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演劇・ミュージカル 「もとの黙阿弥」
「もとの黙阿弥」写真
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最近、蜷川幸雄が演出する「天保十二年のシェイクスピア」の作者として、若い演劇ファンの間でも一気に知名度がアップした井上ひさし。日本が誇るストーリーテラーが22年前、初めて大劇場用に書き下ろしたのが「もとの黙阿弥」だ。「誰々だと思ったら、実は誰々だった」という歌舞伎のスタイルと、「主人と従者が身分を入れ替えて起きる騒動」というシェイクスピアの得意技を借りながら、ふたつの恋と大人の思惑、庶民のパワーと演劇の歴史の一端を描く。22年ぶりに蘇るニューバージョンは、主要キャスティングを一新。身分が高くてまじめで世間知らずの青年・隆次を筒井道隆、彼とひと目で恋に落ちるも、身分を偽ったために悩むお嬢様・お琴に田畑智子、そんな若い主人公を、高畑淳子・池畑慎之介・辻萬長という大ベテランが囲む。お琴の家に仕える女中には横山めぐみ。笑いながら考え、考えながら元気になる、そんな舞台になりそうだ。

≪この舞台のツボ [1] 数々の伝説を持つ、井上ひさし≫

これまでに書いた戯曲、小説、エッセイは数知れず。受賞した賞も数知れず。だが、日本演劇界の巨頭が最も多く持つのは、人間くさいエピソードかもしれない。物書きとしてのキャリアをスタートさせたのは、浅草のストリップ劇場。大学在学中から、文芸部兼進行係として台本を書き始めた。(ちなみに、井上ひさしは歌舞伎の戯作者である河竹黙阿弥を敬愛しているが、その作品に初めて触れたのはこの頃で、このストリップ劇場の文芸部に入ると誰もが「黙阿弥を読め。」と言われたらしい。) その後、放送作家となり、すぐに高い評価を得るが、全国的ブレイクを果たすのは、64年にスタートした「ひょっこりひょうたん島」(NHK)。この番組の主題歌も作詞した。のちに戯曲、小説に進出して、いずれも絶大な人気を得る。そしてその作風よりも知られるのが、遅筆ぶりだ。初日の数日前に書き上がるのは珍しくなく、最もすごいのは、紀伊國屋サザンシアターの柿落としのための新作を落とし(書き上げられなかった)、劇場のオープニングを延ばしたことだろう。しかし書き上げた戯曲は、演出家も役者も観客も納得せざるを得ない完成度。井上作品の人気は、評価は高まりこそすれ衰えない。「そんなこと、信じられない」と思ったあなた、その秘密を、この「もとの黙阿弥」で確認してはどうだろう?

≪この舞台のツボ [2] 演じる落語家、増えてます≫

ドラマ「タイガー&ドラゴン」や、林家こぶ平が林家正蔵を襲名したことの影響で、落語ブームが起きているとか。「タイガー……」で落語の監修をしながら出演もしていた春風亭昇太は、今年すでに、アガペストア「仮装敵国」(「仮想」ではありません)、伊東四朗一座「喜劇・芸人誕生物語」に出演、秋にもまた予定があるとかで、舞台づいている。しかし昇太に負けていないのが、この舞台の主演のひとり、柳家花緑だ。落語家としての花緑は、名人、柳家小さんの孫で、22歳の時に31人抜き、史上最年少の真打となった人。独演会ではピアノやダンスなど落語以外にも果敢に挑戦し、芸の幅を広げてきたが、00年頃から役者として舞台にもたびたび出演するようになる。通好みで実力派の劇団、山の手事情社の公演で利賀村演劇フェスティバルに出たり、人情話の名手・水谷龍二の作品に出演したり、ある女優さんの座長公演で大劇場に出演したり……。実に幅広い作品を経験している。この舞台での役(書生・久松菊雄)は、22年前の初演では、やはり落語家で役者としても多く活躍した古今亭志ん朝が演じたもの。「尊敬する先輩と同じ役ができる」と、いつも以上に張り切っている。



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