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Interview

ミック・ジャガー × キース・リチャーズ × マーティン・スコセッシ
デビューから40数年 これが最後のライブ映像作品!?

『タクシー・ドライバー』から『デパーテッド』まで30年にわたり名作を作り続けてきた米映画界の巨匠、マーティン・スコセッシ監督がザ・ローリング・ストーンズのライブを映像に収めた『シャイン・ア・ライト』が12月5日、ついに日本公開となる。ニューヨークにあるディーコン・シアターという劇場で撮影されたこのライブ映像は、親密感ある映像が観客を劇場の最前列で見ているような迫力を与えてくれる。世界プレミアの行なわれたベルリンでのインタビューをここにお届けしよう。

Text:高野裕子
(c)2007 by PARAMOUNT CLASSICS, a Division of PARAMOUNT PICTURES,SHINE A LIGHT, LLC and GRAND ENTERTAINMENT(ROW)LLC,All rights reserved.

マーティンが監督だからもう一度やる気になった

――スコセッシ監督、過去あなたは作品の中にストーンズの音楽を何度も使われてきましたが、彼らの音楽にこれほど惹かれる理由は?

マーティン・スコセッシ(以下MS) 「私の人生にとって音楽は非常に重要だ。特に70年代になるまで彼らを生で見たことがなかったから、レコードを聴いて自分の頭のなかで彼らのライブを映像化していた(笑)。だからこそかえって音楽のサウンド、コーラスやボーカルや音楽にあるフィーリング、全てに影響を受けることになったんだと思う。『ミーン・ストリート』から『レイジング・ブル』『カジノ』から『ディパーテッド』に至るまで。彼らの音楽にずっとインスパイアされてきた。彼らの音楽はタイムレスなものだと思う」

――これまでライブ・ビデオやDVD、映画など多くのライブ映像を発表してきたストーンズですが、またやる気になったのは?

キース・リチャーズ(以下KR)「マーティンが監督するからというのでやる気になったんだ。俺にはローリング・ストーンズのライブDVDをもう1本やる気は、もうとうなかったから。“またビデオ?”って気持ちだったからな(笑)。でもマーティン・スコセッシという名前が出てきたとき、それなら別のところへ連れて行ってもらえるのかな、と思ったんだよ」

――ミック、あなたがリオでの巨大なライブを3Dのアイマックス・カメラみたいな映像で大規模に捕らえてみたいというのが今回の映画の始まりだったわけですが、出来上がったものはそれとはかなり違ったものになりましたね。

ミック・ジャガー(以下MJ)「結果的には上手くいったと思っている。パフォーマーの演奏中のインターアクションなんかが手にとるように見て取れるからね。これまでのストーンズのライブ作品とは随分違った作品に仕上がったと思うよ。親近感がとってもいいんだよね。会場にしたって、普段は僕らが演奏する会場よりはるかに小さいし」

――導入部、ドキュメンタリー・タッチの映像が舞台裏の苦労を捕えていて興味深いですが。

MS「最初の部分は、ストーンズのライブをカメラに捕らえようとする、大きな課題への不安を取り去ろうとする準備運動みたいなものなんだよ。まあストーンズのライブを映像に収めようなんて大それたことを考えている、その不条理さ、ばからしさをカメラに収めたんだ」

――実際にセットリストをもらったのはライブのどれくらい前だったんですか?

MS「1分前みたいに感じたね。でも実際は1時間前だったかもしれない。まあ大体想像はついていたんだ。ただ観客の反応とか会場の温度によって、最初の曲が突然変わったりするが。それについてはライブの2時間前くらいにしかわからない。だから最後の最後までカメラの位置が決められない、それはこの仕事のエキサイトメントのひとつであるんだ。それをドキュメンタリーでちょっと誇張したんだよ」

――ゲストの若手ジャック・ホワイト、クリスティーナ・アギレラ、ベテランのバディ・ガイの共演も見所ですが、彼らを選んだ理由は?

MJ 「デュエットは俺にとってのハイライトだった。ストーンズのルーツにある違った分野のアーティストとやりたかったんだ。まずブルース界からガイを招いた。ジャック・ホワイトが面白いと思ったのは、彼は俺たちのようにロック・バンドをやっているわけだが、ブルース的なルーツを持っていて、過去に前座をやってもらったこともあるし、だから全く思いがけないゲストというわけでもなかった。クリスティーナは素晴らしい声の持ち主だと思うよ。声も美しいがパフォーマンスも素晴らしいし、ロックしていると思うよ」

――ライブ映像の合間に昔の映像が入っていますが、自分たちの若い頃の映像を見ての感慨はいかがですか?

KR「う〜〜ん、でもあれはあの時の自分なんだよ。だから客観的には見れないな。もし自分を外側から見るとしたら、まあそれなりにあれが現実なんだって受け入れるしかない。きっと人の目にはあんなふうに映るんだろうな、あの頃あんなことを考えてなのかな……、なんて思う程度だよ」

MJ「勿論過去に自分でもみたことのある映像だけれど、ああいう風に編集された後でみると、見方も変わってきておかしい。40年前またはそれ以上前の自分があんな事言ったんだな、って恥ずかしくなったりとか、逆になかなか洞察力があるな〜、なんて感心したりとかね。例えば俺は“ストーンズは2年続けばいい”と言ったわけだが、それを後々の将来と関係付けて見せたりとか、そのマーティンの手法は上手いよね」

――ミック、あなたの若さ一杯にステージを動きまわる様子に誰もが驚かされると思いますが、若さ作りの秘訣は?

MJ「30歳を過ぎたら、自分の体には規律が必要なんだよ。健康で強い体を保つためには、かなり厳しくトレーニングしていく必要がある。特に俺のように動きあるステージをこなすためには。あまり運動もしないでいると、やっぱり一か所に突っ立っているだけとか、そういうステージになっちゃうね。もしエキサイティングなステージをやりたかったら、普段は退屈で時間がかかると思えるようなトレーニングをやるしかないんだよ。最終的にはそれが価値のあることだったって分るんだ」

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PROFILE

ザ・ローリング・ストーンズ
ロンドンで結成し、1964年に全米デビュー。以来、40数年にわたり一度も解散することなく活動しているモンスターバンド。『サティスファクション』など大ヒットナンバーを数多く生んだ。

マーティン・スコセッシ
1942年生まれの映画監督。数々の名作を生み、近年では「ディパーテッド」がアカデミー賞を受賞した。

INFORMATION

  • 『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』は、12月5日(金)より全国ロードショー。

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