
![Paxmaveiti [ラフマベティ] -君が僕にくれたもの-](img/09121732.jpg)
『Paxmaveiti [ラフマベティ] -君が僕にくれたもの-』
発売中
1200円
cutting edge
CTCR-40301
<収録曲>
1.Paxmaveiti ラフマベティ -君が僕にくれたもの-
2.君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-
3.人生お見舞い
4.Paxmaveiti ラフマベティ -君が僕にくれたもの- (Instrumental)
5.君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス- (Instrumental)
『2010 ACOUSTIC LIVE』
▼1月15日(金) 19:00
神戸新聞松方ホール
▼1月16日(土) 17:00
大阪市中央公会堂
チケットの詳細はコチラ
今年春にはベストアルバムをリリースし、アーティストとしてのひとつの節目を迎えたシンガーソングライター、安藤裕子。11月にリリースした新曲『Paxmaveiti [ラフマベティ] -君が僕にくれたもの-』がニンテンドーDSソフト『レイトン教授』最新シリーズのエンディングテーマに決定し、1月には恒例アコースティックツアーにて関西へ登場する彼女に話を訊いた。
「『レイトン』シリーズはもともと大好きなゲームで、お話を頂いたときも“うん、やるやる”ってふたつ返事でお受けました。それに、ちょうど昨年末くらいから人に楽曲を提供することとか、“外界”との関わりが楽しいなぁと思えてきて。これまでは自分の内側ばっかり見て作っていた作業だったんですけど、今は人と交わることが楽しいんですよね。他の人のイメージに向けて曲を書くっていうことはどんどんやりたいと思っていたので、今回もやるやる!っていう」
----その変化というのは、アーティストとしてのキャリアを重ねたからこそ出てきたものなんでしょうか?
「キャリアというか分岐点みたいなものがあると思うんです。子供の時もあって、ミドルエイジとか…それぞれの時代にあると思うんですけど。その波のようなものがじんわり押し寄せてきていて、変化の予兆のようなものは感じていたんです。もうすぐ分岐点が来てしまうっていう予感。ヤだなヤだなと、もっとここに留まっていたいなぁという感じはあったんですけど、いざその変化の波に飲まれてしまうと、スプラッシュマウンテンみたいな感じで(笑)。意外と楽しい!っていうね」
----外側から見ていても、安藤さんがどんどん外へ飛び出していっている感じがしますね。
「うふふ、でも小さい世界ですけどね」
----とんでもない、安藤ワールドは底抜けに大きく深く感じますよ! さて曲作りに話を戻すと、物語に沿って作るということは楽しさだけでなく、いつもとは違った難しさもあるかと思います。そういったことにプレッシャーなどはありませんでしたか?
「なんかね、自分の作品の方がプレッシャーに飲まれるっていうのはあるかもしれない。人へ書く方がちょっと楽しんじゃってるっていうのはありますね。 “ふふ〜ん”ってイメージを妄想することが楽しい(笑)。普段曲を作ると作りっぱなしで、作り変えたりはしないんだけど、今回は自分から出てきたものが作品に合ってないなぁというのもあったりして、2回くらいやり直しましたね。3回目に整えたのが現状。相手に寄りすぎてもいけないし、自分を出しすぎてもいけないし。『レイトン教授』のエンディングに流れていてもおかしくないけど、自分が歌うからにはちゃんと“安藤裕子の音楽”である、というものにしないといけないなぁと」
----そう考えると、いつもの作品よりはどこか引いた目線ですよね。
「そうですね、遊んでいるような目線が強いのかなぁ」
----サウンド面も遊びの部分が多く感じられますね。
「足首にガングルっていう鈴の楽器をつけて、ディレクターにアレンジャー、3人で楽しく “ン タン タン、ン タン タン、ン タン タン!”っていう音作りをやったりしてたんですよ」(実際、取材時に同席していた安藤ディレクターとシンクロして手拍子を披露してくれました!)
---- …あの部分だ!と思いました。
「あの部分ですね(笑)。物語の中心に子供たちが描かれていたりするんだけど、多くの登場人物たちがいろんな出会いと別れを経験する。その中でプレイヤーである子供たちが、自分の物語としてゲームを終えた時、一緒に歌えるような。そんなイメージをお話でも伺ってたし、私も歌うときはお母さんみたいな気持ちを意識していて。入り口部分は優しく、旅立つ彼らを見守るような感じ。サビに入ると今度は歩いている少年たちに自分が移る感じ。トンタンタンの、Bメロはマーチに合わせて彼らが行進しているところを引きの目線で見ているような。そんなイメージが頭の中で映像化されていく感じはありました」
----牧歌的な情景の中、滑らかにうつろっていく安藤さんの表現力が感じられますね。そしてカップリングは、恒例のカバーシリーズ。今回はY.M.Oの『君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-』ですが、これを選んだ理由は?
