VOL.10
「"開幕! トップリーグ2004-2005 〜トライ王はどっちだ!〜"」
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<ゲスト>
小野澤宏時
グレン・マーシュ
'78年、静岡県生まれ。聖光学院高から中央大学を経てサントリー入り。大学1年時にはU-19日本代表入り。社会人1年目の00年、ジャパンセブンズで7人制の日本代表にデビュー。同年の東日本社会人リーグで14トライ(7戦)を挙げトライ王に輝く。
'72年ニュージーランド生まれ。マヌレア高卒。昨年のジャパンラグビートップリーグでは、FWながら11トライを挙げトライ王に輝く。チームのマイクロソフトカップ制覇にも貢献した。
照英
村上晃一
'74年、埼玉県生まれ。東海大学時代は陸上競技部に所属し、'93年の関東学生選手権優勝。'96年度にはやり投げで日本ランキング3位に。その後俳優に転身し、9月18日には主演映画「スクールウォーズ HERO」が公開される。
'65年、京都府生まれ。大阪体育大学時代は、FBとして活躍。卒業後、ベースボールマガジン社に入社。90年から97年まで『ラグビーマガジン』編集長。現在はフリーのラグビージャーナリストとして活躍中。
<ホスト>
矢野武
福元英恵
'68年、愛知県生まれ。JSPORTS('03年10月からJスポーツ)でラグビーの実況を担当し、「破壊王プロレスZERO-ONE」(テレビ東京系)、「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ラグビープラネット」(Jスカイスポーツ)などに出演中。
'72年ニュージーランド生まれ。マヌレア高卒。昨年のジャパンラグビートップリーグでは、FWながら11トライを挙げトライ王に輝く。チームのマイクロソフトカップ制覇にも貢献した。
前編
矢野:
J Sportsをご覧の皆さま、そして会場にお集まりの皆様、ようこそラグビー・プラネットへ。進行を担当します、私、矢野武と。
福元:
オリンピックが終わって、いよいよラグビーシーズンですね。フジテレビアナウンサーの福元英恵です。
矢野:
どうぞよろしくお願いします。
福元:
よろしくお願いします。
会場:
拍手
矢野:
さあ、本日はラグビー・プラネット特別編と題しまして、「ぴあ&J SPORTS トークバトルプラス"開幕! トップリーグ2004-2005 〜トライ王はどっちだ!〜"」をお送りしていきたいと思います。よろしくお願いします。コメンテーターの村上晃一さん、いよいよ9 月18日トップリーグ開幕。2年目、迫りましたね。
村上:
各チームかなり強化が進んでいますので、今年は混戦になりそうですね。僕も夏合宿で網走、オーストラリア、ニュージーランド、菅平とね。アテネ、全く関係ないコースで見てまいりました。
福元:
いろいろな情報、楽しみにしております。さて、それでは今日の豪華なゲストをご紹介しましょう。まずは昨シーズン、トップリーグのトライ王に輝きました、NEC グリーンロケッツのグレン・マーシュ選手です。よろしくお願いします。
会場:
拍手
福元:
続いて、サントリーサンゴリアスの小野澤宏時選手です。よろしくお願いします。
会場:
拍手
福元:
続いて、9 月から公開される映画「スクール・ウォーズ HERO 」で主演されています、俳優の照英さんです。よろしくお願いします。
照英:
よろしくお願いします。
会場:
拍手
矢野:
まずは照英さん、オリンピックモードから今日はラグビーモードにちょっと切り換えていただいて。
照英:
喜んで。
矢野:
お話、よろしくお願いします。
照英:
熱くいきます。
矢野:
マイクを使って「よろしくお願いします」と言ったのは唯一、照英さん。
会場:
笑い
矢野:
いい笑顔ですね、小野澤選手、今日も。
照英:
爽やかですね。
矢野:
さすがにこの会場はちょっと小野澤選手への「キャーッ」っていう声が。
福元:
ねえ。女性からの歓声が上がってましたよ。
小野澤:
何ともコメントしづらいですけど。
矢野:
小野澤選手、まずはちょっと夏合宿中にケガをされたって話を聞きましたけど。
小野澤:
