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ぴあとJスカイスポーツのコラボレーションが、トークバトルと映画試写会をコラボらせた!!
カンヌ映画祭で立見が出るほどの評価と喝采を得た「アンダルシアの夏」試写会の後、
豪華キャストで行われたトークバトルの模様を完全再現!!
<ゲスト>
今中大介
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1963年、広島県生まれ。大分大学に入学後、自転車同好会を自ら結成し、地元の強豪高校の練習に参加しながらトレーニングを続ける。大学院卒業後、(株)シマノ入社。'90、'91、'93ツール・ド・北海道個人総合優勝。'91〜'93国体ロード3連覇など国内タイトルを総ナメ。'93年にイタリア、ポルティチ−ムにプロ留学として派遣され、'94年プロに転向、ヨーロッパ各国で転戦を開始。翌年、世界の3大自転車ロードレースの一つ、ジロ・デ・イタリア出場。'96年にはツール・ド・フランスに出場する。'97年のジャパンカップを最後に引退。翌年、(株)インターマックスを設立。スポーツサイクルアドバイザーという立場で、テレビやラジオに解説者やコーチ役などで出演している。
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梶原真弓
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2月12日、埼玉県生まれの水瓶座、血液型A型。'94年、第1回「シェイプUPガールズ」オーディションにてグランプリを受賞。三瀬真美子、今井恵理、中島史恵とともにシェイプUPガールズとしてデビューを果たす。同年、NHK「紅白歌合戦」にも出演。「釣りバカ日誌12
史上最大の有給休暇」他、映画多数出演。写真集も、シェイプUPガールズとして4冊、個人として3冊を出版し、いずれも好評を博している。また三菱自動車「シャリオ」をはじめ、CMにも多数出演。スポーツウーマンとしても有名で、水泳、スノーボード、スカイダイビング、スキューバダイビング、ゴルフなどアクティブな趣味を持つ。'96年には、アトランタ五輪の聖火ランナーを務めた経験もある。
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高坂希太郎
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'62年生まれ。高校卒業後、「OH!プロダクション」入社、86年からフリーに。テレビアニメ「名探偵ホームズ」('84〜'85年)で作画監督デビュー。ジブリ作品では「風の谷のナウシカ」('84年)などで原画、「もののけ姫」('97年)「千と千尋の神隠し」など('01年)ではキャラクターデザイン・作画監督を担当。ほか監督作品多数。「茄子
アンダルシアの夏」は、第56回カンヌ国際映画祭において上映され、800席の劇場内は立ち見の観客も出る盛況ぶりで、上映後には絶賛の拍手が鳴り響いた。また個人的にも自転車愛好家と知られ、「阿佐ヶ谷自転車倶楽部(A.B.C)」に所属。、『ツール・ド・沖縄』市民200kmでは13位にランク。アニメ界最速のロードマン。
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<ホスト>
中西哲生
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'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。
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中西:「ぴあ&Jスカイスポーツ トークバトル・プラスVol.2『自転車競技の面白って?』」にお越しいただきましてありがとうございます。トークバトル・プラスというのはぴあとスポーツ専門局、J
スカイスポーツが手を組んで行っているイベント、番組です。今回は2回目ですが、早速ちょっと仕掛けてみました。今日は自転車競技の面白さというテーマでお送りしていきますが、このテーマにぴったりな「茄子
