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ハナエ

 「好き」と「ありがとう」が大安売りされている昨今のJ-POPシーンを少なからずお嘆きの貴兄に、ようやく見所のあるニューフェイスが現れた。その名はハナエ。昨年6月にシングル『羽根』でメジャー・デビューを果たした福岡県出身/18歳のシンガー・ソングライターだ。
 『羽根』でハナエは、ヒトがヒトを愛することは、恐れあい、傷つけあって初めて到達できる境地なんだとうたっている。絶望の果てにこそ存在する希望。美しさの裏に必ず潜む醜さ。ハナエは常に、ふたつのアンチテーゼが共存することでしかリアルは成立しないと訴えてくる。しかもその重厚なテーマを、
キャッチーなサウンドと、エモーションを削ぎ落とした無機質な歌唱という表皮で内奥に隠すという高度なテクニックも駆使する。ハナエの音楽を聴けば聴くほど感じる疲労感は、そんな小憎らしい仕掛けが随所に散りばめ
られているからに他ならない。むむぅ、只者でないぞ、この小娘は。
 そんなハナエから、2ndシングル『BLACKBERRY』が届けられた。今作も期待に違わぬ佳作である。

――新曲『BLACK BERRY』の主人公が直面する恋心は、たいへんですね、フクザツで。

「あなたに出会えて好きになって、それは自分にとってすごく嬉しいことなんだけど、だからこそ、一緒にいたいのにひとりでいることの寂しさを感じてしまう。そんな切ない想いをこの曲に込めました。一方で、男女の恋愛に限定するつもりもないんです。お洋服やアクセサリー、本や音楽を好きになったときの気持ちにも通じるところもあると思うから」

――純白のレースのワンピースが、床一面のベリーの果汁を吸って汚れている…。強烈なインパクトのジャケットですね。

「甘い“ベリー”と暗い色の“ブラック”は、“可愛さ”と“毒っ気”を表してるんです。恋って素敵な部分だけじゃなくて残酷さもあると思うから、その両方を表した“BLACKBERRY”というタイトルに合うジャケットにしたいな、と思って。撮影のときに食べてみた黒いベリーは、甘くはなかったです (笑)」

――そういう相反する感情が共存する矛盾を、詞だけでなく楽曲全体ではどう表現しようとしていますか?

「自分自身の曲はポップでありたいと思っていて、それを意識して作曲をしています。でもポップなだけじゃなくて、何か心にひっかかる曲になってると思います。それは私自身の中にある影の部分が、ポップな音色に自ずと乗ってしまうからだと思ってます」

――そんなハナエさんのリアルは、どこから生まれてくるのでしょう。

「そもそも私自身という、自分にとってもっともリアルな存在の内部に、大好きな自分と大嫌いな自分がいつも同居していて。だからこそ、大嫌いな自分を許してあげたいって願う私が、曲を作ったり歌を歌ったりすることでバランスをとっているのだと思います。私の表現活動の原動力です」

――音楽を媒介として自分自身を表現することで、自分自身を解放しているということですか?

「音楽好きの両親の影響で、小さい頃からいろんな音が身近で鳴っていました。音楽に触れることは、自然なことだったんです。その後、小学生くらいになってくると、おしゃべりが苦手な私は、音楽でなら自分を表現できそうな気がして。そこから自然と、曲に自分の想いを託すようになりました」

――ハナエさんが音楽で救われたように、ハナエさんの音楽で開放される人が生まれてくるのでしょうね。

「人は生きていく限り、いろんな葛藤の中で思い悩むものですよね。そんな時、音楽を聴くことで自分自身を許すことが出来たというか、救われたんです。だから私も表現者として、そんなふうに葛藤ごと自分を抱き締められるような、そんな音楽を作って行きたいと思います」

PROFILE

'94年生まれ、福岡県出身。幼稚園時代、お人形遊びの時に歌う歌をつくりはじめる。6歳よりピアノ・エレクトーン・ギターなどの楽器と戯れだす。12歳より宅録を覚え、音楽の具現化を図りはじめる。'11年、関西テレビ・フジテレビ系ドラマ「グッドライフ」の挿入歌に起用されたシングル『羽根』でメジャー・デビュー。
2ndシングル『BLACK BERRY』は、関西テレビ・フジテレビ系
「グータンヌーボ」のテーマソングとしてもオンエア中。

ハナエ オフィシャルサイト

RELEASE

SINGLE
『BLACK BERRY』
3月7日(水)発売
980円
EMIミュージック・ジャパン
TOCT-40375


2012.03.06更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
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