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Interview

槇原敬之
時間をかけて作った最新作は 原点回帰のポップス・アルバム

槇原敬之

約1年ぶりのニュー・アルバム『Personal Soundtracks』を11月19日にリリースした槇原敬之。TBS系「世界・ふしぎ発見」エンディングテーマの『WE LOVE YOU.』、花王「アタック」テレビCMソングの『君の後ろ姿』、映画「KIDS」主題歌の『Firefly〜僕は生きていく』など全11曲を収録した本作と、来年から始まるツアーについて語ってくれた。

Text●宮本英夫 Photo●三浦孝明

今回のアルバムはスピルバーグで言えば『E.T.』

――アルバム、とても良かったです。特に歌詞では、喜怒哀楽の全方向に感情がむき出しになっていて、感動しました。

「ありがとうございます。不思議なんですけど、前のアルバムのほうがエモーショナルかと思いきや……実は今回のアルバムは、すごくゆるく作ろうと思ったんですよ。前回の作品が、スピルバーグで言えば『シンドラーのリスト』だったとすれば、今回は『E.T.』みたいな感じがいいかなって。なのに、むしろ喜怒哀楽がはっきり出たんですよね」

――エモだと思います。

「エモって言われるのはすごいうれしい(笑)。エモ系だと思ってるんで、自分では。そこが素直に出たのかもしれないですね」

――アルバムのトータリティというより、1曲ごとにすごく個性が際立っているんですよ。

「そう。もう最近はダウンロードなので、アルバム全体で作るのをやめたんです。もちろん曲の流れは考えるんですけど、考えすぎないで、1曲1曲めぐり合ってもらえればいいやって。時代が変わって、今までとは違うやり方が出てきて、それに反発していてもつまんないじゃないですか。“そもそも今までのやり方が正しかったのか?”といっても、それは基準にはならないから。だったら今のやり方でやればいいやって、そういうところもゆるかったのかな」

――軽やかさを感じました。

「その年のその月のその週にこんな曲ができました、みたいなものを集めたんですね。周りの人が、“いつできるのかな?”ってひやひやするぐらいのんびり作ってました。キーボードとパソコンの前に座って、ぼーっとして、それが日常でしたね。前回のアルバムは、非日常的だったから」

――“悲しみ”という大きなテーマがありましたからね。

「でも今回は、ポップス・アルバムでなければいけないなと思っていたので。すごく固いものから柔らかいものまでできるのがポップスなので、今回はポップスのいいところを集めた感じかな。アレンジも、原点回帰してみたところがあるし。毎年新しいことをこっそり入れておかないと、アルバムって古くなっちゃうんですけど、今回はそれにもこだわらなかった。“ま、いっか”って。だからすごく楽しかった」

――曲はカラフルで、感情は様々で、そして最後の印象はハッピーエンド。そこが槇原さんっぽいなあと思いました。

「作り手がそう思ってるからでしょうね。実を言うと、そこが収穫のアルバムだったんですよ。僕が何をやりたくてこの仕事をやっているかというと、聴く人の人生を背負うことはできないけど、“何かやりたい”というスタートラインまで連れて行ってあげたいから。マーチングバンドみたいなものですよ。時には盛り上げ、時には説得して(笑)。そこから走り出すかどうかは、その人自身だけど、スタートラインに行きたいと思っている人のための音楽を作りたいと思っているので。とにかく“元気をつけなきゃポップスじゃないだろう!”と」

――本当にその通りだと思います。

「でも、年をとればとるほど、恥ずかしくなってくるね(笑)。若い頃は堂々とこういうことが言えたのに。たぶん、その難しさに気づいてくるからでしょうね。でも、だからこそそれをやりたいと思って作ったんですよ。全曲好きになってほしいけど、せめて1曲でも共感してもらえたら、こんなにうれしいことはないです。今回のアルバムになかったら、次のアルバムを聴いてください(笑)。そうやって続けていくんだと思うんですよね」

――『Personal Soundtracks』というタイトルは、どんなふうに決めたんですか。

「あなたの個人的なサウンドトラックとしてどうぞ、という気持ちを込めてつけました。生活に追われて大変なこともあるでしょうけど、“どうせ大変なら楽しんで大変にすればいいじゃん?”って、最近やっと思えてきたんですよね。ただ、いいほうにとらえるだけじゃなくて、そこに何が潜んでいるのか。それを探しながら生きていくべきだし、それはとても面倒くさくて大変なことだから、“ちょっとBGMでもどうですか?”みたいな。音楽がかかっていれば、嫌なことでも楽しくなるじゃないですか? そういう本質も、すごい大事にしたいんです。僕がかつて、そういうふうに音楽に助けられたから」

――そして来年の3月から、久しぶりのツアーが始まります。

「人前で歌ってる時の気持ちって、今までは厨房でひとりで作っていたのが、お寿司屋さんのカウンターで寿司を握って、食べてくれる人の顔を見れるような気持ちなわけですよ。“おいしい”と言いながら食べてくれる顔を、すぐ見れるのってうれしいじゃないですか? “3年振りだからみんな覚えててくれるのかな?”という気持ちも込めて、『Long Distance Delivery tour 2009』なんです。頼まれなくても自分から届けに行くという(笑)。これはぜひ来てください! いろんな歌を歌いますから」

ススめる! 最近気になるアレコレ

 『キルトスカート』

『キルトスカート』
今ものすごいハマッていて、スコットランドから通販で買ってます。世界では普通にみんな穿いてるんですよ。いろんな種類があって楽しいし、みんなもキルトを穿こう!
 

『ビヨンセ』

今さら(?)『ビヨンセ』
今さらですが、ビヨンセはいいですわ。大好き。物まねをする人さえ好き(笑)。ファッション・アイコンとかそういう意味じゃなくて、いちパフォーマーとしてすばらしい!

 

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PROFILE

槇原敬之

まきはら・のりゆき
1969年5月18日生まれ、大阪府出身。1990年にデビューし、1991年にリリースしたシングル『どんなときも』がミリオンセラーを記録し、以降、数々の名曲を送り出してきている。中でも、SMAPに提供した『世界に一つだけの花』は後世まで残る名曲として多くの支持を得ている。
公式サイト

INFORMATION

  • 10年ぶりのクリスマスコンサートと3年ぶりの全国ツアーを開催

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ALBUM

『Personal Soundtracks』

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