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Interview

aiko 新曲に描かれた“かけがえのない瞬間”

aiko

昨年デビュー10周年を迎えたaikoが2月にニュー・シングル『milk/嘆きのキス』をリリースした。本作の制作過程や、曲に込められた想いを語ってもらった。

Text●森朋之

いろんなところに行って いろんな人に会って

――今回のシングル『milk/嘆きのキス』には、いつも以上に“世界を肯定したい”という思いが溢れてるような気がしました。

「ふだんから極力、最後はちょっと上を向いてる感じになったらいいっな思ってるんですよ、聴いてる人も、歌ってるときも。もしかしたら、そういう気持ちがたくさん出たのかもしれないですね。アレンジにもバンド感が強く出てるし、(『milk』と『嘆きのキス』を)続けて聴くと、私もテンションが上がります」

――特に『milk』は、アッパーなバンドサウンドが印象的ですね。これはどんなきっかけで生まれた曲なんですか?

「去年の夏、ツアー中に書いたんですけど、きっかけは洗面所で自分の顔を見て“どうやって笑ったらいいんだろう?”って思ったことですね。テレビとか雑誌の撮影なんかで、“正面向いて笑ってください”って言われると、“どうやるんだっけ?”って考えちゃうことがあるんですよ」

――曲の出だしの歌詞、そのままですね。

「そうそう。あとはね、これは私が日常で強く思ってることなんだけど、振り返ってみると“すごいことだな”って感じることが多くて。何気なく過ごしているけど、そこで目にしたもの、感じたことっていうのは、じつはとても大切なことだと思うんですよ」

――当たり前の毎日こそ奇跡の連続、というか。

「うん、そうだと思います。そのことをいつも実感していたいし、こうやって曲にして残せるっていうのも素晴らしいことだなって」

――そういう発想って、昔からありました?

「はい。びびりなんですよ、私。小学生のころから、ずっと“死んだらどうしよう”って思ってたし、思春期のころに手相を見てもらったときも、恋愛相談とかではなくて“私、死にませんか?”って聞きましたから(笑)。つき合った人に対しても“死なないで”っていつも思ってるし」

――そうやって、いつも死んだときのことを意識してるのって……。

「しんどいですよ(笑)。ただ、最近は“この場所が大事”とか“この人たちが大事”っていうことがはっきりしてきて、だからこそ、“この瞬間を大事にしたい”って思うようになって。なかなかラクにはなれないけど、でも、もっと楽しみたいなって思えるようにはなってきました。信頼できる、心を許せる人がまわりにたくさんいてくれるっていうのは、大きな変化ですね」

――『嘆きのキス』は本当に切なくて、美しいバラードですが、この曲のなかにも“かけがえのない瞬間”が反映されてる?

「この曲は、夜中、ベッドで泣いてたときに浮かんできたんです。シーツに涙が落ちて、“あ、こんな音がするんや”って思って。そのときに感じた、儚くて真っ直ぐな思いを、どうやったら曲にできるだろうって。ときどきね、すごく純粋に“生きてくれてたらいい”って思えるときがあるんです」

――好きだった人に対して?

「そう。ほかの場所で、ほかの誰かに笑いかけていても、元気でいてくれればそれでいいって。ホントはそんなのイヤだし、“コケたらええのに”って思ってるんですけど(笑)。でも、ふとした瞬間にすごく純粋な気持ちになれる。それがいつか、揺ぎなくて強い気持ちになっていくのかなとも思うし」

――3曲目の『なんて一日』は?

「これはライブのときに感じたことが大きいですね。ライブって毎回、すべて違うんですよ。自分の体調だったり、ホールの大きさだったり、会場の温度とか湿度とか。だから毎回、“なんて1日だったんだろう”って思える日にしようって思ってるんですけど、でも、それはライブのない日でも同じだなって気づいたんです。次の瞬間に起こることは、自分次第で、何百通りもある。だったら、楽しく生きていきたいなって。それは今後のテーマでもありますね」

――きっとaikoさんは、日々を丁寧に生きてるんでしょうね。だから、多くの人が気付かなかったり、すぐに忘れてしまうような感情の揺れを捉えることができるんだと思います。

「丁寧に……うーん、そんなことないよぉ。ちょっと前まで、ものすごい勢いでごはんを作ってたんだけど、忙しくなるともうダメだし(笑)。でも、小さいことをひとつひとつ、大事にしてきたいとは思ってます。あとね、今年はもっと積極的に、たくさんの人に会いたいなって」

――気持ちが外に向かってる?

「そうかもしれない。ずっと家から出ない生活が続いてるから、それは良くないなって。年末の歌番組で“今年はプライベートで5回、食事に行きました”って言ったら、“5回しか行ってないんですか?”ってみんなに心配されて(笑)。いろんなところに行って、いろんな人に会って。そこで気付くことがあったら嬉しいし」

――それが曲につながることもあるんでしょうね。

「ね! デビューから10年経って、やりたいことがどんどん減っていくのかなって思ってたんだけど、そんなことはぜんぜんなくて。もっと違う角度から曲を書いてみたい、って思えるようになったし、今年もがんばっていきたいです」

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PROFILE

あいこ
大阪府出身のシンガー・ソングライター。1998年7月シングル『あした』でデビュー。3rdシングル『花火』、4thシングル『カブトムシ』で、大ブレイク。女性の切ない恋心を綴った歌で、世代を超えて多くのリスナーに支持されている。昨年デビュー10周年を迎えた。


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