アンダルシアの夏」という映画をまず皆さんにご覧になっていただこうと思います。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、カンヌ国際映画祭で上映されまして、なんと立ち見が出るくらいの大盛況でした。そして後半はいつものトークバトル。2部構成の豪華バージョンでお送りしていきますので、皆さん最後までお楽しみください。それではさっそくゲストの皆さんをご紹介しますので、温かい拍手でお迎えください。まずは'96年、日本人としては初めてツール・ド・フランスに出場しまして、現在はスポーツサイクルアドバイザーとして活躍されています。今中大介さんです。
会場:拍手
今中:こんばんは。よろしくお願いします。
中西:どうですか。今日はお客さんを前に。たくさんいらっしゃいますけど。
今中:喝采でしたね。盛り上がってますね。中西さんも自転車に乗られると伺いましたので、今日は同じ自転車乗りとして。
中西:自転車乗りのレベルが違いますよ。でも今日は今中さんにいろいろとご協力いただいて、いろんな知識を教えてください。お願いします。
今中:その辺は映画が十分伝えていると思うんですが、僕が出た体験をもとにしゃべっていこうと思いますので、よろしくお願いします。
中西:よろしくお願いします。続きまして、今日皆さんにご覧になっていただきます映画、「茄子 アンダルシアの夏」の監督でありまして、数多くの自転車レースに出場され、アマチュア大会では数々の成績を残されております。高坂希太郎監督です。
会場:拍手
中西:こんばんは。
高阪:ども。
中西:先ほど控え室でお話を聞かせていただいたんですけど、今日はどうですか。皆さんたくさんいらっしゃいますけど。
高阪:いやぁもう、緊張してます。なんで自分がここにいるのかよくわからない。
中西:何を言ってるんですか。
高阪:会社に命令されるがまま、今日はやって参りました。
中西:そうおっしゃらずに、今日はいろいろお話を聞かせていただけますか。
高阪:頑張ります。
中西:よろしくお願いします。さて、続いてのゲストです。たいへんお美しい方です。アトランタオリンピックでは聖火ランターを担当されましたし、数多くのスポーツイベントにも参加されています。アニメの声優なども行っております。梶原真弓さんです。
会場:拍手
梶原:よろしくお願いします。
中西:今日は自転車ですけど。
梶原:はい。自転車はですね、学生時代に一応学校には自転車で通っていたんですけれども、大きくなってからはあまり乗る機会はないですね。
中西:どれくらい大きくなってからですか。
梶原:えー、20歳を過ぎてから。
中西:学生時代はよく自転車を。
梶原:自転車以外、通う手段ってないじゃないですか。車の免許もないし。
中西:そうですよね。今日はいろいろ、楽しいお話を聞かせてください。
梶原:はい。スポーツが大好きなので。
中西:お願いします。
梶原:よろしくお願いします。
会場:拍手
中西:それでは、もう間もなく映画の上映が始まります。ゲストのみなさんも、会場のみなさんもゆっくりと楽しんでください。
★ ★ ★
中西:みなさん、映画いかがでしたか。すばらしい映画で、もの凄い迫力でしたね。その辺りの話もたくさん聞きたいと思います。順にお話を伺っていきたいと思うんですが、まずは梶原さんから。映画をご覧になった率直なご感想というのを。
梶原:映像がすばらしくて。見ているだけで自分が自転車に乗っているような気分になりました。それから私は以前、フルマラソンに挑戦したことがあるんです。そのときに自分の人生についてすごくいろいろ考えたんです。
中西:どういうことですか。
梶原:過去のこととか未来のこととか。自分の心の中ですごく葛藤があったんです。
中西:それは走っているときですか。
梶原:はい。やっぱり前に前に行かなければいけないじゃないですか。そのときにいろいろ考えたときのことを思い出しました。
中西:それに近い感覚が映画の中にあったということですか。
梶原:そうですね。主人公のペペも自分の故郷を走るわけですよね。昔のガールフレンド、カルメンがお兄さんのアンヘルと結婚してしまったりとか、いろんなことを考えたりしていると思うんです。なんて言うんでしょう。葛藤ですか。そういうのがすごく伝わってきて、共感できる部分がありました。
