- パフィー
吉村由美(よしむら・ゆみ / 写真上)
大貫亜美(おおぬき・あみ / 写真下) - 1996年、奥田民生プロデュースによるシングル『アジアの純真』でデビュー。彼女たちを主人公にしたアニメ「ハイ!ハイ!パフィー・アミユミ」が世界110か国以上で放送されるなど、まさに、日本が誇る世界のポップ・アイコンとして活躍中。
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椎名林檎、作詞作曲による最新シングル『日和姫』について、PUFFYのいま現在、そして今後のビジョンについて訊いた。
Text●島田諭 Photo●橋本塁
PUFFYの楽曲クレジットに「豪華アーティスト」の名前があるのは、とくにめずらしいことではない。なんたってデビュー曲『アジアの純真』は、井上陽水と奥田民生なのである。最近ではブッチ・ウォーカー&アヴリル・ラヴィーンといった海外勢からの提供も多く、そして最新シングル『日和姫』では椎名林檎の名前が! しかし大貫亜美も吉村由美も自分で歌詞を書くこともある。そこで、このインタビューでは新曲のことだけでなく、これまで、そして現在の制作活動についても話を訊いてみた。
──去年のPUFFYはシングルを2枚出しましたし(『All Because Of You』と『マイストーリー』)、ワンマンライブもしましたし(7月に東京・大阪・名古屋の3か所で実施)、イベントにも出演していたわけですけど、いつもの年に比べると表立った動きが少ないように思えたんですよ
由美「そうですか? 結構忙しかったですよ!」
──つまり、楽曲制作に多くの時間を費やしていたんじゃないかなと思ったんですけれども。
由美「たしかにレコーディング作業はたくさんしていましたね」
亜美「基本はスタジオだった……かな?」
──いままでよりも制作に時間をかけてみようということなんですか?
由美「じっくり作るために時間をかけることもありますけど、誰かに書いていただいた曲を歌うとなると、その方のスケジュールもあるのでまとめてレコーディングできないんですよ。そういう意味で時間がかかるということもあります」
──新曲の『日和姫』は椎名林檎さんが書いたものなんですけれど、これはPUFFYサイドからお願いしたんですよね?
亜美「そうです」
──「こんな曲にしてほしい!」みたいなリクエストはしたんですか?
亜美「なんにもナシです。ナシでいったら、どういう曲ができあがってくるのかなと思って」
──試したわけですね!(笑)
亜美「違いますよ!(笑)」
──『日和姫』を聴いた第一印象は?
亜美「“すっばらしい!”なと」
由美「デモテープの声がダブルだったんですよ。ふたりが歌うってことを前提に作ってくれたんですね」
亜美「PUFFYの曲を作るというコンセプトをよくわかっていて。ありがたかったですね」
──林檎さんはレコーディングに立ち合うんですよね?
亜美「はい、もちろん“ベタ”で」
──そのとき、なにか特別な注文はあったんですか?
亜美「PUFFYらしく……亜美ちゃんらしく、由美ちゃんらしくやってもらえれば、って」
由美「演奏も東京事変のみなさんにやってもらって、林檎ちゃんの指示も的確だったのでレコーディングはスムースでしたね」
──キャラクターも含め、ふたりのことをよく理解した上でのものだったんですね。
由美「そうです。歌入れは時間がかかると思ったんですけど、こんなに(レコーディングが)早く終わるんだって、ちょっとビックリ(笑)」
──いま、自分たちで詞を書くことはしていないんですか?
由美「書いてます」
亜美「これから発表するかもしれない曲はありますよ」
由美「PUFFYはストックなしで有名なんですけどね(笑)」
──曲……つまり歌詞は、ふたりでどうやって作り上げていくんですか?
由美「雑談の中で書くこともあれば……最近はパターンがいろいろ増えてきて」
──以前はパターンがなかったということですよね。
由美「そうです。どっちかが先行で書いて、どっちかがそれを埋めていくというパターンしかなかったんですけど、話し合ったり、電話しつつパソコン見つつ作ったり……ファクスからメールに変わったことがおっきいかな」
亜美「時代の流れよねー」
──亜美さん、パソコンのキーを叩くのが遅そうですよね(笑)。
亜美「ところが、わたし、できるんですよ、ブラインド・タッチが。秘書向き!(笑)」
──歌の世界観や具体的な言葉はどうやって決まっていくんですか?
由美「方向性がないと始まらないので、“季節はどうする?”とか」
亜美「“時間帯は昼にする? 夜にする?”とか」
──制作やレコーディングが断続的だと、たとえば次のアルバムに対する景色を具体的に思い浮かべるのが難しいと思うんですけど。
由美「一気にやらず、徐々にやると、こういう曲がほしい、こういう曲を入れたいって考えられるので、それはそれでいいと思うんですよね」
──PUFFYはいま、音楽的にはどんなモードなんですか?
亜美「新曲もそうですけど、自分たちが歌っていて酔える、感情移入できる曲を欲しているというか」
──以前はそういう欲求がなかったんですか?
亜美「昔は、自信がないから“ふたりが楽しいと思えることを”っていうまわりの意見を聞いてやっていたんですけど、いまはそれだけだと物足りなさが出てきて。あとはライブ映えする曲をもっと歌っていきたいですね」
──『日和姫』はまさにそういう、アッパーな曲じゃないですか。
由美「そうですね。ライブ映えする曲ってことに関しては、ここ何年か意識はしていることではあるんですけど、和める、ホッとするでもライブ映えする……テンポの問題じゃなくて、そういう曲も歌っていきたいんですよね。でもそろそろアルバム出さないと……あれ? 去年出した!? 出してないよね」
亜美「そろそろ出さないとマズイよね(笑)」