「“このカバーやりたいねリスト”みたいなものがあるんですけど、その中でストックも結構あって。この楽曲は他の方もたくさんやっておられたんで、一旦は別の曲の話もあったんですが、アレンジャーが「勝算がある」と力強く言うので(笑)。カバーは基本、遊べたらいいなとか、かっこよくやれたらいいなっていう感じですね」
----その勝算なのか、これまでのカバーにはない、いい意味でお気楽なアレンジですよね。
「みんなも張り切っていて。ディレクター、アレンジャーもコーラス参加までしてますしね。私も“チエミ”という名前でコーラスもしています。江利チエミさんからきた名前なんですけど…(笑)」
----なるほど(笑)。こちらはささやくようなウィスパーボイスで、歌い方も新しい安藤さんですよね。
「そうですね! (Y.M.O高橋)幸宏さんにどこまで似せようかなっていうのとか、でも女の子だし、ストレートに歌っちゃうとおふざけ感がハマらなくって。結構歌い方考えたよね」
(安藤ディレクター)「どっちいったらいいかね。幸宏さんっぽくやっても女子の声だからおもしろいのか、そっちじゃない方がいいのか、試してみないとわからなかったですし」
「キーも歌い方もいろいろ試してみましたけどね」
----その試行錯誤の段階も興味をそそります。
「…密室のダラッとした作業だよね(笑)」
(安藤ディレクター)「プリプロはだらだらやってるね。デビューする頃は会議室でやっていて。しばらくして会社にAVルームができて、広いところになったんですけど、結局その部屋もなくなっちゃって、今度は以前よりもっと狭い会議室に戻っちゃって…そこで歌録ってると、隣部屋で宣伝会議しちゃってたり。RIKIの曲がドーンドーンって流れてきて…」
「ニッポンの未来は〜♪」
(安藤ディレクター)「ウォウ ウォウ♪とか流れてきてね(笑)。向こうは向こうで、安藤裕子歌ってた?みたいなことを後で言われたり(笑)」
「肩身狭い感じでやってますね(笑)」
(安藤ディレクター)「作業部屋くらいほしいよね…」
----いい意味で“らしい”感じなウラ話ですね(笑)。さて、続いて3曲目『人生お見舞い』。こちらの詞世界は今までにない、安藤さんの世界だと感じました。
「でも昔から自分の中ではこういう曲って多いんですよね、きっと。ただそれは表に出すものとしてはやってなかったなぁと思うんだけど。曲自体は道端歩いていて、ふっと浮かんだんですが、根源的なところをたぐっていくと、最近すごくいろんなことが悲しくて。そう言うとおかしいんだけど(笑)。それはブラウン管の向こう側で起きる事件とかも含めて、自分自身や家族、友人にふりかかることもそうだし。自分の力では抗えないことが段々と起きてきたり…年齢とかも関係なく、今の世界の風潮なのかな? 抗菌されているというか、“みんなガンバレガンバレ、夢をみていれば大丈夫”とか、“諦めるな”とかそういう言葉も氾濫しているし。そういう急きたてられる人たちが、どんどん追い詰められているような気がしていて。でも実際は上手くいかないことの方が多いじゃないですか。そんなに希望通りに生きられないじゃないですか。情報に踊らされて行き場を失うというか…。そうじゃなくて、みんなが走って走って走んなきゃいけない時につまずいて転んでしまった。転んだ人を“こいつは脱落者だ”って一瞥して通りすぎていったりもするんだろうけど、そうじゃない。転んだ自分ももう道から外れて未来がない、だから死のうとか、そういう行き場のない感じが苦しいなぁと思って。そうじゃなくてもうちょっとお気楽にね。転んだ自分の横を見れば、実は他にも同じように転んだ人がゴロゴロしていたりとか。それが束の間でもみんなで笑って歌っていてもいいんじゃないかって思って。みんながみんな飲んだくれてたら世間は終わりだけど(笑)、しばしそういう時が人には訪れる。今イケイケの人も明日は我が身。明日何が起きるかわからない。見捨てるんじゃなくて、自分も自分のことを見限るんじゃなくて、もっと笑っていたいっていうか」
----すごくやさしい世界ですよね。一見救いがない歌詞も、そのまま受け取るんじゃなくて、それを糧にできるというか。
「そうなるといいな。自分もレコーディング中に、道行くみんなにそれぞれの生活があると思って、『人生お見舞い』の世界でみんなを見てたら「オォ〜」って悲しくなってきちゃって(笑)」
----それは悲しい(笑)!