中西:自分の人生と照らし合わせている感じですか。
梶原:はい。
中西:僕も今言われてね、同じような経験があるんです。サッカーの練習をしていて、ものすごく辛いときがあるんですよ。完全に無酸素状態でね。トレーニングをしているときは、いろいろなことが走馬燈のように頭に浮かんできて。あのときああすればよかったなとか、これからどうやって生きていこうとか。普段全然関係ないことを考えていて。
梶原:そうなんですよ。全然関係ないことを考えるんですよね。
中西:走っていることを考えると辛いときがあるので、将来どうやって生きていくんだろうとか現役のときよく考えてました。走る練習のたびに。そういうところは結構今日の映画の中に盛り込まれていましたね。自転車に乗っていることに共感できるというか。
梶原:そうですよね。ちょっと切ないなっていう部分もありましたね。ペペが夜景を見ているところとか。
中西:今中さんは僕や梶原さんと違って、レーサーとして自分自身がレースで体感してきたことと似たような感覚に陥るような場面もあったんじゃないですか。
今中:全てがそうかなと。恋愛的な部分ではそんなことはないですけど。
中西:すみません。
今中:でも、すごく画像がリアルだし、自転車競技というのはやっぱりすごくハードです。ブエルタ・ア・エスパーニャも1
日150 〜200km 前後走っていきますから。すごく過酷な中に、自分たちの練習してきた思いとか環境とかが全てこもっていてレースがあるわけですよね。その背景がよく表れてる。普段あまり目にすることがないところが全部出ているというのが。先ほど梶原さんが言われたように、人間の葛藤というのが出ていて面白かったですね。
中西:僕が素人目で見た感想としては、自転車を撮ってる目線が、上からだったり下からだったり横からだったり、すごく広がりを持たせたんですけど。
今中:いや、すごい。すごいというか驚きですね、この映画。特に主人公のペペがもがいてるところ、必死になっているところの下からのアングルがね。表情もそうだし、後ろの背景が流れていくその雰囲気とか。なんか、本当にテレビカメラでとってるんじゃないかって思うくらい。いや、それ以上に表現されていてびっくりしました。
中西:テレビカメラでも映らないところまできれいに再現されているような。
今中:そう。細部まで。
梶原:ラストスパートの顔もすごかったですよね。
今中:あははは。僕は原作も読んだんですけど、そのままが出てましたね。
中西:監督、僕たち3 人の話を聞いてどうですか。特に、僕たちが感動したアニメの映像の部分はものすごく気を使われたんですか。
高阪:そうですね。そこを抜きにしては描いた意味がないんでね。やっぱり一番手を入れたところです。ステージレースを経験された今中さんに褒めてもらって、大成功ですよ。
今中:すごくよくできてるし、これ見てください。高坂さんは自転車乗りの手なんですよ。手首から白い。
中西:グローブをはめてるわけですね。
高阪:もう、主人公になりきってるでしょ。
梶原:ゴルフ焼けじゃないですよね。
中西:違いますよ。何を言ってるんですか。
梶原:あははは。ちなみに私はゴルフ焼けなんです。
今中:ゴルフでけっこうすごく焼けるんですよね。
中西:梶原さんはゴルフうまいですから。
今中:うまいですよね。
梶原:同じ焼け方をするんですね。
中西:でも、ゴルフのグローブは左手だけじゃないですか。
梶原:いや、女性は右手もしたりするんです。
中西:監督は日焼けしているという話が出ましたけど、現役のレーサーということでよろしいんですか。
高阪:いや、違います。ただのサイクリスト。
中西:今中さん、サイクリストとレーサーというのはどのような隔たりがあるわけですか。
今中:まぁ、レーサーもサイクリストの延長ですけど。高坂さんはね、市民レースのけっこう上のレースで優勝するくらいの実力があるんですよね。
中西:いつ練習されてるんですか。
高阪:通勤ですね、主に。
中西:一石二鳥ですね。
高阪:一石三鳥くらいあります。
中西:交通費もいりませんし。トレーニングもできるし。
今中:多摩川で。
高阪:健康にもいいし。
中西:この映画のイメージ作りに直結してますよね。特にレーサーとか乗っている人の目線で描かれているシーンとかあるじゃないですか。スピードメーターがガーッと上がっているところとかは自分のテイストが入っているわけですか。
