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演劇・ミュージカル 3軒茶屋婦人会「女中たち」
3軒茶屋婦人会「女中たち」
 
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個性派という言葉では物足りない個性と、隠しきれない実力を持つ役者、篠井英介、大谷亮介、深沢敦。昔から仲が良く、たまたま家が近所だった3人が一昨年、ユニットを立ち上げた。それが3軒茶屋婦人会だ。旗揚げ公演として、本来は女性の3人芝居であるはずの「バニティーズ」を上演、チアガール姿まで堂々と披露して、観客に爆笑と感動とインパクトを与えた彼(彼女?)らが再び帰ってくる。しかも今度は、同じく女性3人芝居でありながら、内容がガラリと異なるジャン・ジュネの「女中たち」を選んできた。退廃の香り濃く漂うこの作品で、百戦錬磨の3人は、どんな手練手管を見せてくれるのか。おそらくはかなりの笑いを交えながら、背筋がゾッとするような女同士の心理戦を、この3人ならではの味付けでたっぷり堪能させてくれることだろう。男優、しかも40歳をとうに過ぎたおじさんが演じる「女中たち」だが、ただのイロモノで終わらないはずだ。

≪この舞台のツボ [1] なにゆえに、この名前?≫

男性ばかりなのに婦人会、“三軒茶屋”でなく“3軒茶屋”なのは、これいかに? 後者の理由は、3人とも三軒茶屋に住んでいることをくっつけて。前者の理由は、まず篠井は“歌舞伎以外の現代の女形のあり方”を目指して活動を続けてきた役者であり、実際、多くの女優が憧れる「欲望という中の列車」のヒロイン・ブランチを堂々かつ繊細に演じて絶賛された経歴を持つほど。日舞の師範免許も持ち、ドレスも和服も女性以上に美しく着こなす、いわば女性を演じる正統派。深沢も、おかまバーのママといった女性的な役が多いが、コロコロとした体型と愛らしい顔立ちで派手な服を着こなし、舞台をにぎやかにする。このふたりの個性に大谷が乗り、婦人会と命名されたと予想される。ちなみに大谷は、顔も体格も声も実に男らしく、普段の役は刑事や校長など威厳のあるものが多い。それゆえ大谷の女性役に関しては、この3軒茶屋婦人会でしか見られない、貴重な機会だということができる。

≪この舞台のツボ [2] 3人が来た道≫

それぞれが1枚看板として活動を続けているが、かつては全員、劇団に所属していた。篠井と深沢は、花組芝居の創立メンバーで、動員の増加や作品の質の向上に大きく貢献していた。トリビア的なことを付け加えるなら、現在、日本テレビのお天気キャスターとして知られる木原実も、同時期に花組で活躍する役者だった。さらに付け加えるなら、木原は当時からTVの仕事をしており、公演中も夕方の生放送があるため、本番に登場するのは決まって後半で、“8時半の男”と呼ばれていた。大谷は、串田和美が率いていた自由劇場を経て、劇団東京壱組を旗揚げ。大谷は自分で脚本も書くが、壱組の座付き作家は小説家の原田宗典である。壱組メンバーには、映像でも活躍している美人女優、余貴美子がいる。

≪この舞台のツボ [3] ジャン・ジュネとは?≫

詩人、作家、戯曲家で、20世紀のフランス文学を代表する才能のひとりといわれる。76年に渡る生涯は波乱に満ちたもので、娼婦の子供として施設で生まれ、母にも捨てられてからは、ろくに教育も受けないままヨーロッパ各地を放浪し、投獄と出所を繰り返していた。32歳の時、服役中に書いた詩が認められて文壇デビューする。終身刑だったところを、サルトルらの活動で特赦を受けて出所、大家ジャン・コクトーの手引きで数々の作品を出版する。詩、小説、戯曲、いずれも“人間は本来、悪である”という認識を、徹底的かつニヒルに表現したもので、世界中の作家に大きな影響を与えた。「女中たち」は、ジュネが書いた5本の脚本のうちのひとつである。




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