- 『trax』
- 4月29日(水)発売 / avex trax
- 3990円 / AVCD-23790/B(CD+DVD)
このプロジェクトだからこそ出来ることとは? “ravex”立ち上げの経緯から、新作そしてダンスミュージックシーンについて話を訊いた。3人の素顔が垣間見れる動画コメントも要チェック!
Text●森朋之 Photo●三浦孝明
──まず、ravexが立ち上がった経緯から教えてもらえますか?
田中「では、タカハシさん、どうぞ」
☆Taku「あ、僕の順番ですか? えーと、どこでも同じことを言ってるんですけど、エイベックスが20周年ということで、お祭り的なことをやろうっていうのもあり。あとは大沢さんが“おもしろいことをやろう”って僕らを誘ってくれたんで」
☆Taku Takahashi
(c)手塚プロダクション/エイベックス・エンタテインメント
──この3人が顔をそろえるプロジェクトって、これが初めてですよね?
田中「そうですね。DJの現場とかリミックスをお願いすることはあったけど、音源を作るのは今回が初めてで。3人そろって、コンピューターの前で“こうすればいいんじゃない?”みたいな話をしながら作ったんですよ。ぶつかることはなかったですか? って聞かれるんだけど、全然そんなことなくて、すごく楽しかったです」
大沢「“ぶつかって、解散寸前まで行った”ってことにしたほうがいいかも(笑)」
──音楽的な方向性については?
大沢「ないですね。ルールみたいなものはまったくなくて、そのときに思いついたことをどんどんやっていくっていう」
田中「うん。こういうプロジェクトって、“まずコンセプトがあって、フィーチャリングする人も決まってて、それに向かって曲を作る”っていうイメージがあるかもしれないけど、今回は全然違ってました。動物的というか、クリエイエターとしての本能のままでやれたのが良かったと思うんですけど、どうですか?」
☆Taku「いや、まさにそのとおりだと思います。固定観念に捉われず、ってよく口では言いますけど、このふたりはまさにそうで。いい刺激をもらいましたね」
大沢伸一
(c)手塚プロダクション/エイベックス・エンタテインメント
──去年リリースされた最初のシングル『I RAVE U feat.DJ OZMA』(ジュリアナ東京を象徴する『Can't Undo This!!』をリメイクしたトラックでDJ OZMAが歌った宴会系ダンス・チューン)から、すごいインパクトでした。
田中「あそこまで振り切ったら、あとは何をやってもいい。そういう意味では、方向性が見えたのかもしれないですね。実際、その後にBoAちゃんと作った曲(『Believe in LOVE feat.BoA』)も、同じアーティストが作ったとは思えないくらい違うし」
──アルバム『trax』では、さらに幅が広がってますよね。「ダンス・ミュージックとJ-POPの新しい融合」というテーマに沿いながらも、クリエイティブ自体はめちゃくちゃ自由だし、ブッ飛んでて。
大沢「個人の作品だったら、これだけやりたい放題はできないと思うんです。このプロジェクトだからこそ、出来ることですよね。本気でふざけるというか……といっても、悪ふざけっていう意味ではないですよ? そうじゃなくて、バカみたいに楽しいことを本気でやるっていう。ダンスミュージックって、もともとそういうものだし」
──なるほど。大沢さん、田中さん、☆Takuさんはそれぞれのキャリアの中で、ダンスミュージックを広く浸透させる役割を果たしてきたと思うのですが、ravexも、まさにそういう機能を持ったプロジェクトだと思うんですよ。ダンスミュージックがさらに身近なものになるっていう。
田中「いまだにダンスミュージックのチャートもないですからね、日本には。順位を付けること自体、どうなんだ? っていう気持ちもありますけど、売り上げだけでは推し量れないものもありますから。ぴあさん、何とかしてください」
☆Taku「“まあ、こんなもんだから”っていうムードがあるような気がするんですよね、若い人たちの中にも。“ぴあにダンスチャートを載せてやる!”みたいなクレイジーな輩が出てこないというか」
田中知之
(c)手塚プロダクション/エイベックス・エンタテインメント
──新しいことをやろう、っていう意識が低いのかも。
大沢「音楽に対する情熱が低いのかもしれないですね、時代的に。携帯電話で音楽を聴くことが当たり前になってしまったけど、音楽の楽しみ方はもっと広いですからね。そろそろ変わってくると思いますけどね」
田中「クラブに行ってみれば“音楽ってこんなに楽しいんだ”とか“こんなに感情を揺さぶるものなんだ”って気づく人も多いと思うんです。そういうチャンスを逃している人は多いんじゃないかな。僕らはDJだから、新しいお客さんがどんどん増えていて、すげえ盛り上がる現場も知ってる。だから不況だなんて全然思えないんですけど、一般的には“コンテンツにパワーがない”っていう状況があるかもしれない。だとすれば、それは打破していきたいし、大沢さんがravexをやろうって言い出したのも、何かのきっかけになると思ったからじゃないかなって。マジメな話をすればね」
☆Taku「つまんない、って言っててもしょうがないですからね。おもしろいこと、やりたいことを明確にして、それをやっていく。そういうことが大事なんだと思います」
大沢「幸いにもDJという職業をやってるんだから、ヒットチャートには入ってなくても、“世界中にはこんなにいい音楽がある”っていうことも伝えていけるし、楽しい空間を演出することもできますからね。だから(聞き手も)ぜひ探しに行ってほしいですね」
