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GRAPEVINE

昨年末に品川ステラボールで行なわれた対バンイベント「GRAPEVINE×plenty」。あの夜、2月15日(水)発売のミニ・アルバム『MISOGI EP』からの楽曲がいち早く披露された瞬間の衝撃はかなりのものだった。シンセのホーンが響く、ソリッドなロックンロール。古の和と洋が混ざり合う言葉遊びの数々。そこから感じたのは、ここからまたGRAPEVINEというバンドの新た章が始まるのだ、という確かな予感。今回新たにマイケル河合誠一をプロデューサーに迎えて制作された『MISOGI EP』。相変わらず核心部分はするりと交わしつつも、ボーカル&ギターの田中和将の言葉からは、ローマ字で表記された鬼、禊、鎧etcといったメタファーに込められたものが、きっと見えてくると思う。

田中和将(GRAPEVINE)

前作『真昼のストレンジランド』でも同じことを感じたわけですが、今回のミニアルバム『MISOGI EP』でまたもやGRAPEVINEは新たな章に突入したな、という感慨がすごくありました。

「もちろん、つねにいろいろな意味で変わってくれてなきゃ困るんですけどね。自分たちでもなるべく(今までと)違うことをやろうとしてるというか、むしろそういう変化を望みながらやってるわけですから。かといって今回の変化というものも、音楽的なところで僕らの中にまったくなかったものではないんじゃないかと思うんです。今回はプロデューサーも変わってるわけですし、歌詞のアプローチなんかも違ってるわけですから、そういう意味ではずいぶん変わったように聴こえると思うんですけど、そんなに自分たちでは”めちゃめちゃ変わりましたよ”っていう感じがあるわけでないです」

そうなんですね。そもそも今回、マイケルさんをプロデューサーとして迎えようと思ったのはどういう経緯だったんですか?

「長田(進)さんといろいろ作ってきた中で、『真昼のストレンジランド』を作って、それなりに思ってたことがやれたなぁっていう感じはあったんだと思うんですね。で、次作るならここらで新しい空気の入れ替えといいますか、そういったことがあってもいいんじゃないかと。ちょうど、マイケルさんと一緒にやってみたら面白いんじゃないのって、エンジニアの宮島(哲博)さんが前から言っていて。もちろん、ユニコーンの伝説的ディレクターとして存じ上げてはいたんですよ、マイケルさんのことは。いつだったか、エイミー・マンのライブを長田さんも一緒に観に行く予定だったのが、長田さんが来れなくなってマイケルさんが来た、ってことがあって。それ以降ちょくちょくお会いする機会もあったりして。で、今回マイケルさんとやってみようってなった時点で、せっかくいろいろ変わりそうやから、ミニアルバムぐらいの作品で、節目になるような見え方になればいいなっていうことですね」

その結果、今回の6曲はすべて亀井さん曲ですが、どれもこれまでとは違う雰囲気になっているというか。例えば、「GRAPEVINE×plenty」@ステラボールで『YOROI』を披露した際は、ドラムの位置まで行ってシンバルを叩いてましたよね。ああいう見せ方も今まではやってなかったことだと思うんです。

「見え方としては派手だったかもしれないですけど、たまたま今までそういうアイデアにならなかっただけでしょうね、アレンジ上。誰かが曲の中で何かをやるってことで言えば、勲氏がキーボードじゃなくラップスティール・ギターを弾いているとか、西川さんがマラカス振ってる部分があるのとかと同じことだと思うんです。だから僕としてはあれをやることに度胸が要るわけでもなければ、音楽的に思い切ったことをやったつもりも一切ないです。DVD(完全盤に収録されている『MISOGI SESSIONS』)ではカウベルを叩いてますけど、『YOROI』の場合、間奏の部分が、パーカッションをダビングしていくうちにリズムがどんどん増えてビートが変わっていく、っていう曲なんですよ。それをライブでどういう風にやるかを考えたときに、とりあえずステラボールの時はああいう形になったわけですけど、今後ライブでやるときには、また違うアイデアでやるかもしれないですしね。だから、いつものように違う切り口を模索していた結果、という感じなんですよ」

とはいえ、和な言葉や隠喩が使われた曲名や歌詞のアプローチに関しては、今までとは明らかに違ってますよね。

「それは、例えば『ONI』とか、そういうアイデアを思いついたんで、全体をそこに寄せて行こうというか、笑いになるまで引っ張ろうと思ったんです」

確かに斬新な切り口ですもんね。実際歌詞を聴いていると……去年1年で日本に起きた出来事に触発されたところから生まれた部分もあるのかな、と。

「ん〜〜〜、まぁ、そういうところもありますけどね、人として。ただ制作においては…歌詞の部分とかにそういう部分は含まれてはいますが、あくまでも”含まれている”という程度ですけどね」

そう……ですか?

