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Interview

BUCK-TICK 彼らならではの鋭い視点が光る

BUCK-TICK

BUCK-TICK 17か月ぶり17枚目のアルバム『memento mori』降臨。ボーカルの櫻井とギターの今井にアルバムについて訊いた――。

TEXT●今井智子

どこかで別れがある、ということをすごく意識し始めたかな

――『memento mori』(死を思え、死を忘れるな)というタイトルは、どこから生まれたものですか。

今井「曲作りに入った頃ですね。自分の持っているオブジェのタイトルが「memento mori」で、意味は何となくしか知らなかったんで調べてみたら、語感も面白いし意味も面白い。その言葉をキーワードに制作する事をメンバーに提案したんです。それがアルバム・タイトルになりました」

――中世文化の象徴といったイメージもありますが。

今井「そうですね。でも退廃とかそっちではなくて、もっとポジティブな方向の意味合いで。誰にも必ず平等に訪れる、避けられない事として死はある。だからというんじゃないけど、楽しく生きましょう、と」

――昨今の世界情勢や事件のニュースを見ていると、様々な形での死を意識せざるを得ないんですが、そうしたことと関連が?

今井「そこはあまり考えてないです。意識して意味を込めてはいないけど、込められているのかもしれない。ただ、死に対しての感覚が、麻痺しているかなとは思います」

――ちゃんと死を意識して生きて行くということでしょうか。

今井「基本はそこだと思います。そうだったら良いなと思う」

――それを作品のテーマに制作していったんですか。

今井「アルバムのテーマとして、枠というか縛りは作らなかったので、作業している中で、そういうものが自然と出てきたのかなと思います」

――歌詞は櫻井さんがメインで書くイメージがありますが、今井さんが歌詞を書いている曲も多いですね。

今井「そうですね。書き過ぎかなと思ったんだけど(苦笑)。いつもどっちが書くか決めないで、曲を作って行くんだけど、いっぱい書くバージョンの時は、これぐらいかな」

――言葉にしたい事が多かったんでしょうか。

今井「曲によって、ですけど。フレーズが出てきちゃったりとかテーマがうかんだりすると、自分で書いた方がいいかなと考えて」

――シングルは『HEAVEN』『GALAXY』とスケールの大きなタイトルですが、櫻井さんも「memento mori」を意識して作詞したんでしょうか。

櫻井「最初はアルバム・タイトルに決定してはいなかったので、自分でテーマを見つけると言うか、大きなテーマで書こうと思っていました」

――櫻井さんの歌詞でも、死については昨今のニュースを連想させるところがありますね。従来の作品とは、死に対するアプローチが違う印象もあります。

櫻井「たぶん今までは、僕個人で言うと、腫れ物に触らせる的な感じを醸し出していたのかもしれません。危なっかしいものに触れされるというか。遠い話だったのかもしれないですね。今はちょっと近いような気がしている。12年飼っていた猫が死んだり、肉親の死だったり、いろんなニュースだったり。やっと目を背けるんじゃなくて現実として捉えてきたのかな。一番違うのは、曲の方向。今井のエネルギーみたいなのが、すごく上に向かっていると思うんです。そういうのを意識していたら、全体の感じが違ってきた」

今井「急に何かが変わったわけじゃないけど、ちょっと考える事があって。やっぱり兄弟とか家族とか、夫婦でも友達でも、ずっと続くことはないわけで。どこかで別れがある、ということをすごく意識し始めたかな」

――作品のポジティブなエネルギーは確かに感じます。ポップなものやロックなものなど、バラエティに富んだ15曲ですね。

今井「確かに曲をヴィヴィッドに、くっきりしたものにしたいなというのはあった。単純に、ロックで踊るというか体を動かす感じ。意識してそういうアルバムを作った事なかったなと思って。前のツアーの時に思い浮かんだアイディアの一つなんですけど」

――例えば『アンブレラ』は軽快なスカで。

今井「あまり考えすぎずにやってたら、ポップスというか歌謡曲的なメロが出てきて、面白かったんで、その辺を意識しつつ作りました」

――『セレナーデ -愛しのアンブレラ』は対照的にドッシリと。

今井「曲の性質というかタイプが、ちょっとシャンソンみたいなイメージがあったんで」

――シアトリカルな歌い方も印象的です。

櫻井「演じる感じは面白かったですね。今回は自分の歌詞も今井のも、思い切りハイテンションに出来てたんで、その上で演じたり、何も考えずにロックな感じで歌ったり、曲数も多いので、いろいろ出来ました」

――本当に15曲も収録されていて、これだけでステージができそうですね。

今井「最初はこんなに多くなる予定じゃなかったんですけど、こういう曲も欲しいなあとか思って、もう1曲もう1曲みたいになって、気がついたら(笑)」

櫻井「最初はシングルのカップリングはアルバムに入れないと言ってたんですが、気がついたら入ってました(笑)」

――聴応え十分の作品ですが、聴きどころは?

櫻井「タイミングがあって出会えたら聴いてください」

今井「楽しんで聴けるアルバムだと思います。あと自分は昔から歌詞を見るほうですけど、最近歌詞を気にしない人が多いみたいなんで、ちょっと寂しいなと思って。歌詞も読みやすくしたんで、見てほしいです」

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PROFILE

バクチク
デビュー22年、不動のメンバーで活動し続けているロックバンド。独特なポップセンスとダークな世界観を深く掘り下げ、圧倒的なインパクトを与えながら未だシーンのトップに君臨し続けている。

公式サイト

INFORMATION

  • 「BUCK-TICK TOUR2009 memento mori」
    4月3日(金)川口リリアメインホールよりスタート。

チケット情報

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ALBUM

BUCK-TICK『memento mori』

『memento mori』
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