はい。でも、もう復帰して。次の日も試合に出られたら出ようかなっていうぐらいだったので。
矢野:
足のケガだったんですよね。
小野澤:
はい。左足首の内側を。
村上:
メチャクチャ痛そうにしてましたよ。僕、その試合見たんですけど。もう、今シーズン、出られないみたいな感じで。バタバタしながら「もう動けない!」みたいな。
矢野:
「医者呼んでくれ!」みたいな。
村上:
はい。
福元:
ケガしたときは、相当痛かったんですか。
小野澤:
いやあ、まあ、はい。痛かったですけど、痛みに弱い。
矢野:
ラガーマン向きなのかどうなのかって感じですけど。でも、翌日の試合に実は。
小野澤:
腫れがなかったんで、痛みさえなければ試合に出ようかなって思ってたんですけど。
矢野:
痛みには弱いけど、ケガには強いという。
小野澤:
ケガには強い。
福元:
今シーズンは万全な感じで迎えられそうですか。
小野澤:
はい。
福元:
そしてグレン・マーシュ選手。開幕戦に向けてコンディションはいかがですか。
マーシュ:
非常にオフシーズンをいい具合で過ごさせていただきました。家族と楽しく過ごしたり、もちろん、ワークアウトもしましたし。もう、準備万端です。
矢野:
オフシーズンには、フランスの方に行かれて。
マーシュ:
NEC が非常に寛大で、7月に1ヶ月の休暇をくださったので。フランスに今、兄(トニー・マーシュ)がおりまして、その兄に会いに行きましたが、その間もしっかりトレーニングはしました。本当にいい時間を過ごさせていただきました。
福元:
兄弟でトレーニングされることもあるんですか。
マーシュ:
ときどき兄と一緒にトレーニングすることもあるんですけど、彼は非常に長いシーズンを終えたばかりで疲れていたので。彼がときどきビーチで寝そべっている間、私自身は自分でトレーニングしました。
矢野:
お兄さんっていうのはね、村上さん。
村上:
双子の兄弟で、フランス代表のセンターの選手なんですね。もうそっくりです。
福元:
ワールドカップで小野澤選手も対戦していると。
小野澤:
そうですね、はい。
矢野:
そこで一言、何か。
福元:
印象とか。
小野澤:
はい。あの試合は負けてしまったのであんまり見てないんで。
矢野:
そうですか。
小野澤:
「見てなかったなー」と。「ちょっと今、振られたらイヤだなー」と思って。
会場:
笑い
矢野:
そのときは小さくなってくれれば。
小野澤:
はい。
矢野:
さあそしてトップリーグの開幕が9 月18日。同じ9 月18日に「スクール・ウォーズ HERO 」が公開になるんですね、照英さん。
照英:
そうですね。やっとですね。撮影がもう1 年前だったので。以前ドラマでね、伝説を起こしたような大ヒット作品なので。もう内容を知ってる方、いらっしゃいますか。
福元:
もちろん、たくさんね。
照英:
あーまだ少ないってことは、ぜひ見ていただかないと困りますね。
矢野:
山口良治(伏見工業高校ラグビー部総監督)先生役をされた。ちなみにテレビドラマのときは山下真司さんでしたね。あの泣きっぷりが。
照英:
泣いてますよね。
矢野:
でもどうですか。「あの"スクール・ウォーズ"が映画になります。その主演です」っていう話が来て。
照英:
やっぱり怖かったですよね。ラグビーを全く知らなかったので、「ラグビー入門」を本屋さんで買ってきて、見て、ポジションから覚えて。トップリーグになる前の社会人のね、試合を見に行かせてもらったりして。1からでしたよね。でも、小野澤さんは本で見てましたけどね。会えて光栄ですよね。
矢野:
村上さんは試写会をもうご覧になったということで。
村上:
僕ね、小学生のとき京都のラグビースクールに行ってて、山口先生が僕たちの1 年間担当だったんですよ。なので、若いときをよく知ってるんですけど、すごく感じが似てるんですよ。
福元:
へえ、山口先生って男前なんですね。
村上:
いやあ、ここまで男前ではなかった。
矢野:
アクのあるトーク。
照英:
ゴリ系ですからね。
矢野:
我々ふたりと、村上さんで車に乗ってるとき。
福元:
ええ。
矢野:
昔の話をちょっと聞いたんですけど、照英さんにぜひ、話を聞いてほしいし。山口先生の逸話なんですけど。村上さん。
村上:
