- 『VIVA A.I.』
- 発売中/ユニバーサル シグマ
- 3300円 / UPCI-9029
昨年末から今年2月までクラブツアーを実施したAI。息をつく間もなく、3月4日にはニュー・アルバム『VIVA A.I.』をリリースした。本作のことを中心に、4月から始まるツアーについて訊いた。
Text●藤井美保 Photo●三浦孝明 Styling●後藤則子(ポストファウンデーション)
Hair&Make●小野明美
――今回のアルバムでテーマにしてたことはありましたか?
「一言でいえば、“チャレンジ!”。やったことのないこと、行ったことのない場所、もうすべて挑戦してみようと。コンセプトなんてないんです。全曲見事にバラバラ(笑)。大事なのは、それぞれの曲を絶対に楽しくやることだと思ってました」
――先行して発売された『YOU ARE MY STAR』はアップテンポの曲ですが、サウンドがすごく柔らかくて素敵ですね。
「初の4つ打ち系だけど、トラックがカッコよかったから絶対やりたいと思ったんです。“ナナナ”でメロディを作り始めたら、その響きが“STAR”に聞こえて、あ、そういえば、小っちゃい頃、私が落ち込んでると、ママが“You are my star”って言ってたなと思い出した。そこから詞を書いていきました。だから1番は、昔の自分に対して励ましを送ってるって感じなんです。世の中、完璧な人なんてどこにもいなくて、みんな何かを抱えながら頑張ってる。私の周りにもいっぱいいますよ。歌手を目指しながら、派遣系のバイトを掛け持ちしてる子とかね。私からしたら、ハンパない。誰が何と言おうと“アンタはスターだ”って思うんです」
――その言葉、元気をもらいました! 『my angel』は、スウェーデンでレコーディングしてきたそうですね。
「それもチャレンジ。これまでも何曲かトラックを提供してもらっていたプロデューサー・チームと、今回は直に会って作業してみようと思いました。初スウェーデンですよ。街はきれいだし、人は落ち着いてるし、椅子ひとつとってもヤらしいくらいオシャレ(笑)。もう、最高でしたね。違った環境で聴くと、音の印象もまた違う。マジかっこいい音ができたと思ってます」
――『SCREAM feat. JESSE from RIZE』はライブで盛り上がりそうですね。
「うん。発散ソング。JESSEとはずっと友達だったからこそ、なんか近いところで作ってるなぁと周りから思われるのがヤで、ま、そのうちって思ってたんです。そしたら、今年になって偶然会ったJESSEが、“そろそろやろうよ。マジで超カッコいいヤツ”と言ってくれて、アルバムの最後の最後に実現しました。もちろん、ヤツのカッコいいところもと思って、ギターも入れてもらいましたよ。叫びもすごいし、爆笑のしゃべりも入ってるし、ホント、面白かったです」
――『Like a bird feat. CORN HEAD』は、どんな経緯で?
「彼とは偶然スタジオで顔を合わせることも多かったし、ライブもバッチリだから、いつか一緒にやりたいなと思ってたんです。ファンタジックでちょっと浮かれた感じの曲に、あの独特のイカつい声がほしかった。人としてもね、ウマが合うし。まぁそうじゃないとコラボはできないですからね」
――珍しい歌詞の題材だなと思ったのは『Day Vacation』です。
「唯一の“サボろうぜ”ソング(笑)。時々いづらいなぁって思うシチュエーションってあるじゃないですか。そんなとき、たまには全部ほっぽらかして出ていってもいいんじゃないかなって。ま、実際にそうやったら周りが困っちゃうから、こうやって歌の中で夢を語ってるんですけどね(笑)」
――シリアスなメッセージをバラに喩えた『Rose』も、すごく印象的でした。
「ある雨の降るドヨ~ンとした日に、歌詞も書けないままなんとなくニュースを見てたら、なんだか人の愚かさに腹が立ってきて、“なんでなの?”と、その元の元まで辿って、憎しみ合うより大事なことがあるでしょと、叫びたい気持ちになったんです。それをバラに喩えてみた。バラの刺は誰かを傷つけるためじゃなく、大事なものを守るためにあるんじゃないかなと思って。実はね、いつだったか誰かにもらったバラが、テレビの横のペットボトルの中で腐ってたことがあって、“すまん!”と思った。たぶん“そいつ”が何かメッセージをくれたんだろうね。そんな小さな出来事が、けっこう歌詞のきっかけになったりするんですよ」
――ラブソングでは、個人的に『feel for you』がせつなくて好きでした。
「あれは、映画『クローバーフィールド』を見て、今日が地球最後の日だったら何を言うか、みたいなところから書いていきました。もう自分の人生だけじゃ追っつかないんで、そういうところからもきっかけをもらってるんです。ただ、映画としては、最後ジャミラみたいなモンスターが出てきて、それまでのドラマが台無し、なんですけどね(笑)」
――タイトルはどんなふうに?
「ジャケットの撮影中、カメラマンのレスリー・キーが、いきなり“VIVAってどう?”と。聴いた瞬間、“やった!”と思いました。ちょっと能天気だけど、革命成功とか歓喜といったイメージがあって、チャレンジがテーマだった今回の作品にピッタリだなと」
――4月からは長いツアーも始まりますね。
「ここ3年くらいは、ダンサーを入れた見せるライブをやってきたんですけど、今年は音でパワーを感じてもらえるライブにしようと思ってます。基調となる色や衣装も変えていこうかなと。これもチャレンジ。バンドはもう間違いないです。ぜひ楽しみにしててください!」