高阪:そうですね。走って感じたことですよね。実際レースになると風景ってなかなか見ることができないんで、一緒に走っている他の選手の表情だったりとか、あとは路面ですよね。そういう風景というのは、自分が走って見て感じたものを盛り込みましたけど。
中西:路面という話がありましたけど、具体的にはどういうところですか。今は舗装されている道路だったりするわけじゃないですか。例えばペペの名前が書いてるところもありましたし、そういう路面は細かく表現したりってことですか。
高阪:まあ、はっきりとあそこにガラスがあるとかそこまで細かく見ているわけじゃないですけど、漠然と路面を見ながら作戦を練ったりとか、さっきおっしゃってましたけど、自分を振り返るシーンもあるんじゃないかと。
中西:今中さんがおっしゃったように、テレビの映像として使われているものを超えている部分があると思うんですけど。
高阪:超えてない部分もたくさんありますけどね。
中西:そんなことはないと思うんですけど。あれだけ細かい描写ができるというのは。
今中:そう。なんかね、見てると自分が走っているような気分になるのよ。
中西:なりますよ。
梶原:なります。
今中:ゴールに向かっているところなんか心臓がバクバクしちゃってね。
梶原:そう。カーブのところは体が動いてしまったりとか。
今中:いっしょになってね。そういうところでは超えている部分はもちろんありますよね。
高阪:そうですね。最近アニメーションにもコンピュータがどんどん入ってきまして。そういうところは、従来のアニメーションでは表現できなかった箇所ですね。今回はコンピュータを導入できたので、思う存分体験した映像を生かしたんですけど。
中西:はっきり言って、自転車のレースを見終わった感覚なんですよね。しかも自分が乗った感覚も味わえるので、2重3重。背景の、山だったり草原だったり丘陵地帯だったりとかも細かく見て回ったんですか。
高阪:一応想定したルートは回ってみたんですけど。実際スペインの土地はアップダウンの連続で、劇中にあるような平坦なところは実は少ないんですね。
中西:じゃあもっと過酷な感じなんですね。
高阪:そうですね。
今中:山岳に行きますと、もちろん2000mの山がありますしね。あとはどこもそうですよね。丘陵地帯は。
高阪:そうですね。
今中:北部の方はずーっと僕も走ったんですよ。それで思ったんですけど、けっこうきついですよね、登りが。北の方は湿気があって、真ん中の方は砂漠のような感じです。荒涼としてて。陽炎が見えるみたいな。スペインの暑さ、心の熱さとかね。本当に体感する暑さとか全て盛り込まれているような気がしました。
中西:暑いなって感覚がしましたよね。特に立ち上がりのところ。スパートをいきなりかけるのかよ、この暑いのに行くのかよって。あの辺もやっぱり暑さをジリジリ感じながらみんな動いているわけじゃないですか。ああいうところも細かくチェックして。
高阪:そうですね。なるべく暑さ、日差し感を出そうと思って苦労しましたね。
中西:具体的には。
高阪:日差し感。まず空を青く描くということなんですけど、下手すると暗く見えるんですね。空は青いじゃないですか。でも、やっぱり白い方が明るい色なんで、白を入れた方が明るく感じるんですけど、空に白を入れてしまうと湿気を感じてしまうような空になったりとか、そういうこともあるので。
中西:雲みたいに見えてしまうわけですね。極端なことを言うと。
高阪:はい。
中西:青と白の絶妙なグラデーションというか。
高阪:多少入ってはいますけど。光を主人公にのせて照り返しを表現してみたりとか。
中西:のってましたね。
高阪:あれを入れて表現してみたりとか。それでもまだ十分じゃないんじゃないか、いろいろ試行錯誤しながら。
中西:十分ですけど。こうやってお話を聞いていると、ものすごく素朴な疑問が湧きあがってくるんですけど、なぜ自転車競技の映画なんですか。
高阪:そうですね。やっぱり自分が走って感じたもの。なんて言うんですかね、日本の方は自転車で坂道を登るのが非常に厳しいというのは体験的に知ってらっしゃいます。ツール・ド・フランスでも山は見せ場になるわけですけど、そうじゃない平坦路を走る厳しさ。ひとり、風を受けて走る大変さみたいなものにカッコよさを感じまして。