「ですよ(笑)。結局ほら、僕が(歌詞に)書くこととか僕らがやろうとしてることって、何かしら答えを提示するんじゃなくて、聴いてくれた人が自分自身に問うてくれればいいようなものを作ろうとしてるじゃないですか。という意味で、“去年から今年にかけての日本の状況下”みたいなものをふまえてくれてもいいんじゃないかな、的な書き方はしたつもりです。いやらしいですね、この言い方(一同笑)」

要するにそういうことなんでしょという突っ込みを心の中でしています、今(笑)。

「だってね、そんな、これは震災以降に生まれるべくして生まれた曲だ、なんて絶対口が裂けても言わないです」

田中和将(GRAPEVINE)

結果的には言ってますけどね、遠回しに(笑)。まぁでも、人として生きているうえでそういう状況に対して怒りや憤りを感じたりするのはごく当たり前のことですもんね。

「そりゃあ人として、あれから思うことはいろいろありましたよ。かといってそればっかりじゃないですけどね。ただまぁきっかけとしては、もしかしたら震災以降のいろんな動き、なのかもしれないですね、いい意味でも悪い意味でも。だから『MISOGI』なんて、ものすごく意地悪な歌詞なわけじゃないですか。そういう意味で、反面教師的に見た部分も多々あると思いますし。今回『MISOGI』と『ONI』が先に出来てきたんですけど、そういう歌詞を書き始めたんで、余計に自分に火がついたという感じですね」

そうやって生まれてきた歌詞を聴いていると、<喪失>と<憤り>という、大きく2つのテーマが見えてくるというか。

「そうですね、うん。そういう意味ではなかなか内容的にはヘヴィですよね」

曲調的には今作の中でいちばん救われそうな『RAKUEN』でさえ、実際はあまり救われない1曲だったりして(苦笑)。

「そもそもそれ、“ディストピア”っていうタイトルやったんですけど。だから終末的世界といいますか、わりとそういうイメージで書いてましたからね。ま、今回は全体的にそういう気分だったのかもしれないですね」

しかし、デビュー15周年にしてまだまだ変化し続けているのかっていう驚きがあるのって、すごくいいですよね。

「うん、そうですね。でもまだまだ変わるんじゃないですか。ほんとに最近、まだまだやなって思い知ることが多いです」

まさにそういう探究心や挑戦する姿勢から生まれたイベントが、4月13日(金)から始まる「Club Circuit 2012」だと思うんです。これまでもブレイク前のSuperflyやNICO Touches the Wallsといった方々をゲストに迎えてきたわけですが、今回も2組のゲストと全国をまわるんですよね。

「その意味では、今回はニュアンスがちょっと違うことになるかな? でもいろいろ面白いことになるんじゃないかなと思います」

Text●早川加奈子 Photo●吉田圭子

PROFILE

'97年ミニ・アルバム『覚醒』でデビューをしたGRAPEVINEのボーカル&ギター。GRAPEVINEは今年デビュー15周年を迎える。また、サポートメンバーの高野勲とともにPermanents(田中和将&高野勲)としても活動中。


TICKET

4月13日(金)福岡BEAT STATION
4月15日(日)高知X-pt.
4月18日(水)梅田クラブクアトロ
4月19日(木)広島クラブクアトロ
4月21日(土)長野CLUB JUNKBOX
4月26日(木)札幌PENNY LANE24
5月1日(火)渋谷CLUB QUATTRO 
5月2日(水)渋谷CLUB QUATTRO

公演・チケット情報



RELEASE

<限定盤>
ミニアルバム
『MISOGI EP』
2月15日発売予定

2800円
数量限定 完全盤ペーパー・スリーブ仕様(CD+DVD)
ポニーキャニオン
PCCA-03542

<通常盤>
ミニアルバム
『MISOGI EP』
2月15日発売予定

1800円
オーディオ盤(CDのみ)
ポニーキャニオンPCCA-03543


2012.02.14更新

今週のこの人 ラインアップ

  • 山田和樹
    小澤征爾も実力を認める注目の指揮者。クラシック音楽界が熱い視線を注ぐホープの“今”に迫る!
  • さまぁ〜ず
    2年ぶり、9回目の 『さまぁ〜ずライブ』開催。 稀代のコント芸人が、ライブにこだわり続けるそのワケは?
  • 遠藤保仁(ガンバ大阪)
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  • 堀北真希
    あくまでも、自然体。 2度目の舞台に挑戦する“国民的女優”の素顔
  • 藤原竜也
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