ああ、あの話。まあ、本当に子どもの心をつかむ人で。僕が小学生の頃、ちょうど伏見工業に行ったばかりで。本当に、照英さんが演じられた頃の山口先生は、今も言いましたけど、子どもの心をつかむんですけど。僕らはいつも先生のことが大好きで一緒に練習してたんですけど。
矢野:
スクールですよね。
村上:
はい、スクールです。日曜日一回しか会わないから、先生が今まで僕のことを覚えてるわけないんですけども、社会人になってから先生の講演を聞きに行ったときに、控え室を訪ねて、「京都のラグビースクールにいた村上です」って言ったら、しばらくじーっと僕の顔を見ていて、急に手で楕円を作ったんですよ。周りの人は何をやってるのかわからなかったんですけど、僕と山口先生は通じ合いましたよ、瞬間的に。ヘッドキャップをかぶったときにちょっと見える顔になるように、手で楕円を作って僕の顔を見てたんですよ。それでね、僕のことなんて覚えてるわけがないから、「ああ」って言っとけばいいんですけど、そうやってくれるとすごくうれしい。そうやってもらうと。
矢野:
覚えててくれたんですか。
村上:
覚えてるって言うんです。絶対に覚えてないって僕は思ってるんですけど。覚えてないやろって思いながら、でもうれしいんですよ。ラグビースクールのとき、ヘッドキャップかぶって、こんだけしか顔出てなかったなって。ちょっとしか見えなかったなっていう。
矢野:
「ちょっと待てよ。…うん。覚えてるよ」っていう。
福元:
それだけでグッときますよね。照英さんは映画の中でも、そうグッとこさせるような言葉をたくさんね。
照英:
ありましたね。僕も今ね、山口先生にご飯に連れてってもらったりするんですけど、やっぱりね、人のことをけなさないっていうことですね。誰にでも力をくれて。「お前ならできるぞ」、「お前ならやれるぞ」っていう。「信じればいつかは願いは叶うんだ」っていうことをね、必ず言ってくれるんですね。映画の撮影中も言ってくれました。「ああ、照英でよかった。お前ならいい作品になるぞ」って。自分が落ちかけて、不安になっているときに言ってくれたりしてたんで。先生の魂も映画の中に込められてますね。
福元:
照英さんの涙も出てたし、私もその涙につられてガーッと号泣しました、何度も。
矢野:
泣きますよ。
照英:
うれしいです。
矢野:
小野澤選手はちなみに、いわゆる最初のスクール・ウォーズ、テレビで連続でやってた頃っていうのはご覧になってるんですか。
小野澤:
いや、見てないんですけど、大学時代に、僕の部屋長が伏見工業出身のハーフの方だったので。その人と一緒に笑い話を交えながら。娘が出てくるじゃないですか。その後どうなってるかとか、話を聞きながら。
会場:
笑い
矢野:
それは裏話ですね。
福元:
いい風になってるんですか。
小野澤:
いい風になるんですけど。
福元:
娘さんも映画に出てくるんですよね。
照英:
出てますね。映画では、テレビで「一休さん」見てますけどね。
矢野:
そうでした、そうでした。
照英:
本当に昔のまんま、そのまま実話に基づいて再現してるっていうか。
村上:
そうですね。試合中、ヘッドキャップをかぶってなかったりするんですよ。「あれ、これ、かぶんなきゃいけないんじゃないの」って思ったんですけど、当時はかぶらなくてもよかったんですよね。そういうことだったり、ボールが茶色の革だったりね。あれ、重かったでしょ。
照英:
重いですね。しかもすごい水を吸うんですよね。泥だらけのね、雨ざらしみたいなところで投げるシーンがあって、どんどんボールが大きくなるし、滑るし。小野澤選手も革のボールとか使ってたんですか。
小野澤:
僕は中学の頃、最初のうちはまだ革でした。
村上:
つばでね、つばで磨くんですよね。僕は大学まで。
福元:
グレン・マーシュ選手は、そういう土の上でプレーしたり革のボールでプレーしたりっていう経験はあるんですか。
マーシュ:
子どものときはいつもそのような状況の中でやっていました。本当に寒い土曜日の朝、裸足で走り回っていた思いがあります。でも、今の日本の高校生、大学生のプレーしているグラウンドのコンディションを考えると、まだましだったんではないかと思います。
矢野:
村上さん、我々が目にしたりするのは強いところだったりするから。いわゆる土のところの方が断然多いですよね、今でも。
