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第8回
西村晃一(バレーボール)
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175cm。今のバレーボール界では、セッターとしても低いと言われる身長ながら、西村晃一はズバ抜けたジャンプ力と持ち前の闘争心で、相手コートに強烈なスパイクを打ち続けてきた。だが、そんな超攻撃的な男のスパイクが封じられた。レシーブ専門のリベロへの転向である。「最初は、素直に受け入れられませんでした。背が小さいことなんかイヤというほどわかってましたけど、スパイカーとしてやっていく自信はありましたから。もちろん、スパイクを打つために全日本代表に選ばれたと思ってましたし。 でも、全日本のレギュラーとしてやっていくにはリベロしかなかった。こどもの頃からの夢だったオリンピックのためにはね。スパイカーでは無理でも、リベロで日本一になってやる。そう決意しました」 そして、全日本だけでなく、それまでエース級の活躍をしていた所属チームのNECでもリベロに徹することを、西村は選択した。 「世界の強豪を相手に全日本でリベロでやっていくためには、NECでもリベロとして試合経験を積むことが必要ですからね。 日本人のスパイクなら、打ったのを見てから動いても間に合うんですけど。海外の一流選手となると、それではもう遅いんですよ。ボールを打つ前にある程度予測して動かないと。Vリーグのチームにもいい外国人が来てますから、彼らのスパイクを1本でも多く拾ってやろうと思いました」 バレーボールを始めた時から、中学、高校、大学、社会人と、スパイクだけで勝負してきた男が、自らそれを完全に封印した。全てはオリンピックのために。 西村は、加藤陽一(東レ)、朝日健太郎(サントリー)とともに、男子バレーボール界のニューヒーローと呼ばれる。しかし、全日本のエースに成長した加藤の芸術的なアタックや、ネット上の魔術師と称賛される朝日のブロックのようなハデさは、リベロとなった西村にはない。 それでも、シドニー・オリンピック出場へ一縷の望みをかけて、7月に行われる最終予選に挑む全日本男子チームを土壇場で救ってくれるのは、西村晃一に違いない。 相手チームのエースに絶妙のトスが上がり、誰もが諦めかけた絶対絶命の大ピンチ。ブロックを突き抜けた矢のようなスパイクに食らいついた゛日本のレベロ゛が、1本のレシーブを上げる。ファンは、そんな西村のプレイを待っている。 まずは、オリンピック最終予選に弾みをつけるべく、NECの2連覇をかけて臨むVリーグでの西村の活躍に期待しよう。 「リベロに見せ場なんてありませんよ。サーブはきちんとセッターに返して当たり前。逆にアタックなんか、男子バレーではそうそう拾えるハズがないんですから。1セットで1本上げられるかどうかでしょ。でも、そのたった1本のファインプレイにかけてみますか。リベロですから」 取材・文:宮崎俊哉 撮影:中川彰 |
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●にしむらこういち |
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