- ドリカム、20周年ツアースタート。自身最多の40曲を披露!
(2009年3月23日ニュース)
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Text ●島田 諭
デビュー20周年。DREAMS COME TRUEの2009年はアニバーサリー・イヤーであり、そしてファンにとってはサプライズ・イヤーでもある。デビュー日である3月21日(土)からスタートする全国ツアーの内容に対する期待もさることながら、この日に発表されるニュー・アルバム『DO YOU DREAMS COME TRUE?』のクオリティの高さには間違いなく驚かされるだろう。さらにそのパッケージング。新作単品の通常盤に加え、DVD、そしてなんと、前代未聞のベスト・アルバムを付けた3パターンでのリリースなのである。これはドリのどんな意図、どんな願いが込められた上でのものなのだろうか。中村正人に話を訊いた。
──中村さんが個人的なリスナーとして思う、いいアルバムってなんですか?
「1曲目から一気に聴けるということです。次も聴きたくなる。ただ聴きたくなる。プロになると理屈で考えることが多くなってくるんですけど(笑)、音楽って理屈じゃないですよね。聴き始めたら止まらない、それがいいアルバムです」
──たとえば十代といった若いリスナーには、アルバムって概念がないかもしれないですよね。
「アルバムの価値はもうないのかもしれないですね。なぜアルバムが必要なのか、ダウンロードで1曲1曲好きな曲を集めればいいじゃないかって思っているでしょうね」
──アルバムって、どんな曲が入っているのかはもちろんのこと、曲順も重要なんですけど、新作の曲順は誰が決めたんですか?
「吉田さん(美和)です」
──LP、とてもアナログ盤的な曲順ですよね。まず、1曲目から3曲目の大きな掴みがあって、それとは違う展開があって、7曲目からまた違う流れが……。
「うんうん。若い人で知っている人は少ないと思うけど、昔はA面からB面にレコードをひっくり返さないと続きが聴けなかった。その作業をさせるのが大変だし、重要なんですよね。そうしないとアルバムが成り立たないから」
──でも、理屈じゃない部分でアルバムが構成されていると感じる部分もあるんですよ。
「吉田さんがどういうアルバムにしたいのかが明確にあって、1曲1曲をこうしたいということも明確にあったんですよ。だからアレンジもミックスもジャケットのデザインのアイデアも、なにからなにまで吉田さんのプロデュース作品です」
──美和さんのアーティスト・エゴを押し通したということですか?
「エゴではなくて、吉田さんが表現したいことを強く押し出したということです。だからぼくの作った曲はほとんどボツ(笑)」
──どういうことなんでしょうか?
「いままではぼくがリーダーシップをとってきたわけですけど、その役割をいまは吉田さんがしているということです。彼女が意識しようがしまいが、そこに到達したアルバムということですね」
──20周年というタイミングに、偶然といえば偶然ですね。
「だから20周年目のデビュー・アルバムができたのかなとも思いますね。リボーンです」
──中村さんは、もともとドリはどんなアルバムが作れたらいいなと思っていたんですか?
「具体的にいえば、アース・ウインド&ファイアーの『All’N All』(邦題は『太陽神』、1977年発表作)というアルバムがあって、これは当時の最新のポップ、さまざまな音楽ジャンルが融合した理屈なしの醍醐味が凝縮されたものだったんですよ。それと、ビートルズの全アルバムがそうですよね。さっきもいいましたけど、聴き始めたら止まらないってことで、デビューしたときからドリカムが目指していたのは、そういうアルバムです」
──あくまでもポップ性を重視するわけですね。
「それもありますけど、デジタル時代だからこそダウンロードで集めた好きな曲と、アルバムという形にした作品を並べると、そこから見えてくる風景や物語というのもおもしろいですよ、と。1曲1曲で聴くのとは違う解釈もできるんですよ、と。それを理屈なしに楽しんでもらえたら最高にうれしいわけです」
──たしかにアルバムという概念も価値観も壊れてしまった時代ですけど、だからこそアーティスト側が、アルバムとはこういうものであるということを提示していかなければならないと思うんですよ。
「そのとおりだと思います。売らないといけないしね(笑)。だからベスト盤も付けるんですよ!」
──誰もやったことのないパッケージですよね。
「ドリカムは誰もやったことのないことをするのが好きなんですよ。去年はEXILEの“パーフェクト・イヤー”だったので、今年はドリカムの“パーフェクト・イヤ〜ン”にしようかなと(笑)」
──オヤジギャグだ!
「うははははは! でも、みなさんが手にとりたいという形でパッケージを作らないと、手にとってもらえないですよ」
──ぼくもそう思います。なにがいいのか悪いのかではなく、なんとかして手にとってもらおうとすることって大事だと思うんですよね。
「ベスト盤を付けたのは、最近ドリカムを知り始めた人や新しいファンのためのアイテムなんですよ。気が付いたら“ニュー・アルバムが付いてた”みたいなノリで楽しんでくださいというか(笑)。DVD付きのほうは、ずっとドリカムを知っている人たちのためのもので、ベスト盤もDVDも要らないという人は通常盤でいいですし、つまり、どんな手段を使ってもニュー・アルバムを聴いてもらいたいんです!!」
──選択肢を多く提示するのは健全だと思うんですよね。
「ユーザーのためにできることをするのは大切ですから」
──映画好きな人は、映画はスクリーンで観るべきだというんですけど、自宅の小さなテレビ画面で観ても楽しめるものは楽しめるんですよね。
「そういうことだと思います」
──ニュー・アルバムの発売日からツアーが始まりますけど。当然、ニュー・アルバムを軸にした……。
「いや、その前の、『AND I LOVE YOU』(2007年発表作)も。あのアルバムのツアーはしなかったですから」
──20周年なのでヒット曲や代表曲を盛り込むことも必要ですよね。
「吉田さんの考え方では、2枚のアルバムも含めながら、20周年の花を散りばめるというか、新旧混ぜ合わせてというか……20周年のマジックですよ。20年やってきたからこそのなにかが起きるというか。集中してがんばりますよ。自分たちがドリカムであることをあらためて考える機会にもなると思いますし」
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