――ライブまで4ヵ月以上もみっちりリハーサルをしてたんですね?
「それも初めてですね。ギターウルフ史上、こんなに練習したのは(笑)」
――休んでる間、早く活動再開したいという焦りはなかったんですか?
「それはない。自分の戦艦も、新しい波動砲とかつけてチューンナップしていかなきゃいけないし」
――いろいろヴィジョンしていたこともあろうかと思いますが。
「ありましたね。どういう感じで始まろうとか、いろいろあったんだけど。突拍子もないことしようとか、いろいろ考えてたんだけど、結局シンプルに、ギターウルフそのものの形でやることに、最後はなりましたね」
――それこそがギターウルフらしいですね。
「自分が好きなバンド、ラモーンズとかジョニー・サンダーズとか、イギー・ポップとか、久しぶりに見るライブは、全部知った曲の方がよかったし。だからギターウルフも、そのほうがいいと思った」
――確かに、素晴らしいセットリストでしたが、これは外せないと思った曲は?
「“星空ジェット”かな」
――なにゆえに?
「なんでですかねえ。いろいろ全てが、自分の気持ちに合って。好きなんですね。星空で、俺は飛ばしてる!」
――野音でも星空が見えるとよかったんですが、残念ながら雨が…
「あの曲をやる頃に星が出るかなと思ったんだけどね(苦笑)」
――雨は残念でしたが、かえって燃えたのでは?
「モチロン燃えましたよ! もっと降ってもよかった。お客さん大変だけど」
――(笑)久々に爆音の中に身を置いて、いかがでした?
「帰って来た実感がありましたね。日本に、ギターウルフがいることが大事だから」
――そうですね! ライブが終わった時の3人は、とてもいい顔をしていると思いましたよ。
「意味のある1年半だった気がしますね」
――見事復活を果たして、次の目標は?
「まず、アルバムですね。それから、5大陸制覇! アフリカでやりたいなあ。アルバムジャケットを、ピラミッドの前で撮りたい。ラクダに乗って、3人で革ジャン着て」
――エジプトでも革ジャンですか(笑)
「モチロン! ラクダに、“カワサキ”ってエンブレムつけて。で、ターバン巻いた客が一杯で、でっかいテントに王様なんかがいるようなところで、俺達が演奏してる」
――最高ですね! でもエジプトは宗教的にお酒がダメなんですけど。
「あ…観光客はいいんでしょ?」
――と思います。
「あとは、若田さんに続いて宇宙へ。ロックと宇宙の関係が広がったら、間違いなくギターウルフは選ばれるでしょう」
――ところで、アンコールの時に、イチローみたいなポーズをしてましたね。WBCをご覧になってた影響かと?
「モチロン! あれは燃えたなあ! 久しぶりに燃えた。イチローくん、カッコよかった! 土壇場で登場場面が回ってくる、スーパースターたるゆえんが! やっぱりオリンピックとWBCは気合いが入りますね」
――イチローさんのようにアメリカで生活していなくても、ギターウルフも海外で活躍していますから共感するところがあるんじゃないですか?
「共感というか、年俸とかは向うがすごいからその辺はわからないけど、あっち(海外)へ行って闘うと、よけい日本というものを意識する。日本でやる時は全然そんなこと意識してない。キャロルだって好きだけど、彼らの曲を演奏しようなんて日本では思ってなかったけど、R&Rの国であるアメリカで、R&Rのない日本から来てる珍しいバンドだと思われて、そこで“これがロックだ”って見せられる日本のものは何かと思ったら、キャロルだった。それで向うで演奏するようになって」
――それが、ギターウルフ伝説のひとつ、「ユー・ハヴ・エルヴィス、ウィ・ハヴ・キャロル!」の誕生秘話ですね。
「自分が知ってる日本というものに、敢えて目を向けさせる。イチローがWBCで日本の強さにこだわったのは、そこじゃないですか? アメリカにいて、自分のバックボーンである日本には、これだけのものがあるんだということを示したかったんじゃないですかね。その気持ちは、よくわかります」
――今後も宇宙各地でご活躍を!
「モチロン!」
4月4日、日比谷野外大音楽堂での復活ライブのレポートはこちら