村上:
今でもそうです。テレビに映る試合はほとんど芝ですけど、実際、高校のグラウンドはカチンカチンですよ。こんなところで俺、滑ってたのかなって思って。
矢野:
基本的に石拾いから始まったりしますもんね。
村上:
小野澤選手もね、ここ、傷だらですよ。
福元:
手の甲ですか。
矢野:
本当だ。
村上:
ものすごいいっぱい傷があるんですよ。
福元:
じゃあ、子どものときっていうか、中学ぐらいのときから。
小野澤:
毎週試合があるんで、治らないうちに、また。タックルするときに、手が一番下になるじゃないですか。それで。
福元:
生傷が絶えないですよね。
矢野:
そうですね。ちなみにマーシュ選手、今、「スクール・ウォーズ」の話をうかがってるんですけど、ニュージーランドでもそういう映画だったりとか。例えばホームドラマとか学園ドラマで当たり前にラグビー部の子がいたりとかっていうのはあるんですか。
福元:
ニュージーランドはありそうですね。
矢野:
コンビニに普通にラグビー雑誌が3 冊ぐらい置いてありますから。うらやましいなっていう環境ですけど。
マーシュ:
もちろん、ニュージョーランドにおいてはナンバー1 のスポーツで非常に人気があります。どこに行っても、雑誌であろうとテレビであろうと、ラグビーが浸透して、文化の一部になっています。ですから、みんなニュージーランドの人間であれば、ラグビーのことは知っています。しかし映画のことはあまり詳しくないんです。
福元:
グレン・マーシュ選手にとって、印象に残っている先生っていらっしゃるんですか。
マーシュ:
どのコーチからも話を聞いていれば、何か得るものがあると思います。そしてラグビーというゲームについて学んだり、各コーチから、何か利点があったと思います。
福元:
小野澤選手にとって山口先生みたいな、そういう存在の先生っていらっしゃいましたか。
小野澤:
そうですね。中学、高校時代の葛西(祥文)さんっていう、元日本代表の選手に教えてもらってたんですけど。その監督からはシンプルな、「倒れなければトライまでいける」、そういうことしか教えてもらってないんですけど。それがまあ、ラグビーの、僕の中では全てかなって。
福元:
なるほど。今のスタイルに通じているところがあるかもしれないですね。倒れずにクネクネ、うなぎステップで走っていくっていう。
小野澤:
この前のワールドカップの後、オフにちょうど葛西さんに会ったんですけど、「最近ちょっと倒れ過ぎなんじゃないか」って言われて。
矢野:
あれで。
小野澤:
はい。ちょっと、中学・高校とはやってるレベルも違うし。でも「すいません」って。
矢野:
学生を教えている葛西先生のまんまで。その頃の「小野澤君」で。
小野澤:
はい、そういう感じです。
矢野:
照英さん、ラガーマンといってもものすごく個性の違うおふたりですけど。
照英:
かっこいいですよね。秘めた闘志を持ってるような気がしますよね。スポーツマンがすごく好きなのはね、目がきれいなんですよね、みんなね。何か狙ってるっていうか、キラキラしてる。
福元:
小野澤選手、キョロキョロした目をしてますけど大丈夫ですか。
会場:
笑い
小野澤:
一応、見とこうかなと。
矢野:
今、確認。マーシュ選手の目を覗いたっていう。
小野澤:
はい。普段見られないんで、ちょっと見とこうかなと思って。
矢野:
さあ、それを聞いてマーシュ選手、どうリアクションするのか。
福元:
顔が真っ赤になってますよ。
マーシュ:
まあ、今はね、目をしっかりと見つめることができるんですけど、フィールドに出たらそんなことはできないですし、タックルも滅多にできないですからね。
矢野:
その辺もぜひね、後ほどじっくり伺っていきましょう。
福元:
牽制球が飛んでおりますが、この後は、今日のテーマでもありますトライ王争いについて伺っていきます。
矢野:
そしてご紹介が遅れました、通訳の清水さんです。失礼しました。さあ、では早速、今年度のトライ王争いについて伺ってまいりましょう。まずは何と言っても、昨年11トライでトライ王に輝いたのは、並み居るバックスを抑えて、NECグリーンロケッツのフォワード、グレン・マーシュ選手でした。もちろん、今年もですよね。
マーシュ:
