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演劇・ミュージカル 「メアリー・ステュアート」
 
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つねに男性によって人生を変えられたスコットランド女王、メアリー・ステュアート。政治に男女問題が介入するのを嫌い、生涯、独身を通したイングランド女王、エリザベス1世。ふたりは同じ時代に生きながら、正反対の人生を歩んでいた。お互いを強烈に意識しながらも、実際には1度も顔を合わせることがなかったふたりが、夢の中で何度も出会う。そしてまだ見ぬ相手との会話でだけ、男、親、人生、権力、プライドと弱音、相手への嫌悪と親近感など、誰にも打ち明けたことのない本心を語りだす。人間の心理の奥底を描き出す迫力のふたり芝居が、原田美枝子と南果歩によって上演される。演出は、昨年、東洋人で初めてオン・ブロードウェイで演出家デビューした宮本亜門。90年、93年、96年と上演を重ねてきたストレート・プレイを、9年ぶりにいかに料理するか、注目だ。

≪この舞台のツボ [1] メアリーとエリザベス〜1≫

この舞台のタイトルにもなっているメアリー・ステュアートの人生は、実にドラマチックなものだった。まず、彼女の人生がエリザベス1世と結びつくまでの激動の半生をたどろう。1542年に生まれた彼女は、生後わずか6日で父が急死、スコットランドの王位を継ぐ。16歳になると政略結婚でフランス皇太子に嫁ぐが、1年半で夫が死亡、スコットランドへと戻ってくる。23歳でダーンリ卿ヘンリー・ステュアートと再婚するも、2度目の夫は横暴で、メアリーはすぐ後悔することに。間もなくイタリア人宮廷音楽士と恋に落ちるが、夫や貴族達の策略で、目の前で彼を惨殺されてしまう。
ヘンリーとの息子を出産後、メアリーは今度は、貴族で既婚者のジェイムズ・ヘバーンと恋仲に。そんな中、ヘンリーが謎の爆発事故で突然の死を遂げる。メアリーは世間から「犯人では?」と疑いの目を向けられながらも、わずか3ヵ月で、ジェイムズを離婚させて再々婚を成立させてしまう。これに反発した国民が反乱を起こし、メアリーは息子のジェイムズ6世を即位させ、自分は退位する。しかし国民の怒りは治まらず、地方の城に幽閉される。何とかここを脱走した、イングランドへと逃亡してエリザベス1世に助けを求めるのだが──。

≪この舞台のツボ [2] メアリーとエリザベス〜2≫

エリザベス1世にとってメアリーの亡命は、火のついた爆弾を押し付けられたようなものだった。なぜなら、彼女を受け入れれば「政治亡命者を助けた」としてスコットランドから反発を買うことは必至であり、スコットランドに送り返せば、メアリーとつながりの深いフランスから、それをきっかけに外交干渉をされかねない。しかも問題は、メアリーは血筋的にエリザベス1世よりも確かなイングランドの王位継承権を持っていたこと。さらに当時のイングランドはまだ治世の安定せず、宗教が政治と深く絡み合っていた時代だった。メアリーは熱心なカトリック信者で、イングランド国内に根強い地盤を持つカトリック勢力が、権力拡大のためにメアリーを担ぎ出す可能性は非常に高かった。プロテスタント寄りのエリザベス1世にとっては、非常に頭の痛い問題だったのだ。
結果として、エリザベス1世はメアリーを軟禁状態に置いた。「メアリー・ステュアート」は、この時期のふたりを描いた物語である。やがて、メアリーがカトリック信者の立てたエリザベス1世の暗殺計画に同意した疑いが持ち上がる。メアリーに死刑の判決が下るが、エリザベス1世は死刑執行書への署名を拒み続けるも、最終的には、さまざまなしがらみからサインをする。そして付け足すなら、メアリーの処刑から16年後、エリザベス1世が亡くなった後にイングランド国王についたのは、メアリーの息子、ジェイムズだった。これはエリザベス1世の遺言だった。

≪この舞台のツボ [3] かつての「メアリー・ステュアート」≫

この作品は15年前、宮本亜門演出、出演は麻実れいと白石加代子という布陣で日本で初めて上演された。宮本はミュージカルのイメージが強いが、まだ30代前半、この作品の演出で「シリアスなストレートプレイもできる宮本」として高い評価を得た。また、ともに実力ある大女優とはいえ、宝塚のトップ出身の麻実と、早稲田小劇場出身の白石、まったくカラーの異なる女優のふたり芝居は、90年の初演、大いに話題になった。そして強いパートナーシップが結ばれ、93年と96年と再演が繰り返され、いずれも大好評を得た。今回、新たにこの作品に挑む原田と南は、膨大なセリフ量にどう挑み、どんなパートナーシップを結ぶのか。しっかりと確認したい。





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