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演劇・ミュージカル
〈ウィーン版ミュージカル〉「エリザベート」ウィーン・コンサート・バージョン
〈ウィーン版ミュージカル〉
「エリザベート」ウィーン・コンサート・バージョン
Production VBW / Elisabeth in Japan 2007
Photo:(C)UMEDA ARTS THEATER

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ハプスブルク帝国の美しき皇妃エリザベートの波乱に満ちた生涯をドラマチックに描き出し、ドイツ語ミュージカル史上空前の大ヒットを記録した『エリザベート』。’92年のウィーン初演以来、日本、ハンガリー、オランダなど世界9カ国で上演され、これまで800万人を超える人々を感動の渦に巻き込んできた。今なお上演が繰り返される人気作が、この春、本家ウィーンでも実現が難しい最高級のキャストとフルオーケストラを揃え、なんと舞台装置丸ごと初来日を果たした! 3月に幕を開けた大阪の梅田芸術劇場ではそっくり本場のセットが組まれ、連日熱狂のステージが再現されている。さらに、続く5月には東京の新宿コマ劇場で「ウィーン・コンサート・バージョン」が上演される。フルキャスト&フルオーケストラによるコンサート形式の上演は世界初の試みだ。


≪注目ポイントその1 世界初!コンサート版で綴るドラマチックな皇妃の人生≫

東京近郊のファンからは「なぜオリジナル版は大阪だけなの〜」と不満の声も聞こえてきそうだが、コンサート版と聞いて侮るなかれ。舞台上には固定セットを組み込み、キャストやオーケストラはもちろん、衣装もストーリー展開も台本進行は本公演と全く同じ。違いと言えば大きな装置がないだけで、美しいドロップ(幕)も使えば、照明はむしろ本公演をしのぐ豪華さだ。演出は振付のデニス・カラハンが兼任する。『ダンス オブ ヴァンパイア』『モーツァルト!』も手がける実力派で、皇太子ルドルフ役のルカス・ペルマンもパンフレットで彼の振付を絶賛している。いわく「たとえば『キッチュ』では本来の音楽のリズムと反対の踊りをさせている。演劇的に非常に面白い振付になっていると思うんだ」。東京版では全編を通して、振付家ならではの斬新な演出が飛び出しそうだ。フルメインキャストの来日も恐らくこれで最後であろう!これはいよいよ見逃せない!

ここで物語について少し説明しよう。舞台は19世紀末、凋落の兆しが見え始めた騒乱のオーストリア。自由闊達な少女時代を過ごしたエリザベートはある日、皇帝フランツ・ヨーゼフに見初められ、オーストリア皇妃となる。あどけなさの残る少女にとって厳格なお妃教育や皇室での窮屈な生活は苦痛以外の何ものでもなかった。やがて夫の理解も得られぬと悟った彼女は、美貌を武器に自立した女性として生きることを決意し、放浪の旅に出る。それは同時に彼女を愛する“死(黄泉の帝王トート)”の誘惑に抗い続ける過酷な人生の始まりでもあった。心の奥底では死を予感しトートを求めながらも、生への執着を捨てきれないエリザベート。そんな彼女に業を煮やしたトートは、残酷な愛の証か、エリザベートの息子ルドルフの命を奪ってしまう。
失意に暮れるエリザベートにウィーンに戻るよう懇願する夫フランツだったが、ついに二人の心が通じ合うことはなかった。やがて、彼女の人生にも終わりの瞬間が訪れようとしていた。自分らしくあることを望み、トートの愛を拒み続けたエリザベートが最後に手にしたものとは……。現代にも通じるリアリティを持った女性像と、彼女が抱く欲望=死の化身との、危うく官能的な世界が描かれる。


≪注目ポイントその2 音楽ファンをも唸らす珠玉のミュージック!≫

本作の人気を決定付けているのが、ドラマチックな脚本をより深みのある物語へと昇華させる芳醇な音楽だろう。音楽のシルヴェスター・リーヴァイと、脚本・作詞のミヒャエル・クンツェといえば、日本では『モーツァルト!』や最近作『マリー・アントワネット』でお馴染みの大ヒットメーカー。また’70年代にはポップス界で活躍し『フライ・ロビン・フライ』(シルバー・コンベンション)でグラミー賞を獲得した最強にして最高の黄金コンビなのだ。そんな彼らが作り出す楽曲はクラシック、モダン、ポピュラー、ロックと多彩な要素が融合された豊かな旋律が特徴で、音とメロディーで各キャラクターの性格や心情までを自在に表現する。
楽曲が巧みな分、オーケストラや歌い手にも高度な技量が問われるが、音楽の都で活躍するプロ集団にあって、それは愚問といえよう。なかでも’94年以来10年以上、エリザベートを演じ続けるマヤ=ハクフォートの歌声が絶品。無邪気な少女時代から、美神へ変貌する皇妃時代、果ては美も精も尽きた中年時代までを、役への深い理解と伸びやかな歌声で巧みに演じてみせる。『私だけに』を聴いた後は余りの迫力にしばし放心してしまうほど。至高のディーバと称される所以だ。さらに宝塚歌劇ファンの度肝を抜くのがマテ・カマラス演じるトートだ。自らロックバンドを率いるだけに、その歌声はセクシーかつ超ワイルド!『闇が広がる』や『最後のダンス』など、エリザベートや皇太子ルドルフを妖しく誘惑するお馴染みのナンバーでは、シャウトも飛び出す情熱的なパフォーマンスで、観客の視線を釘付けにすること間違いなしだ!



文:石橋法子




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