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第9回
大嶋宏成(ボクシング)
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「これに噛みつけばいいんですか。何でもやりますよ」そう言って本当に゛骨゛にかじりいているのは、現在最も勢いのあるボクサー、大嶋宏成だ。'97年夏にデビューした当時から、゙元ヤクザ゛の肩書きで注目された彼は、今では日本ランキング1位。2月21日(月)に、王者・リック吉村の持つ日本ライト級王座に挑戦することが決まっている。 「リックのボクシングははっきり言って好きじゃない。ああいうのは嫌いなんですよ。逃げて勝つようなファイトは」 強気が売りのボクサーは吐いて捨てるほどいるが、大嶋宏成ほど性格の強さを顔で、体で表現している男はいない。リングでは眼光鋭く、相手を睨みつける。肩には、ヤンチャだった時代の名残の入れ墨がある。 そんな経歴、キャラクターのため、当初は゛イロモノ゛的に扱われることが多かったが、'98年12月に全日本新人王に輝き、日本ランキング入り。それから1年足らずで1位にまで登りつめ、大きなチャンスを手にした。相手は日本王座を20度防衛(史上最多タイ記録)しているリック吉村だ。 「リックに挑戦するのはまだ早いって言う人もいるけど、やっぱり男としては強いヤツと戦いたい。勝てば、ベルトと世界ランクが手に入りますからね。おいしいですよ。リックはテクニックがあるので、とにかく前へ出て攻めたい。リックが日本で試合するのは今度が最後だから気合い入れてくると思うけど、俺も負けないくらいに気合い入ってます」 肩をいからせて相手を睨みつける大嶋は、勇敢で獰猛だ。だが、リズミカルにステップを刻み、左ジャブを突きながら右ストレートで仕留めるファイトスタイルは美しさに溢れている。だが、さらに上を目指す彼は昨年、世界王者だった畑山隆則とスパーリングを行い、世界に触れることで、大きな刺激を受けた。 「畑山選手は、プレッシャーのかけ方とか、駆け引きがうまかった。プレッシャーかけてきたなと思ったらパッと下がったり、意表を突くパンチを出してきたり。自分のボクシングはまだ正直すぎるので、もっとズルくならなきゃいけないですね」 元ヤクザの入れ墨ボクサーは、着実に階段を上がっている。 「入れ墨のこととか、昔やった悪さについてはもう言い飽きましたから。これからは正統派ボクサーとしてやっていきます(笑)。ボクサーでいる以上、ここまできたら世界チャンピオンにならないと。今の段階でも、知らない人に声をかけられたり、いい試合見せてくれてありがとうって言われたり、生活が変わってきてるんです。世界チャンピオンになったら、どうなるんだろう」 金がよく回るようにと入れた金魚の入れ墨は、もう原形をとどめていない。だが、昔欲しかったお金に代わる大きなものが、大嶋には確かに見えている。 撮影:山本潮 |
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