2007年9月から558日目、東京・日比谷野外大音楽堂で見事に復活したギターウルフ。中盤からの雨にバンドも観客も更に燃えたライブは、新たな伝説となった。フロントマンのセイジの足の治療を終え、再起動したギターウルフが抱く新たな野望とは?
Text●今井智子 Photo●岩佐篤樹
――日比谷野音での1年半ぶりのライブ、「宇宙戦艦ラヴ」は大盛況でしたが、無事終了しての感想は?
「タイトル通り、宇宙からの帰還なので、地球に立った! そういう感じがしますね」
――久々の地球の空気はいかがですか?
「ちょっと、火星に比べると引力が、いつもより重かった。いや、そんなことはない! 軽くなってた!」
――盛大にジャンプしてましたし、1年半ぶりのステージに立つ前は、燃えたのでは?
「燃えましたね! ホントに! どう燃えればいいのかわからないぐらい、火の玉みたいに燃えました。でもステージに出たら、“ありがとう!”って気持ちが強かったですね。ステージに出た瞬間の、みんなの勢いが」
――大歓声でした。
「今までは、好き勝手に俺達が、バーン!とやって、カッコつけてるところを見てくれ!って感じの、突き放すような気分があったけど、この野音では“ありがとう!”って感じで。野音の渦の中で、みんなと一緒に慣れたようなライブだった。ひょっとしたら生まれて初めてかも。う〜ん、宇宙を旅して…今までは冷たかったかもしれない。まあ、みんなと一緒に盛り上がれたって言う感じが、非常にしましたね。嬉しかったす」
――お馴染みの、オープニングでの缶ビール一気飲みも久々ですが、お味は?
「いや〜サイコーだった!」
――野音でやると決まった時には、どんな気持ちでした?
「やると決まった時には、やるつもりでしたよ。体がどうだあろうと、どうなってるかわからなかったんですけど」
――お体は大丈夫なんですか?
「絶好調です!」
――でも1年半の休止は、いろいろ思う事も合ったのでは?
「周りが思うほどは。デカダンな(笑)気分で、ゆっくりしてましたよ、久しぶりに。ゆっくりしすぎたかもしれない(笑)。ギターウルフ始めてから今まで、常に曲ってことを考えてる時間がずっとあったんだけど、こんなに長い間、曲のことをいっさい考えない時間があったから、宇宙からのテレパシーを捕まえるアンテナが(笑)。きっちり、地デジ対応のアンテナ立てないと(笑)」
――宇宙からも地デジなんですか(笑)
「そう! 今は地デジでしょう」
――じゃ曲も演奏も忘れてメンテナンスに専念していた、と。
「レコード会社に怒られるけど(笑)。11月にスタジオに入るまでは(笑)」
――11月にスタジオに入ってたんですか?
「そうです。いよいよ明日、スタジオに入るっていう晩に、寝てたら細胞がいきなり、ブチブチブチッ!って興奮してきた。今まで全くナマコみたいな気分だったのに、練習ってなったら、トオルとU.Gのエネルギーを凌駕するくらいのエネルギーを持ってスタジオに入らなきゃいけないから。そんなエネルギーなんて1年位持ったことなかったのに、持たなきゃいけないと体が思ったのか、ブルブルッと武者震いが来て。演奏もしてないのに筋肉痛になった。体がいきなりケモノ化したというか」
――ウルフになったんだ!
「そんなもんですよ。やるとなったら、それぐらいのパワーを持ってスタジオに入らないとダメ! ふたりが俺に求めてるのは、他の誰も持っていない俺のエネルギーだから。復活させなきゃと思ったら、夜中にブルブルッと」
――マンガだと、周りにビシビシッと放電するみたいな感じですかね?
「いや、マンガだと、月明かりがあって、ベッドがあって、影が怪物になって行く…」
――寝間着が破れてアオ〜〜! みたいな?
「そんな感じ(笑)。でも、そんなことも初めて」
――久々に3人で演奏した感想は?
「素晴らしい! U.Gもトオルも、飢えた狼と言うか。素晴らしい演奏がずっと続いて、”ギターウルフの曲って、こんなにカッコいいんだ!”と改めて思いましたね。自分プラスふたりが、スタイル持ってるんで」
――ギターウルフ再発見ですね。
「全てが、与えられた、1年半だったのかも」
――ふたりからの声は?
「そんなの聞かなくても、練習終わって、飲みにいって。いい練習だった」
4月4日、日比谷野外大音楽堂での復活ライブのレポートはこちら