21世紀の骨のあるヤツ

伊達公子、野茂英雄、中田英寿など世界を舞台に戦う選手の出現でおおいに盛り上がった90年代のスポーツ界。21世紀に突入した今、彼らのように大きくはばたく可能性を秘めた未来のスーパースターを直撃!

第62回

朝日健太郎(バレーボール)

朝日健太郎「ハハハ、もう、その質問に答えるの2万回目ぐらいですよ」
 小学校の時の身長は何cm? 大男と対面した時に90パーセントは発してしまいそうな、ある種、オバちゃんじみたお決まりの質問を唐突にぶつけてみた。
「実は卒業する時に173cmあったんです。それでランドセル背負ってましたからね(笑)。スゴい絵だと思いません? で、中学の時で190cm。だから、本当にいろんなクラブから誘いを受けましたよ。小学校の時はサッカーやってたんですけど、何せ背が大きくなると動きが鈍くなるじゃないですか。だから、中学ではインドア系をやろうと思ってて、髪型が自由だったバレーに決めたんです」
 全日本男子の不動のセンターに君臨する“ライジング・サン”朝日健太郎。そんな動機で始めたバレーだったが、今や自分の力を存分に発揮できる“天職”になった。出場権こそ逃したものの、昨年のシドニー・オリンピック予選では日の丸を胸に、海外の強豪相手にコート狭しと暴れまくった。彼の勇姿は、連日ゴールデン・タイムで放映された。端正なルックスも手伝い、朝日はVリーグでも1、2を争う人気プレイヤーにまで成長した。
「やっぱりオリンピックに出られなかったという事実は、悔しかったですね。正直、負けるまではオリンピックというものを、自分の中でとらえきれてなかった。ただ、やみくもに出場権を獲りに行ったという感じでしたから。だから、Vリーグで戦うにしろ、全日本で戦うにしろ、常に最高峰のオリンピックがあるんだという意識を持つことが大事。そういう意識は、去年までとはまったく違いますね」
 そのオリンピック予選敗退のフラストレーションを、朝日は昨年度のVリーグで一気に爆発させた。鋭い読みでブロックを決める朝日を筆頭に、佐々木太一、強力助っ人外国人のジルソンら豊富なタレントを誇るサントリー・サンバーズは、黒鷲旗に続いてVリーグも制覇。朝日は「ジルソンが入ったことで、練習ひとつとってみてもバレーに対するチームの意識が変わった。一生懸命頑張るのも大事だけど、さらに高い意識、メンタルな部分が強化されたことが勝因」と昨年度のVリーグを振り返る。自身もブロック王のタイトルを獲得し、チームの優勝に大きく貢献している。
 そして迎えた今年度Vリーグ。王者・サントリーは、危なげない戦いぶりで決勝ラウンド進出を果たしており、V2へ向けて死角はない。ただ、朝日に対する他チームのマークはより厳しさを増し、昨シーズンほど、思うような仕事をさせてもらえないのも事実だ。
「そうですね、自分のイメージ通りに体が動かなくて、結構イライラしてる部分もあります。それに、今シーズンはブロックもあまり出てないですよね。でも、自分としては一番大事な場面で点数に絡めればいい。うちにはジルソンがいるし、それぞれ役割ってやつがありますから」
 1年目は怖いもの知らずのイケイケ・プレイで新人賞を受賞。続く2年目は低調モードに陥り、3年目に見事チームを優勝に導いた。4年目の今年は、どのようにモチベーションを保つのか、それは現在の朝日に課せられたテーマでもある。
「別に前年度チャンプだという慢心はないけど、対戦相手がそういうふうに見ますからね。優勝すると他チームのマークが、想像以上に厳しいんだなと思いました。でも、これは王者として克服しなきゃいけない部分。今シーズンは、優勝チームだという自覚と自信が加わり気持ちが強くなった。だから、負けるわけにはいかないんです」
 レギュラーシーズンまでは安定した戦いぶりを見せているサントリー。だが、この王者の牙城を脅かす強力なチームがある。そう、サントリーが今シーズン唯一、2連敗を喫しているJTサンダーズである。
「今年のJTには、いい助っ人外国人がいますからね。このファイナルで最大のライバルになるでしょう。要注意です。まあ、ボク自身も、まだこれといった大仕事をしてませんから、そろそろ見せないと。照準はあくまでも、このファイナルですしね。JTにもここで借りを返して、全試合勝つ。やっぱり、あの優勝の味をもう一度味わいたいですからね」

撮影:岡本寿

プロフィール

●あさひけんたろう
'75年、熊本県生まれ。197cm、86kg。サントリー・サンバーズ所属。ポジション=センター。'97年、法政大4年時に内定選手として、サントリーの一員に。見事、第4回Vリーグ新人賞、ブロック賞を獲得する。同年のワールドリーグで日本代表入り。その後、代表のセンターに定着。'98年世界選手権、'99年ワールドカップに出場し、全日本の主軸に成長。

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