――このユニットの結成の経緯ってどういうものだったんですか? |
亀田
『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の映画サイドからお話を頂いたんです。“この3人で何かやりませんか?”と。
布袋
“俺たち3人でやりたいんですけど”と、先方にお話したわけではなく(笑)。
KREVA
立候補ではなく指名制(笑)。
亀田
理由として先方がおっしゃっていたのが、“この映画は革命的で新しいアプローチを行っているので、音楽は日本のロック界で革命を起こされた布袋さん。日本のヒップホップ界で革命を起こしたKREVAさん。そして亀田さん。この3人で何かやれることはないでしょうか?”ということでした。それで“亀田さん、頼んだよ!”と(笑)。
布袋
初めての顔合わせの時に、亀田くんが早速アイディアをぶつけてくれたんです。それで一気に3人の心が近づいた。そこから名プロデューサーぶりを発揮してましたね。
亀田
“この3人でしか出来ないことを、スピード感のある中でやっていきましょう。基本的にはフリースタイルで、それぞれのものを最大限に発揮してください。俳句で言えば上の句は僕が詠むので、下の句はフリースタイルでやってください”ということを2人にはお伝えしていました。
KREVA
手紙を渡してくださったんですよ。紙に“こういう流れで”っていうことが書いてあって。
布袋
亀田くんの作ったベーシックなものが曲の骨格となったんですけど、それはすごくイメージが湧くものでした。恐竜の骨って、“肉がついたらこういう感じだろうな”ってすごくイメージがかきたてられますけど、まさにそういうもので。
――ラップとロックを融合させるというと、ミクスチャーっぽいものを想像する人が多いとは思うんですが、「裏切り御免」は全くの別モノですね。 |
亀田
どこにも属さないで、群れないでいたいっていう気持ちは、この3人それぞれの中に強くあると思うんです。だからじゃないですかね。映画自体も新しいエンタテインメント・アドベンチャー。“和テイスト”みたいなものにするのも違うと思ってました。
KREVA
東宝の方とお話をした時に、“映画の内容は全く気にしなくていいので、3人で自由にやってください”と、30分くらいの間に3回くらい言われましたし(笑)。
――この曲は歌詞も気持ちいいですよ。既成の枠をブッ飛ばして、何か新しいものを掴もうとする心意気がすごくみなぎっているじゃないですか。 |
KREVA
映画の主人公の、物語の中での気持ちと、この3人の音楽へ向かう姿勢がリンクさせられればいいなと思ってました。亀田さんが“ここをこうしたらもっとキャッチーかも”みたいなことを提案してくれるのも、すごく勉強になりました。
――“裏切り御免”って言葉自体もすごくキャッチーですけど、これはKREVAさんから出てきたんですか? |
KREVA
いや、これは映画からサンプリングしたものなんですよ。でも、あまり詳しく言うとネタバレになるので(笑)。映画を観ればどういうことなのか分かると思います。
――その点と、KREVAさんの出演シーンは要チェックポイント? |
KREVA
俺が阿部寛さんをどんな風に棒で殴っているのかにも期待してもらいたい。初めて会うから挨拶して、その数分後に阿部さんを棒で殴っているという(笑)。
布袋
それってすごいことだよね(笑)。
KREVA
“すみません! 痛くないですか?”って訊いたら、“意外と痛いなあ”って言ってました。だから“嫌いになんないでください!”と(笑)。
布袋
映画って面白いでしょ? 今までも何回か出てるの?
KREVA
今回で2回目です。待ち時間が長かったり、大変な世界ですよね。
布袋
大変な仕事だよ。ミュージシャンが一番だよね(笑)。映画の世界の人は映画に命を賭けている。だから、その世界に入る時は申し訳ないような気持ちも半分あったりする。だから頑張ることで僕らは返すしかないんですよね。
――KREVAさんは『ローレライ』に続いて、樋口真嗣監督の作品に出演したわけですけど、今回も声を掛けて頂いたんですか? |
KREVA
そうなんですよ。監督のヴィジュアルの選考基準の枠に、俺はいつも入っているみたいで。『ローレライ』の時は“ふてぶてしい顔の人”ってことで選ばれ(笑)。今回は“サムライ顔の人”ってことだったみたいです。
亀田
布袋さんもKREVAくんも、アーティストとして“サムライ感”みたいなものが、たしかにありますよね。
布袋
亀田くんは“船乗り感”みたいなものがあるかな。
KREVA
船乗りですか(笑)!?
布袋
俺はギターが刀みたいな感じで、KREVAは手裏剣系。亀田くんは…。
KREVA
“舵取り”みたいなイメージじゃないですか? この3人で映画を作ったら、亀田さんは最後に船に乗って、俺たちを置いて何処かへ行っちゃう感じかも(笑)。
Text:田中大 Photo:源賀津己
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