今年ももちろん狙っております。しかし、ラグビーというのはチームプレーです。すなわち14人のプレーヤーが15人目がどうすればラインを越えられか企んでいるわけです。私はたまたまいいときに、いい場所にいたというだけです。
福元:
かっこいいコメント〜。
村上:
たまたまじゃないですよね。
矢野:
ええ、絶対に狙ってますね。
福元:
小野澤選手、隣で聞いててどうですか。
小野澤:
かっこいいな〜って。僕の場合は、みんながつないでくれたボールなんで、絶対トライを取ろうと思って。たまたまというよりは、来たからには絶対トライを取ろうと常に思っているだけに、自分が小さく。
矢野:
声も小さく。マーシュ選手のトライは、特にラインアウトやモールからとか、フォワードのサイドアタックからのトライが多かったんですけど、それについて小野澤選手がね、ちょっと。
福元:
控え室でね。
矢野:
物申すみたいなことが。
小野澤:
いや。もちろんラグビーの違いっていうのがあるんですけど、やっぱり見ていてわかりやすいトライを取りたいっていうのが僕の中にあるんで。「誰トライ? 誰トライ?」で、レフリーが「何番」って言うんじゃなくて、「小野澤、今日は走ったよ。小野澤スゲーぜ」みたいな。それぐらいのトライを僕は取りたいなと思ってます。
福元:
「誰トライ? 誰トライ?」っていうトライはイヤなんですって、グレン・マーシュさん。
会場:
笑い
小野澤:
言わなくていいですよ。
矢野:
一応、拳が届く距離なんで。
小野澤:
試合中とかすごいんですから。僕が戻ろうとしたときに、ちょっと肩が当たっちゃったんです。そしたら「オイッ!」って言って向かってくる。
福元:
闘争心がすごいですね。
小野澤:
目も合わせず「すいません」って言って戻ったんですけど。
矢野:
照英さんが学生時代にやってらした、日本のランキング3位までいかれたやり投げとは違って、ラグビーはコンタクトがあるんで、そういうことが。
照英:
すごく素朴な質問があるんですけど、昔ね、ラグビーを元やってて、100mの日本代表になった中道(貴之)っていう選手がいたんですよ。小野澤選手がもし100mを走ったらね、どれぐらいのタイムで走るのかなと思って。計ったことありますか。
小野澤:
タータントラックではないのでよくわからないんですけど。
照英:
走ったらすごいわけじゃないですか。直線をガーッと走ったら、10秒台ぐらい出すんじゃないかなと思ってね。
福元:
小野澤選手は障害物があった方が速そうですね。
村上:
あと、ボールを持ってね。ハードルもそうですね。
小野澤:
いえいえ。
福元:
どうですか。ストレートで何もないところを走るより、敵が向かってくる方が速く走れるとか、そういう感覚はありますか。
小野澤:
追われて走るのよりは、全員を抜いて楽な状態で走りたいなっていうのが。
照英:
かっこいいですね。
小野澤:
独走っていうのは結構苦手なんですよ。内側から必死に追いかけられると、腕が振れない分、どうしても遅いじゃないですか、ボールを持ってると。一回後ろを向いた方がいいのかとか考えながら。
福元:
考えながら走るんですね。
村上:
たぶん10秒台、いくかいかないかぐらいだよね、きっと。
小野澤:
全然、想像がつかないです。
照英:
見てみたいですね。
村上:
ラグビーの場合、100mを走ることはほとんどないから。50mとか40m とか。40m 測定するよね。
小野澤:
そうですね。
村上:
それで4秒台だとかなり速いんだよね。
小野澤:
はい。
村上:
40mで4秒台はいきますよね。
小野澤:
でもやっぱり、大介(大畑、神戸製鋼コベルコスティーラーズ)さんが速いというか。
福元:
感じますか、一緒に練習してたりして。
小野澤:
正確に計ったわけじゃないですけど、この間の日本代表の合宿中に100mとか測定したときに、やっぱり。膝とか痛めながらも速いですよね。
矢野:
そうですか。
小野澤:
速いんでどうしようかなって。
福元:
シーズンが始まりますけど、もしかしたら大畑選手を追って止めなきゃいけないところも出てくるかもしれないし、逆に大畑選手が追ってくるときもあるかもしれない。
小野澤:
はい。だから組織でごまかす。
矢野:
