- 「人生、ロッククライミング」つるの剛士が初のソロライブ
(2009年4月23日ニュース)
ソロ始動に向けて
今後の野望もたっぷり語る!
Text●森 朋之 Photo●源賀津己
つるの剛士、ついにソロ・デビュー! 昨年、“羞恥心”のメンバーとしてエンターテインメント・シーンを駆け抜けたつるの剛士が、カバー・アルバム『つるのうた』をリリースする。『M』(プリンセス プリンセス)、『歩いて帰ろう』(斉藤和義)などJ-POPの名曲をカバーしたこのアルバムには、“歌手・つるの剛士”の魅力がたっぷり。ソロ・プロジェクト始動の経緯、歌手としてのビジョンなどを訊いた。
――まず、ソロ活動をスタートさせるきっかけは?
「去年、羞恥心をたくさんの方に応援していただいたこともありますし、あと、個人的にも“歌うま”(お笑い芸人 歌がうまい王座決定戦スペシャル)という歌番組に出させてもらう機会があって。いままでは洋楽ばっかり聴いてきたんですけど、あの番組に出るにあたって、J−POPをたくさん聴いたんですよね。で、“こんなにたくさん名曲があるんだ”ってことに気づいたというか」
――今回のアルバムにも収録されている『M』(プリンセス プリンセス)を歌ったんですよね。
「その経験も大きいですね。ステージで歌ってると、僕の歌を聴いて泣いてるお客さんがいるんですよね。そのときに思ったんです、歌ってすげえなって。映画や舞台だったら、2時間かかるわけじゃないですか。でも、いい歌っていうのは3分くらいで人の心に入っていける。それもすごい発見だったし、この表現方法を自分のものにしたいっていう気持ちも生まれてきて。幸い、いまはたくさんの人に自分の存在を知ってもらってるし、この機会にチャレンジしてみたいなって。カバー・アルバムを出してほしい、っていう声もいただいてましたからね」
――なるほど。『つるのうた』で取り上げているのは『プライマル』(オリジナル・ラヴ)、『永遠』(KAN)など名曲ばかりですね。
「単純に“いい曲だな”って思える曲です。あとは羞恥心を応援してくれた方だけではなく、仕事や子育てでがんばってるアラフォー世代の人たちにも聴いてもらいたいなって。だから、ちょっと懐かしい曲もあるかもしれないですね」
――飾らず、かっこつけず。まっすぐに歌ってますよね。
「そうですね。というか、それしかないですから。技術があるわけでもないし、ボイトレ(ボイス・トレーニング)に行ったこともない。だから、気持ちを込めて歌を届けるっていうことしか考えてないんですよね。ただ、自分の声に対しては、すごいコンプレックスがあるんですよ」
――どういうところが?
「ハスキーじゃないですか。“いい声ですね”って言ってもらえることもあるし、声量があるとも言われるんですけど、いろいろと試行錯誤しながら自分のいいところを見つけるしかないのかなって。あとね、レコーディングで歌うのって難しいんですよ。ライブのときは、お客さんの反応がわかるじゃないですか。スタジオのなかで、姿の見えない不特定多数の人に向けて歌うっていうのはホントに大変で。勉強することが多いです」
――ソロのライブもやってみたい?
「はい、それは絶対やってみたいですね。このアルバムで歌った曲を、ちゃんとフルコーラス届けられる機会を持ちたいと思ってるので。せっかく歌手になれたんだから――って、“歌手”なんて恥ずかしいこと言っちゃいましたけど。いま、初めて言いました(笑)」
――(笑)ソロ・アルバムをリリースするんだから、まちがいなくプロの歌手でしょう。
「いやいや…。いまはね、魔法をかけられてる状態なんですよ。去年は“羞恥心”でアイドルごっこをやらせてもらったんですけど、あのときも妖精さんが“アイドルをやらせてあげるよ。歌を歌ってみない?”って耳元で話しかけてきて(笑)」
――ハハハハハ! でも、「これは妖精のせいだ」とでも思ってないと、きっと不安になりますよね。
「不安とはちょっと違うんですけど、“世の中、こんなに上手くいっていいの?”っていう気持ちはありましたね。結婚してて、子供が3人もいるのに“キャーッ!”って言われたりして。そんなのありえないよな、っていう冷静な自分もいますからね」
――でも、これからもきっと、妖精さんが語りかけてくるような気が。
「そうですね(笑)。そうなるといいなって思います」
――今回はカバー・アルバムですが、オリジナル曲も歌ってみたいのでは?
「あの、『つるのうた』というタイトルって、娘の名前でもあるんですよ」
――あ、そうですね。長女の“うた”ちゃん。
「まだまだ歌いたい曲がたくさんあるから、もう1枚カバー・アルバムを出して、それは『つるのおと』というタイトルにしたいんですね。それ、次女の名前なんですけど。息子は“つるのえいと”っていう名前だから、“えいと(8)”を横にして、『つるの∞』っていうタイトルを3枚目にしたらどうかなって。そのときはいろんなアーティストの方に曲を書いてもらって……まあ、レコード会社の方に話したら、“え?”ってドン引きしてましたけどね(笑)」
――でも、いい流れじゃないですか。
「それくらいのビジョンを持っててもいいんじゃないかなって。だからまず、『つるのうた』をできるだけたくさんの方に聴いていただきたいですね。ほかの仕事でもそうなんですけど、お客さんに少しでも何かを感じてもらいたいなって思ってて。“いい曲だな”でも“ちょっと元気になった”でも何でもいいので、何かひとつでも役に立てたらうれしいですね」
