約3年ぶりとなるオリジナル・アルバムを完成させた湘南乃風。メンバー個々の活動を経て作り上げた今作は、どんな内容になったのか? 4人に話を訊いた。
Text●宮本英夫 Photo●源賀津己
――前作から約3年ぶりのリリース。今までで一番時間がかかりましたね。
RED RICE「アルバム制作には時間はあまり割いていないんですが(笑)。前回のアルバムが出てから、大まかなスケジュールとしては“2年後に出したい”ということで、シングルを1曲1曲作っていく中で、メンバーが個々のやりたいことにもトライしていこうじゃないかと。湘南乃風としてもこの3年間止まることなく、ライブもやってシングルも出してきたんですけど、たとえばHAN-KUNのソロだったり、若旦那のムコ多糖症の支援だったり、SHOCK EYEはトラック制作もけっこうやっているし、みんなが自分のためになることをやっていく期間でしたね、この3年間は。それが一つ一つ実を結んでいく中で、HAN-KUNのソロツアーが終わった去年の秋口ぐらいから“じゃあそろそろアルバムに取り掛かろうか”と。自然とそういう流れで始まったという感じですね」
――アルバムリリースはなかったものの、それぞれにとって実り多き3年間だったと。
SHOCK EYE「家にいても、気付いたら機材を触ったりして、また新しい発見があったりして。本当に純粋に“音楽をやりたい”ということを思うようになったし、4人で集まった時にもそういうアイデアを持ち寄って作業するのが楽しかったですね」
――ソロ曲も今まで以上にメンバーの個性が出ていると思います。たとえばSHOCK EYEさんのソロ『親愛なる…』は、結婚したばかりの今の気持ちを率直に歌った大きなラブソングになってますね。
SHOCK EYE「今しか歌えないというか、今やっと歌えたというか。結婚したことによって、向こうの家族と接して、家族がいるから彼女はこういう人になったんだなと思ったし、逆に彼女が自分の家族の中に入ることで、自分の家族の新たな一面が見えたりとか。いい意味で影響しあったし、自分たちを通して、両方の親が何か感じ取ってくれたこともあるだろうし。その3つのカップルが見えない糸でつながっているという、それがこの歌で表現できたかなと思います」
RED RICE「俺のソロはいつも、楽しいものや、ちょっと下ネタとか(笑)、そういうものがもともと基本軸にあったので。真剣に熱くなるようなものをソロではやってこなかったんですけど、今回(『約束』)はそれを形にしてみました。サウンドやメッセージ的にはそんなに新しい感じはしないんですけど、それを俺が一人でやることで、逆に前から俺のことを聴いてくれてた人は、“こんなのも歌うんだ”と思ってくれたんじゃないかな」
若旦那「これ(『ダイヤモンド』)は自分の中で、遊びの中にある新しさというか、新しさゆえの挑戦です。ミックスにすごく苦労したし、でも苦労して探ってる時が一番楽しかったし、その壁を乗り越えた喜びがありました。難しいところに挑戦したんだけど、最終的には聴いてて楽しく、ある意味驚いちゃう、聴いてて勝手に腰が動き出すダンスチューンができたんじゃないかなと思います」
――HAN-KUNさんは、自分のソロアルバムとツアーを終えてすぐに湘南乃風の制作に取り掛かったんですよね。
HAN-KUN「ソロを作ったことで、制作に対するスピード感とか、自分の立ち位置であるメッセージ感とか、それがすごい明確になっていたので。4人の立ち位置がすごく明確なアルバムにしたかったし、自分がソロでやってきたスピード感をフィードバックして、ファーストを作った頃のスピード感を思い出そうという感じはありました。(活動のペースが)速ければいいってわけじゃないけど、ゆっくりやってた分、どこかマインドもゆるくなってたから。俺がスピード感を持ち込むことで、眠ってるものを呼び覚ますみたいな、火事場のクソ力みたいなものがみんなの中で燃えてきて。そのぶんフレッシュなものができたと思うし、そこはみんなと共有できたかなと思います」
――前半に激しく攻撃的な曲があって、中盤に今までになかったような新しい曲調を並べて、後半はバラードやメッセージを持ったスケールの大きな曲で締める。まるでライブを体験しているような構成だと思います。
RED RICE「曲順に関してはいろんな意見があって、最後まで変わったりしてましたね。いろんな顔の曲があるから、並べ方によって聴こえ方が変わってくるので。楽曲制作はスムーズに行ったんですけど、まとめる作業には時間をかけましたね」
――4月22日からは久しぶりのワンマンツアーも始まります。会場も横浜アリーナや大阪城ホールなど大きなところが多いですが、どんなライブを見せたいですか?
HAN-KUN「今回のツアーは、自分たちでも初めて回る場所も何か所か用意してもらえたので、まずそこに対する意気込みがあります。それと、今回のアルバムで僕たちを初めて聴く人たちがいると思うんですけど、そういう人たちをいかに自分らの音楽世界へ連れて行けるか。それがすごい鍵になってくるんじゃないかと思ってます。それに対して一生懸命やれば、おのずと結果は出るんじゃないかと思いますね。デカいサイズなりの見せ方や、今までにはない自分たちの出し方も模索しながら、作り上げていきたいと思います」
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