中西:僕も失礼ながら、確かに先頭が入れ替わって風をよけながら走るっていうのは知ってましたけど、ひとりで走ったときにあんなに辛いもんだって初めて知りました。知ってましたか、梶原さん。
梶原:いえ、知らないです。
中西:要するにひとりで走っているときのリスクの大きさとか孤独さとか辛さって、今中さん、想像以上じゃないですか。
今中:マラソンなんかだと、飛び出したらそのままゴールまで行っちゃうという感覚がありますよね。
中西:そうですよね。
今中:自転車競技もそういう風に見られがちなんですが、実際に走ってみると。例えばこの辺だと多摩川がありますけど、多摩川の土手を走っていて突風吹いたときに止まっちゃうことがあるんですよ。真正面から風を受けると。
中西:そうですね。あまりの強さに。
今中:そう。それのもっと激しい風を受けながら走っているようなものですから。それでもよく、時速45kmから60kmの速度でバーッと走っていけるわけです。ゴール前の勝負、最後のシーンがありましたね。顔が変わったシーン。あれは大体時速60kmぐらいをイメージしてると思うですよね。
中西:60km。
今中:そうですよね。
高阪:はい。
中西:町中に入る前の部分でもひとりになった瞬間に孤独になるというか。監督が今おっしゃいましたけど、かっこよさというか。自分もひとりで走っているときは、今俺はカッコイイんだっていうイメージがあるわけですか。
高阪:自己陶酔の世界ですね。ヨーロッパの方々は、その大変さっていうのは観客の方も知ってるんですよね。
今中:そうですね。レースは100 年の歴史がありますから。
中西:見る方の目も肥えてる。また、チームとして集団に属しているときと、個人で前に抜け出した7
人、8 人、9 人の集団が協力しながらも、いつブレイクするかっていうシーンもけっこう手に汗握りましたよね。
梶原:エースが真ん中にいて、みんな守っているんですよね。
中西:集団にありましたけど。
今中:ありましたね、スプリンターを引っ張っていくシーンですよね。最後のゴールスプリントに向けて。そういうシーンなんですけど、随所にチームプレイの戦略的なところとか、すっごく出てましたよね。やはり人間臭いところがあるんですよ。自転車の競技ならではという世界が描かれていたと思います。
中西:一つのレースの中に人間模様と人間の力関係が見え隠れしませんでしたか。
梶原:そうですよね。
中西:競争している中でも、俺が前に行くんだからお前は俺のために潰れろみたいな。
梶原:そうですよね。それはどういう風に決まっていくんですか。
今中:やっぱりレースに出るのにチームからオーダーがあるわけです。スポンサーのオーダーとかいろいろあるんですけど、監督はスタート前から決めてるんです。ブエルタ・ア・エスパーニャというのは、個人総合優勝というのを一つは狙っていきますし、もう一つは一日の中で決するステージ優勝も狙っていくわけです。そのどちらを狙うかによって戦略は変わってくるんですけど、どっちにしろエースはひとりだけなんです。
中西:そのエースを優勝させるために、みんな頑張るわけですね。
今中:そうですね。そういう流れがあるので。
中西:ペペはその中で葛藤しているわけですね。エースを守らなきゃいけないっていう気持ちと、自我を出したいという葛藤。その辺が見せ場だというのはありますか。
高阪:あと、さっきの話の続きなんですけど、観客の方もひとりで走る大変さというのは知っているわけなので、必ずしもその選手が勝たなくても祝福を送りますよね。我々は結果ばかりを求められる社会にいるわけじゃなですか。そういうところで満たされない部分が満たされる、みたいな。
中西:ひとりで前に出る勇気というのをみんなが讃えるわけですか。
高阪:集団の後ろで楽して走ろうと思えば走れるじゃないですか。そうじゃなくて、ひとりで風を受けながら辛い作業を買って出て走り切るというのは勇気がいることだし、非常にカッコイイなと。
梶原:男ですね、男。
中西:カッコイイすよね。作る作業において、苦労された部分はどんなところですか。
高阪:ブエルタ・ア・エスパーニャ、ツール・ド・フランス、ジロ・ド・イタリアの特色として、いろいろカラフルなチームが登場しますけど、それの描き分けとか。
中西:あーそれは大変ですね。