照英さん、だいぶラガーマンのイメージと違うんじゃないですか。
照英:
すごくソフトなんですね。もっと闘将みたいな感じで、ガーッとむき出しの方なのかなって思ったけど。やっぱりテレビで見たりとかスタンドから見てるのとは違うんですね、やっぱりね。もっとね、実は大きい選手だと思ってたんです。でも会ったら、「どうも〜」みたいな。
会場:
笑い
福元:
ナイスキャラクターな選手ですよね。
小野澤:
むき出すんですよ、試合だと。
照英:
日本代表の中で、一番熱い男って誰ですか。
小野澤:
結構、僕なんじゃないですか。
会場:
拍手
小野澤:
試合中は頑張ればいい。普段は。
福元:
そんな小野澤選手でも、グレン・マーシュ選手の気合にはおされるときもあると。相当頭から突っ込んでますよね、ガーンと。
村上:
いつも頭を切ってますよね。この間も夏合宿で頭を切って縫ったみたいです。
矢野:
サントリー戦('04年8月10日NECグリーンロケッツ0-27サントリーサンゴリアス、美幌町柏ケ丘競技場)でしたよね。
マーシュ:
実はですね、NECの同僚の選手たちが、今日テレビに出るってことを知って、どうにか僕の顔に傷をつようと一生懸命だったんですよ。
会場:
笑い
福元:
NECの練習は厳しそうですね。
矢野:
泥臭く、ひたむきなラグビーですか。でも村上さん、そういった意味で、象徴的な選手なんでしょうね、マーシュ選手が。
村上:
マーシュ選手のすごいところは、相手にタックルしてボールを奪うターンオーバーするプレー。それでなおかつトライもたくさんしてるっていう部分で。メチャクチャ動いてるってことですよね、本当に。たぶんこの辺でトライになるっていう嗅覚みたいなものが一番優れているんですね。去年のトップリーグのトライの1位から10位までに、フォワードの選手はふたりしか入ってないんですけど、東芝府中( ブレイブルーパス)の松尾(大樹)選手とマーシュ選手。あとはみんなバックスの選手なんですよね。ですからマーシュ選手っていうのはそういう嗅覚を持ってる。普通、フォワードの選手はそんなにトライに行かないですから。
福元:
実際にどうですか。トライが取れるな、みたいな予感というか、本能っていうのは。感じるものなんですか。
マーシュ:
確かにポジションだと思いますけど、フランカーと協力してフィールドの中を駆け回って、バックスと協力してボールを自分が確保していく、チームのために、さっきも言ったように、正しいときに正しい場所にいるってことではないでしょうか。そして歳を重ねておりますから経験も多少積んでおりますし、今の方がよりいいプレーヤーになったんではないか、ゲームの読み方もわかってきたんじゃないかと思います。
福元:
かっこいいコメントですね。
村上:
訳す日本語がかっこいいんじゃないですか。
福元:
清水さんの。
矢野:
去年のトライ王争いをしたお二人。今年ももちろんそうだと思うので、お互いをどういう風に思っているのかなと。
福元:
ねえ。
矢野:
まずは小野澤選手、グレン・マーシュ選手というのは何がすごいですか。たぶん、イヤな選手だと思います、相手だったら。
小野澤:
そうですね。走っていくところに絶対にいるから、トライするためにはどこかで抜かなきゃいけない。タッチラインからタッチラインまで66mあるんですけど、走ってくると絶対にいるんですよ、自分が走るコースに。一回ステップ踏んだら、その内側にいたりとか。イヤだなって。
福元:
何か、グレン・マーシュ攻略法みたいなものはあるんですか。
小野澤:
体が大きいからつかまっちゃったらしんどいんで、もう必死に逃げるだけです。
矢野:
それを聞いてマーシュ選手はいかがでしょう。
マーシュ:
実はそんなにタックルする機会ってないんですよ。彼は本当に逃げ足が速くって。北海道の最近やったゲームの中で、彼にヒットしたんです。でも、彼はゴムで作られた体じゃないでしょうか。私の体からバウンドして逃げてしまったんです。
村上:
日本選手の中では、ラバーマンって言われてるんですよね。
福元:
ラガーマンじゃなくてラバーマン。
矢野:
ゴム男。
福元:
確かに、そのクネクネは何から来てるんですか。食べ物? 何かネバネバしているものを食べてるとか。
小野澤:
うーん。
福元:
昔からですか。
