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いりきゆうさく●'72年、宮崎県生まれ。173cm、80kg。右投げ右打ち。投手。背番号は49。PL学園高から亜細亜大、本田技研を経て'96年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。'01年にはチーム最多の13勝を挙げる(同年のセ・リーグ2位記録)。'04年、北海道日本ハムファイターズへ移籍。'06年から大リーグ・ニューヨークメッツへの移籍が決まり、念願のメジャーリーガーの仲間入りを果たす。
日本での通算成績は、212試合に登板し、35勝35敗3セーブ。防御率は3.73。
《入来祐作オフィシャルウェブサイト》
http://www.yusaku-iriki.com/
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最終回・第269回
入来祐作(プロ野球)
城島健司、森慎二、斎藤隆、小関竜也……。今季もまた、新たな日本人プレイヤーがメジャーリーグの舞台を目指して海を渡った。北海道日本ハムファイターズからニューヨーク・メッツへ移籍した入来祐作も、そのひとりだ。すでにオープン戦でも登板、相変わらずテンポのいい投球で相手打線を抑え、開幕メジャーへ向けて好スタートを切っている。
「とにかくメジャーのマウンドで投げたい。今はそれだけですよね」
持っている球種、技術、精神力、すべてを駆使して開幕メジャーの切符を手に入れることしか、今は頭にない。爽やかな笑顔で答える入来からは、迷いのない清らかな覚悟を感じた。
今シーズン、ニューヨーク・メッツと1年のメジャー契約を交わした。年俸75万ドル(約8600万円)と最大50万ドルの出来高払い(推定)がつく好条件は、日本選手をシビアな目で見はじめた最近のメジャー球団にすれば珍しいことだった。
「すごくラッキーだったと思います。代理人も言っていたけど、先発もリリーフも、何でもこなせる点を評価してくれたんでしょうね。だから、もちろん先発でやりたいとは思うけど、敗戦処理でも何でも、与えられた場所で一生懸命投げたいと思います」
これまで数多くの日本人選手が在籍した同球団には、現在も松井稼頭央がプレイしている。しかも、入来にすればPL学園の後輩と環境的にはやりやすいのではないだろうか。
「3学年下で一緒にやってないし、向こうはスターですから。シェイスタジアムに看板があるぐらいのチームの顔ですからね。でも、同じ日本人がいるだけで気持ちは楽ですよね」
入来が代理人に出した条件は、『どの地域でもいい、メジャーのマウンドに立てる球団を探してくれ』だった。もっと投手力の弱い、日本に馴染みの薄いチームになると思っていたためメッツは考えていなかった。しかし、提示された予想以上の条件と環境に期待の大きさを感じ、スプリングトレーニングでは与えられたチャンスに結果を出そうと懸命になっている。
そもそもアメリカ野球に魅力を感じ始めたのは1997年のことだった。この年、ドラフト1位で読売巨人軍に入団した入来は、シーズン終了後にハワイで行なわれていたウインターリーグ('93年〜'97年で休止)に参加した。アメリカと日本から若手が集まった育成を目的としたリーグで、イチローや小久保裕紀(巨人)、ジェイソン・ジアンビ(ヤンキース)らもここをきっかけに大きく飛躍した。
「あそこで初めてアメリカ野球に触れた。よかった、すごいよかった。みんな自分をアピールして、少しでもいい契約をしたいと一生懸命なんだけど、日本とは雰囲気が違う。日本は堅苦しいというかなあ。同じルールで同じ野球をやっているのに、何かが違うんですよ。それが不思議だったけど、楽しくてね。あれから憧れを持つようになったんです」
しかし、当時はアメリカ野球を意識するようになっただけで、現実的には巨人で結果を出すことに集中した。'01年に13勝を挙げ主力投手となるが、翌年から低迷し'04年に日ハムに移籍。アメリカ野球への思いが再び、沸々と頭をもたげてきたのは、その頃だった。'04年のオフ期間中には武者修行の一環からメキシコに渡りウインターリーグにチャレンジする。
中南米での経験は入来を刺激した。マウンドに上がる度に観客席から起こる異様なドヨメキ。「なんだこいつ、ちっちぇえなあ」「これで、大丈夫かよ」。173cmの入来は、テンガロンハットに髭を蓄えた観客たちからすると、相当、小さく見えたのか、微妙なリアクションばかりで盛り上がることはなかった。それでも2試合5イニングを無失点に抑えた経験は、これからの野球人生に役立つのは間違いない。また、コーチに教えてもらったツーシームが入来の投球に幅を与えた。翌'05年は勝ち星こそ6勝だったが、自身2度目となる規定投球回に達し、防御率3.35と安定したゲームを展開した。
「僕の球はシュート気味に変化するけど、いい感じで投げられましたよね。球速はストレートとあんまり変わんない。たまにストレートより速い時があるけどね(笑)。でも、球種が一個増えるだけで、気持ちにゆとりを持って投げられるようになりました」
現在の球種は直球、ツーシーム、カーブ、スライダー、チェンジアップの5種類。日本で結果を残したピッチングのまま、メジャーリーグに挑戦している。
「通用しなかったら、その時考えればいいんじゃないかな。絶対、八方塞がりになることはない。万が一、そうなったらジッと我慢すればいい。それが僕の考えです」
メジャーのマウンドに上がった時のイメージもすでにできている。
「きっと、観客はメキシコと同じような反応だろうなあ。ダントツに小さいですからね。いじめられたらどうしよう(笑)。だけど、この体で活躍したら、日本の子どもたちの励みになりますよね。頑張らないと」
最後に目標を聞くと、数字よりメジャーリーガーでい続けることと言った。そして、サブウェイシリーズでヤンキースの松井秀喜相手に投げられたら、うれしいなあと笑った。
取材・文/市田実
撮影/岡本寿
※『21世紀の骨のあるヤツ』は今回をもって最終回とさせていただきます。
1999年12月の第1回よりご愛読いただきまして、ありがとうございました。
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