高阪:大変ですね。自分も知っているもんですから、このチームはこのヘルメットとか。
今中:そうなんです。見てるとその辺がリアルなんですよね。こだわってるなって。
中西:マニアから見たらたまらないなと。
高阪:知らなければよかったんですけどね。
中西:知りすぎてた部分があって。
高阪:そうですね。必ずしても手伝ってくれるスタッフが知っているわけじゃないので、適当に描いてくるわけですよね。結局僕らメインスタッフが合わせていく作業というのは大変でしたね。
中西:ちょっとこの色じゃないぞと。そういうのを気にしてらしたんですね。
高阪:そうですね。
今中:変速しているシーンとかありましたね。ペダリングしているシーンをワンカット、ワンカット撮っていくのはスゴイですね。もちろんライディングしているシーンも細かく
ハンドルが振れてたりとか。あるいはもがきながら風の中を懸命に走っているときに、微妙にキャップが揺れてるシーンとかね。その辺がよく描けていてびっくりしました。
中西:監督がこの映画で一番伝えたかったものというのはなんなんでしょうか。
高阪:そうですね。勇気を出して今ある現状から一歩前に踏み出す。その先に広がるもの、みたいなものを感じてもらえれば。
中西:まずは行動から。勇猛果敢なところで。
高阪:普段生活していて、ダメだって思うときに、もうちょっと頑張ってみようって後押ししてくれるような。そういう風に感じてもらえたら。
中西:今日も感じました。
梶原:ね。頑張らなきゃって。
中西:一歩前に踏み出す勇気というか。それを感じました。
高阪:うれしいですね。
中西:そういう思いが随所に伝わってくる映画でした。今回の舞台はブエルタ・ア・エスパーニャでしたけど、自転車レースの最高峰は4つあって、ツール・ド・フランスが一番ですか、今中さん。
今中:うん。ツール・ド・フランス、イタリア一周のジロ・デ・イタリアそれからスペイン一周と、えーとスイス一周(ツール・ド・スイス)ですね。なかでも、フランス、イタリア、スペインのレースが世界三大自転車レース、グラン・ツールと呼ばれていまして、ブエルタ・ア・エスパーニャがシーズンの一番最後にあるんです。それぞれ約3
週間レースを続けるわけで、大体21ステージぐらいの構成なんですけど。距離にして、今年のツール・ド・フランスの場合で3360km走っていきます。
中西:1 日大体150 から200km 。
今中:そうですね。短いステージ、タイムトライアルっていうステージがあったりするので、大体平均して200km
近く走ることになりますね。
中西:今中さんは、唯一日本人でツール・ド・フランスに出場していらっしゃるじゃないですか。
今中:そうですね。その間よく走ったなと思います。
中西:映画の中で見られた部分で、もっとさらに厳しい部分というのはあるんですか。
今中:1日のレースだったらこなせるっていう距離だったりスピードだったりするんですけど、それがツール・ド・フランスなんかだと、毎日最初からアタックなんですね。J
スカイスポーツさんがライブでテレビ中継をやってますけど、本当にライブが始まる前からすごいしのぎ合いがあるんです。もうアタックがかかりっぱなしで、ドンパンドンパン飛び出して。映画のシーンにもありましたけど、そういうシーンから始まることもあるんですけど、毎日スタートから時速50km、時速60kmは当たり前なんです。
中西:一番エンドできているスピードで、頭から全力疾走という感じなんですか。
今中:本当にそれがあるんですよ。
中西:それが21日間。
今中:ええ。辛いですよ。
中西:それは辛いですよ。1日何時間くらい走るんですか。
今中:5 時間前後ですね。
中西:休みなし。
今中:休んだらレースにならないですからね。昼間は5時間走って。ゴールをしなきゃ次の日に走れないんで、制限時間内に走らないといけないんですけど、それをずっと繰り返すわけです。
梶原:途中で飲み物をとったり栄養をとりながら。
今中:はい。
中西:映画にもありましたけど、車からもらったりして。
今中:はい。あれもリアルでしたけどね。車からもらいながら、あるいは補給のゾーンがあったりするので、そこで袋に入ったものを走りながらパッと取って。飲んだり、食べたりしながら。大体1日6000kcalから7000kcalとるんですよ。食べなきゃいけない。
梶原:体重落ちます?