小野澤:
昔からですね。何かもうね、中学時代、高校時代の仲間が見ても「お前、ラグビースタイル変わんないのに、ここまで来ていいの」って言われます。
矢野:
あ、そうなんですか、昔っから。
小野澤:
うちの姉もインチキステップとか言いますし。
矢野:
ご家族お墨付きの。
小野澤:
はい。
矢野:
でも、ご本人はそういう意識じゃないんですよね。
小野澤:
だからもう僕は、タックルされた後に強いって言われるんですけど、自分の中では、相手の弱いところ弱いところに向かって走ってるから。タックルされないっていうか。その相手に対して強いヒットを受けないから。だから相手はどうしても体のポジションが悪い分、僕の方が強くなるっていう認識です。
福元:
じゃあ、目の前に来る障害物は誰かっていうのはもう認識してて、この人はここが弱いからこう抜けようっていうのがわかってる。
小野澤:
いや、そういう場合は結構、前のあるところでミスマッチっていう状態で。
村上:
大体、タックラー、タックルする人っていうのは、どちらかの肩でヒットしようって向かってくるから。小野澤君はいつもその逆の肩、逆の肩っていくから。だからいつもちょっとずつずれる、相手が。入ろうと思った肩じゃない方の肩で入んないといけないから、抜かれる。
福元:
あ、そういうこと。
小野澤:
そういうことです。
会場:
笑い
村上:
僕、通訳に付きます。
福元:
今日はふたりとも通訳がいる感じで。
会場:
笑い
矢野:
失礼だなあ。
福元:
失礼しました。
矢野:
今のおふたりのお話を聞いて、照英さん、ポジションは違うし、もちろん体つきも違いますけど。でも何か持ってるんですね、自分の何か。
照英:
やっぱり感じますよね。何歳からやってるんですか。
小野澤:
一応、中学からです。
照英:
中学からやっていて、何が自分の中で唯一変わったなって感じますか、今。さっき変わってないって言ってたけど、何かは変わってるじゃないですか。
小野澤:
まあもちろん、戦術、戦略面っていうのは社会人になってから勉強させられたってのはあるんですけど、高校時代みたいにがむしゃらに走るっていうよりも、最近はバランス。どこか一部を強くするんじゃなくって、足にしても、前が強過ぎても、後ろが強過ぎても、右も左も、やっぱりバランスが重要かなって。
照英:
やっぱりね、すごい選手っていうのは、こういうポンと質問を投げかけたら、淡々と語ってくれるんですよね、自分のね。俺はこうやって、こうやって、こうやってっていう。そういうのがたぶん、すごい人の素材を持ってるんじゃないかな。たぶん中学校のときも、そういう質問したら言ってくれてると思いますよ。
矢野:
何で笑ってるんですか、村上さん。ウフッて。
村上:
「そんなことないよ」って。
会場:
笑い
村上:
小野澤君の心の声が。
福元:
映画の中ではトライシーンがあって、それを先生という立場から見てたわけじゃないですか。やっぱりトライっていうものはうれしいものですよね。
照英:
うれしいですけど、怖かったですね。シーンの中で、山口さんが元々フランカーだったので、突進してって、外国人選手にラリアットくらって倒されるっていうシーンがあったんですよ。痛いっすよね。苦しいしね。ちょっと間違えたら大ケガにつながるって。石塚(武生)さんっていう名タックラーが指導に来てくれたりして。ちゃんと練習してタックルにいかないと、例えば半身不随になってしまったり後遺症が残ってしまったりとかね。本当に危険なスポーツなんだよっていうのは言われてましたよね。それに自分もね、ワンシーン、たった何秒かのシーンだけどすごい集中しましたよね。しっかりと練習して、そのために1ヶ月ぐらい走り込んだりして、その5分にかけていくとかね。
矢野:
その結果がトライにつながるわけですけれども、去年を振り返ってみると、村上さん、トライ王はマーシュ選手でした。デラサウ(ビリモニ、元ヤマハ発動機)っていうすごいのもいましたよね。
村上:
いましたけど、ニュージーランドに帰っちゃいましたから。
矢野:
帰りましたね。今年は果たしてどうなるのか。村上さんはまず、全体的には。トライ王っていう意味ではどういう見方をしてますか。
中編につづく
取材・文:CREW
撮影:田中秀宏