立ち技最強を決めるK-1 WORLD GPもいよいよ1日3試合を闘う決勝を残すのみとなった。そこで、K-1初代ヘビー級王者で今回の本命にも挙げられるバダ・ハリを直撃!
なぜ、リスクを恐れず闘うことができるのか? 準々決勝で対戦するK-1の象徴ピーター・アーツ戦に向けての抱負は? ズバリ、優勝する自信はあるのか?
悪魔王子のビッグマウスは止まらない!
Text●ぴあ編集部
――あなたは試合ではリスクを恐れていないように見えますが、そもそもリスク自体をどう捉えていますか。
「俺にとって、試合でのプライオリティは内容が始めに来て、次に結果が来る。俺は『いかに面白い試合をするか』『いかにファンを魅了する闘いをするか』を考えている。その答えは、前に出て闘うしかない。観客はお金を払う、俺たちファイターはその対価に見合った試合をしないといけない。だから、リスクを負った闘い方になるのさ」
――開幕戦のチェ・ホンマン戦でも果敢に攻めました。アウトボクシングでポイントを稼げば判定勝利が転がり込んでくるのに、敢えて相手の攻撃を受ける距離まで入っていきました。リスクのない判定勝利はあなたのスタイルではないということですか?
「そうだ。アグレッシブに闘うのが自分のスタイルだし、俺はそれしかできない。俺にとっての試合とはポイントを取る取らないではなく、相手にどれだけダメージを与えるか、どうやって倒すか、だ」
――試合はビジネスではなく、人生そのものなのですね。
「そうだ。俺は生まれながらのファイターだ。試合をするのが好きだし、ビジネスのためではない。映画のグラディエーターみたいに、次から次に相手を倒していくだけ。自分はナンバー1になりたい。しかも中途半端な試合でナンバー1になっても意味がない。相手をしっかり倒して、ナンバー1の座につきたいんだ」
――リスキーな闘い方はトーナメントでも変えませんか?
「最初からガンガン行くし、自分のスタイルを変えるつもりはない。力を温存して3試合を闘い抜くなんて考え方もあるかもしれないが、最初の試合で負けてしまったらその次はない。最初から全力を尽くして、準々決勝、準決勝と勝ち抜き、最後の決勝を闘いたい。それに全力で闘って1ラウンドで倒せばダメージはないし、疲れもないだろ(笑)。もし、俺のスタイルを違うと言う選手がいるなら、リングで証明すればいい」
――準々決勝の相手は百戦錬磨のピーター・アーツです。彼をどう評価していますか?
「評価も何もない。ただピーターを引退に追い込みたい。むしろピーターはK-1に長くいすぎた。敬意を表していい試合をした上でキッチリ倒してやるさ(笑)」
――お得意のビッグマウスですね。このビッグマウスはファンの目を意識して発しているのか、素なのか、どっちなんですか?
「別にファンを喜ばせようと思って言っているわけではない。自分の素直な気持ちから言っているだけだ。中には俺の発言をよく思わない人もいるかもしれないが、俺の意見に同意する人もいる。まあ、本当のことを言うと耳が痛いものさ(笑)」
――一流のアスリートはゾーンに入った経験があるようです。あなたはそういった経験がありますか?
「俺にとっての1秒という時間の長さと相手にとっての1秒が違うように感じることはある。俺はいつも一手先、二手先を読んで試合をしている。チェスのように『こうしたらこうなる』『こうすれば相手はこう出る』というシミュレーションが俺は一瞬でできるんだ。ほかの選手は攻めながらそういうチャンスを探っていくみたいだが、俺には一瞬にしてKOまでの流れが見えてくるんだ」
――今までの劇的なKOシーンの数々はシミュレーション通りの展開だったんですね。
「そうだ、俺にはそういう特別な才能があるのさ。だから、バダ・ハリは特別な存在なんだ(笑)」
――では、もしもうひとりバダ・ハリがいて、リングで闘うことになったらどうしますか?
「迷わず逃げる(笑)。もうひとりのバダ・ハリと闘っても、勝てないからな。ほかのスポーツで頂点を目指すことにするよ」