今中:そりゃ落ちますけど、毎日落としてたらダメですよね。競技にならないです。毎日回復していくようにしなきゃいけない。朝、2000kcalですね。走りながらチョコチョコとって2000kcal。それで、走り終わってから2000kcalから3000kcalぐらい。水なんか5リットル飲みます。
中西:5リットル!
今中:サッカーも、暑いときは飲みますよね。
中西:逆に走れなくなっちゃうんで、摂りすぎるのもダメなんです。コップ半分くらいの水を、こまめに。10分くらいずつ飲まないと。一気に5リットル飲んだら終わりですね。
今中:自転車でも一気には飲まないですよ。
中西:それはそうですけど、サッカーの場合総体的に5リットルは飲まないと思います。時間が90分というのもありますからね。映画の最後のところで、ツール・ド・フランス100
周年に捧げるというのが出てましたけど、監督から見てツール・ド・フランスって特別なレースなんですか。
高阪:やっぱり特別ですよね。他のジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャはちょっとナショナリズムが強いレースなんですけど、ツール・ド・フランスはインターナショナルですよね。
今中:そうですね。130 から160 チャンネルが追ってるらしいですよ、世界中の。
中西:100 年といいますが、ツール・ド・フランスが一番歴史のある大会ですか。
今中:そうですね。1903年から始まっていますから。1903年、まあ1900年に入ってからですよね。ちょうど車のラリーが始まる頃らしいです。ラリーの場合にはメーカーが耐久性を争ったりということで町から町へという競技をやってたんですけど、自転車の場合人間の耐久性を試すために、みたいなところがありますよね。
中西:人間の耐久性ですか。
今中:試すためにじゃないですけど、試すような過酷なレースが当時はあったんですよ。300km
から400km 、町から町へ。
中西:それが前身みたいなものなんですか。
今中:そうですね。そこから100 年ですからね。
中西:今お話をしたツール・ド・フランスというのは町なかや山を走ったりしますけど、梶原さんはヨーロッパに仕事でよく行かれると思うんですけど、町なかで自転車レースを偶然見かけたことはありますか。
梶原:遭遇したことないですけど、そんな偶然に遭遇できるものですか。
中西:その時期に行けば見られるわけですよね。
今中:それだけじゃなくってね、僕らが出るだけで年間100から140 レースぐらい走ってるんです。
中西:100から140レース?
今中:走るんですよ。200km で。
中西:それは1 日で完結する?
今中:1日で完結するレースが週末にあって、1週間ぐらいのステージレース、ブエルタ・ア・エスパーニャをちょっと短くしたような、毎日走っていくレースは本当に頻繁にあるんです。それをトータルしていって、多い人は140
レースぐらい走りますね。
中西:それじゃあ、日本のプロ野球の試合と同じですから、相当な数ですよね。毎日プロ野球やってるんですよ、そう考えると。移動もありますし、大変ですよね。
今中:そういうのがあってこそ、こういう場面が引き立ってくる、人間ドラマが出てくるっていうのはありますよね。
後編につづく
構成・文:クルー
撮影:源賀津己
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