本田圭佑

西岡剛●にしおかつよし。'84年、京都府生まれ。180cm、75kg。右投げ両打ち。大阪桐蔭高時代には通算42本塁打を放った。’02年ドラフト1巡目で千葉ロッテマリーンズに入団。昨季途中からレギュラーに定着。5月18日現在、打率.324、2本塁打、25打点、13盗塁をマークしている。

第257回
西岡剛(プロ野球)


「ボク、練習がホンマに嫌いなんですよ(笑)」
  練習の虫ではないと否定する西岡剛だが、今季大ブレイクを果たすことができたのは、誰よりも練習を積み重ねたからに他ならない。躍進する千葉ロッテマリーンズのシンボルとして取り上げられるようになった今も、この20歳は居残り練習を続けている。
  トレーニングを繰り返し行う理由は、ただひとつ――。
「スイッチに転向することをおやじに相談したら、『やりたくなかったら、やらんでええ。野球もプロという世界でやりたくなかったら、やめて帰って来い』と言われました。それでちょっと、自分の中でムッとした気持ちになり、『それだったらやってやろう』と挑戦を決意しました」
  とにかく負けず嫌いなのである。練習は好きではないが、勝負に負けるのはもっと嫌い。
「プロ入り1年目は、左ピッチャーを全然打てませんでした。それで、スイッチヒッターに挑戦することを決めました。プロに入った限り、『何か変えたろかな』と思った」
  大阪桐蔭高時代から注目されていた西岡は、'02年ドラフト1巡目で千葉ロッテマリーンズに入団した。しかし、1年目の'03年はわずか9打席しかバッターボックスに立てなかった。現状から進化しなければ、プロの世界で生き残れない。プロ入り2年目を迎えた西岡は'04年4月、スイッチヒッターに転向した。
  決意を固めると、黙々とバットを振り続けた。シーズン中盤から一軍のレギュラーに定着し、63試合に出場。打率.255、6本塁打、35打点の成績を残した。周囲は「ロッテの将来を担う逸材」と大きく取り上げた。だが、本人は成績に納得できなかった。
  そこで今季開幕前、さらなるステップアップを目指して行ったのが、高校時代から憧れていた松井稼頭央(ニューヨーク・メッツ)との合同自主トレである。
「稼頭央さんとの自主トレでは技術面よりも、野球に対する姿勢を学びました。メジャーでプレイしているだけに、すごい練習量をこなします。今でも、向上心があるんですよ。勉強させられました」
  同じショート、そしてスイッチヒッターである松井との練習を経て、西岡は野球に対する姿勢を改めた。自分の取り組み方は、まだまだ甘い。それはまた、「松井稼頭央にも負けたくない」という気持ちの表れだったのかもしれない。
「はっきり言って1年目、2年目のキャンプは、スタートの2月1日をベストコンディションで迎えることができませんでした。だけど、今年はキャンプインが楽しみだった。3年目にしてやっと、キャンプ1日目から全力疾走という形ができたので、シーズンがスタートしても楽でした」
  今季開幕戦、西岡は出場機会を与えられなかった。少なからず、屈辱を感じた。だが、そのことで逆に火が点く。2戦目に2番セカンドで先発出場すると、「ボクを使えば絶対何かしたる」と発奮し、7打数4安打、6打点と大爆発。以後、打順は1番か2番、ポジションはセカンドかショートとして起用されるようになり、4月には球団史上最年少のおまけ付きで月間MVPを受賞した。
  だがそれでも、マリーンズのリードオフマンは現状に満足することはない。
「まだ、レギュラーだという意識はまったくありません。順番で、堀(幸一)さん、小坂(誠)さんと3人でショート、セカンドをつとめるという感覚です。ボクは先発出場が多いけど、2、3試合打てなかったらすぐにスタメンを外されます。でも、福浦(和也)さんのように確実に結果を残す人は、調子が悪くても絶対に使われます。ボビーは『休養』と言ってくれるけど、ボクはそういう気持ちになっていない。スタメンを外されると、すごい悔しい」
  打率3割以上をキープしているが、定位置を確保したわけではない。さらなる練習に励めば、今日の自分より進化することができる。何よりも負けることが嫌いな西岡は飽くなき高みを目指し、ひたすらバットを振り続ける。

取材・文/中島大輔(ぴあ)
撮影/大崎聡


西岡剛を知るための30の質問
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