「みんなこんなに普通に歩いてるけどがんばってるのねぇ〜って悲しくなって泣けてきちゃったり(笑)」
----(笑)。そういう意味では、至極現実的でもある『人生お見舞い』とファンタジックな『Paxmaveiti [ラフマベティ]〜』とが一緒に入っているということがすごく面白いですよね。
「そうですね。結構やさしげな曲が多い1枚なのかもしれない。方向的にはものすごくバラバラだけど」
----それにシングルよりアルバムを買う人が多いと思うので、『人生お見舞い』はカップリングで終わるのはもったいない気がします。
「ふふ、じゃあアルバムにも入れようかな。隠しトラックとかで終わった20秒後とかにね。やっぱりシングルってそんなに手にとってくれないですし、私もアルバム型だからそれはすごくわかる。だけど今回はファンの方からのお手紙とかも、『Paxmaveiti [ラフマベティ]〜』を飛び越えて『人生お見舞い』に関してのものとか、『人生お見舞い』だけの取材とかがあって、すごく反響があるんですよね。これはめずらしい」
(安藤ディレクター)「…みんなつらいんだね(笑)」
(一堂)わはは。
(安藤ディレクター)「つらいんだよ、みんな(笑)。思うんだよね、本当に」
「みんなシングル買わないから、パッケージを作る側も新曲があってカラオケがあって…みたいに段々簡素化して作っていくから、多分買う人もどんどん興味を失っていくっていう悪循環があると思うんですよね。でもこういう反響があったりすることは、音楽をやっていこうっていう中でちゃんと聴いてくれている人がいるんだなぁっていう再発見になったりして。うれしいですね」
----『Paxmaveiti [ラフマベティ]〜』と『人生お見舞い』、ふたつのちがったやさしさをみせる楽曲に、遊びぬいた『君に、胸キュン。』のカバー。また新たな名曲が生まれたシングルになりましたね。さて、いよいよ1月には恒例のアコースティックライブツアーにて関西にも登場します。
「大阪は意外にも一番静かですね。昔は「ねぇやん、たこ焼き食べたー?」とか、すごく声かけてくれてたんですけど、いつを境にか、今や一番静かですねぇ(笑)。せきした人がいたりすると「チッ」って聞こえてきそうなくらい(笑)。私もそこまで空気はりつめなくても…って思うくらい、静かですね…。イベンターであるキョードー大阪の社長さんがたまに来てくれるんですけど「大阪人をここまでだまらせたんはアンタが初めてや!」みたいな(笑)。私はすごく緊張するタチだし、そういう負のオーラを人にうつしちゃったりもあるのかと思うと、申し訳ない気持ちになったりして(笑)」
(安藤ディレクター)「ポテトチップスとか配ればいいんじゃない?」
「バリバリバリってね(笑)」
----静かなのはむしろ、一遍足りとも聞き逃すか! という大阪人のがめつい精神からかもしれません。そんなアコースティックライブですが、もはや安藤さんにとってはライフワークといえるのではと思います。
「そうですね。アコースティックは自分に合っているような気がします。もちろんバンドライブをやって成長してきたと思うんですが、アコースティックセットってすごく歌うことに特化して成長できると思うんですよね。裸に近い感じの印象があるから」
----そして今ツアーの恒例、安藤さんの弾き語りコーナーも楽しみにされている方は多いですよね。
「マゾコーナーね(笑)。去年のライブでギターをやって以来、そのまま今を迎えているんですが、その間ずっと触っていなくて。…なんと弦がくさったんですよね(笑)。1曲くらいは披露したいと思っているんですが、このタイミングでまず弦をはりかえるところからしなくてはいけないという(笑)」
----なんと! ただでさえご自分をいじめるコーナーなのに、より緊張を強いる瞬間になりそうですね(笑)。
「そうですね(笑)。でも全体的に言えることですが、緊張って、いいものと悪いものがあると思うんです。いい緊張は集中力を呼んでくれるし、悪い緊張は会場も自分もアワアワさせてしまうというか。その日の自分ができることしかできないから、それが実力というものなので(笑)。でも結局のところ、ライブは大好きですね。ライブがないとつまらない!」
----安藤さんにとってライブは欠かせないし、安藤さんの世界が一番肌身でわかるのは、やはり何よりライブだといえそうです。では、最後に来年に向けての抱負などを。
「ライブをいっぱいやりたいですね。来年頭ももちろんありますけど、春夏もアコースティックライブをやりたいなぁとか考えています。後は個人的に、合気道と中国語を習いたい! この間、ちょっと柄がよろしくない地域を歩いていて、ちょっとドキドキしてたら「ねぇちゃん!」って声かけられたんですよ。ヒヤッとしたんですが振り返ったら彼(安藤ディレクター)だったんですけど(笑)。それ以来、何事にもすくまない自分を作らないと! と思いまして。健康でいたい…強くいたい…いろんな意味で整えたいですね(笑)」
----その“何事にもすくまない”精神はライブそのものはもちろん、安藤さん曰く“マゾコーナー”という弾き語りコーナーにも生かされるのでは? 来年以降もますます安藤さんから目が離せなくなりそう。まずは、1月のアコースティックツアーを楽しみにしています。ありがとうございました。
(12月18日更新)
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