Text●高橋智樹
Dragon Ash渾身のニュー・アルバム『FREEDOM』ついにリリース! 前作『INDEPENDIENTE』からさらに力強さと自由度を増した、ラテン・フレイバーのアコースティック・サウンド。Dragon Ashの歴史をオーディエンスと一緒に謳歌するようなシングル曲をはじめ、風通しのよさと熱い音楽探究心があふれ出す全14曲。3月3日には「撮影OK! みんなでYouTubeにUPしよう!」という前代未聞の代々木公園フリーライブも成功させ、3月18日(水)スタートの全国ツアー『Dragon Ash Tour FREEDOM』も目前。1997年のデビューから実に12年が過ぎ、全員が30代以上となった今、Dragon Ashが掲げる「FREEDOM」について訊いた。
──ハードコアからスパニッシュ/スカ/レゲエまで取り込んだ、そのものズバリの『Mixture』という曲もある通りの、究極のミクスチャー・アルバムですね。
Kj「(笑)そう言われると悪い気はしないですけど。ミクスチャーっていうものがジャンル化してムーブメントに乗っかったのはいいんだけど、それが全部並列化してしまうと、それはミクスチャーではないというか。もちろん、それを続けててめちゃめちゃカッコいいと思うバンドもいるし、『同志だ』って思えるバンドもいるけど、我々はそういうアプローチはしなかったんですよね。いい・悪いじゃなくて。本来の意味でのミクスチャーイズムという――従来あるものを創意工夫して、従来なかったものを作り上げる、っていう。ミクスチャー・バンドであるための創意工夫は続けるべきだし。ひとつ何かを確立したのであれば……それはすごく誇らしいことなんだけど、『また何か楽しいこと考えようぜ』っていう感覚になるかな、自分の性格的に」
BOTS「まあ、曲の大元の部分は建志(Kj)が作ってくるんだけど……そこでどんな試行錯誤してるかはわかんないけど、制作過程においては『それいいねえ!』ぐらいな感じですからね(笑)。『こっちのリフのほうがミクスチャーっぽくね?』とか真面目に話してると、逆に怪しい感じしますよね(笑)」
──1999年に、Dragon Ashは『Viva la Revolution』というアルバムでシーンに「革命」を起こしたわけですけども。最近のアコースティック・アレンジを聴いていると、その「革命」を、より風通しのいい形で改めて今の日本で鳴らしているようにも思えてくるんですが?
Kj「まあ、そこまで考えて音楽はやってないですけど……言葉は大きいですけど、何のために『革命』を起こすかっていったら、肉体的・精神的自由のためだと思うんですね。その『革命』を成し得た後で、今度は何をするべきか?と。闘う相手がいなくなって燃え尽き症候群になるのか、チェ・ゲバラのように他の場所に闘いを求めていくのか、っていうね。我々の場合は、『勝ち取った自由を祝おうよ』っていうことですね」
──今作は『FREEDOM』というタイトルですが、Dragon Ashで「FREEDOM」を感じる瞬間といえば?
IKUZONE「『ライブ空間』ですね。うん。純粋に音楽を聴きにくる人もいれば、身体を動かして表現する人もいるし。会場にいる限りは自由なんで。おっさんがいても、子連れがいても。そのみんなが全員楽しめてるな、っていう空間であってほしいし、そうだなと思えた時がFREEDOMだと思います」
BOTS「俺の場合は……『最初に曲を渡された時に、そこから自分の中でイメージしていったり、音を鳴らしたりしていく瞬間』ですかね」
Kj「BOTSはラブソングに『テキーラ!』って声ネタ入れてきましたからね。そりゃFREEDOMでしょ(笑)」
7人「(笑)」
Kj「むしろ俺は創作の時かな、ライブより。ひとりでDragonの曲を作ってる時とか、7人でDragonのレコーディングに入ってる時とか。ただただ自由に、みんながみんなそれぞれクリエイティブなことを考えて音楽を作っているっていう」
ATSUSHI「自分は『ライブ』ですね。ステージに立っている時というか」
桜井「俺は『ドラマーというポジション』ですかね。人前に出て何かをやるっていう感じではなくて、人に求められて喜びを得るタイプなので。特に最近の曲はリズムが難しいですけど、難しいことを要求されてやることに喜びを感じているので」
DRI-V「やっぱり『ライブ』ですね。まさに生音に合わせて踊っている瞬間です」
HIROKI「『Dragon Ashの仕事』が、俺にとっては自由ですね(笑)。あと、自由っていっても、何でも自由に鳴ってていいわけじゃないんで。曲に合わなきゃいけないんで。そこは工夫の要るところですね」
──3月18日(水)からはまた全国ツアーもスタートしますね。
桜井「わりかしミクスチャー・バンドの中では明るいし(笑)、聴きやすいと思うので。こういう音楽に触れる機会の少ない人でも心に引っかかる人はいると思うので。怖がらずにライブを見てほしいと思いますね」
Kj「やっぱりライブに来てほしいですね、ロック・バンドなんで。音楽作るのはもちろん、同じくらいライブの高揚感に意義を感じてやっているので。現場に来て、この音楽を共有してほしいですね」
IKUZONE「代々木公園フリーライブの映像がYouTubeにUPされているので。それを見て『楽しそうだな』と思ったら劇場へ足を運んでください!的な(笑)。予告編として捉えてほしいな――っていう感じですね」
