアルバムを作ったりとか、もう少し作品性の高いものを作る時は、もう少し感情の部に訴えかける部分が入って来るんだけど、そういうものが一切ない。だから、むしろ、すごく潔い曲ばかりっていうね。

――あぁ、WIREという一晩の場所に向けて作ってる。ただそれだけというシンプルさ。

卓球 そうそう。さっきも言ったけど、そういう作り方してるの、他にはなかったらさ、良かったなと思ったんだよね。

――それに、その曲を、繰り返しDJで使うこともほとんどない。

卓球 うん、無いね。たまに飛び道具として使うとかはあるかもしれないけど、ほとんど無いと思う。だから、ほとんど忘れてる。それで、10何年間の曲が並んで、変わってる部分と、変わってない部分が浮かび上がって来たっていうね。忘れていたのにっていうかさ。

――浮かび上がって来たものを目の当たりにして、どんな気持ちになりました?

卓球 ん? いやらしい気持ち。(一同大爆笑)

――はははははははは(笑)。わかりました。

卓球 わかりました、だって(笑)。なんかね、こっぱずかしさ、みたいなのは、まったく無かったんだよね。さっきも言ったように、抒情的な部分、感情的な部分を排除して作ったからだと思うんだけど。テクニック的な部分でさ、稚拙だな〜、みたいな恥ずかしさはあったんだけどね。それ以外は、あんまり無かった。

――それって、テクノだからですかねぇ? まぁ、結果論としてだけど。

卓球 テクノは関係ないんじゃない? テクノっていうよりは、作り方だと思う。年に1回、イベントに向けて作っていくとか、いろんな要素が重なり合って、こういうスタイルになったんだと思うけどね。

――なるほど。WIREやってなかったら、『WIRE TRAX 1999-2012』も無かったし、今のお話のような考え方も、出て来なかったでしょうね。面白いですね。

卓球 そうそう。面白い。不思議だよね。不思議パラダイス! 通称フシパラ! 

――今年のWIREでのDJで、『WIRE TRAX 1999-2012』の曲をかけたりは? まぁ全曲かけるということはないと思うんですが、1〜2曲くらいならありそう?

卓球 全曲どころか……1〜2曲も無いっていうか、かけないと思うよ(一同爆笑)。ま、それとこれとは、また別の話(笑)。

Text●伊藤亜希 Photo●吉田圭子

PROFILE

‘89年に電気グルーヴを結成。’95年にソロアルバム『DOVE LOVES DUB』を発表。同時に国内外でDJ活動もスタートさせる、98年にはベルリンで行われるテクノ最大の野外フェスティバル“Love Parade”のFinal Gatheringで100万人の前でプレイするという偉業を成し遂げる。‘99年より日本最大の屋内レイヴ“WIRE”を主宰し、今年で13回目を迎える。
石野卓球オフィシャルホームページ
WIRE12オフィシャルホームページ
電気グルーヴオフィシャルホームページ


TICKET

LIVE
『WIRE12』
▼8月25日(土)18:00
横浜アリーナ
オールスタンディング-11550円
問 WIRE事務局 [TEL]0570-069-111

公演・チケット情報



RELEASE

ALBUM
『WIRE TRAX 1999-2012』
7月4日(水)発売
2879円
キューンミュージック
KSCL 2071-72
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2012.06.26更新

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