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演劇・ミュージカル 「LAST SHOW ラストショウ」
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昨年、朝日舞台芸術賞と芸術選奨文部科学大臣新人賞という権威ある賞を、29歳という異例の若さでダブル受賞した長塚圭史。演劇界では早くからその才能が注目され、主宰する阿佐ヶ谷スパイダースは、96年の結成からいまだに動員が増加を続け、02年にはパルコ劇場の歴史上、最年少(当時27歳)で「マイ・ロックンロール・スター」を作・演出した。その後も翻訳劇の演出、脚本の提供、役者として舞台や映画に出演、さらにエッセイ執筆など、切れ目のない活躍で快進撃を続けている。「LAST SHOW」は長塚にとって2度目のパルコ劇場での書き下ろし。これまで、ゆがんだ形ではあっても“家族の絆”を描き続けてきた長塚が、初めて“絆なき家族”を描くという。出演は、風間杜夫、永作博美、古田新太ら。暴力性と叙情が不思議なバランスで混じり合う長塚ワールドが、実力派の役者の手を借りてどんな新しい表情を見せるのか、要注目だ。

≪この舞台のツボ [1] 増え続ける長塚圭史ファン≫

長塚の活動母体は、演劇ユニットの阿佐ヶ谷スパイダース。96年の活動開始以来、年に数回の公演を行なっているが、東京はもちろん、いまやその人気は各地に飛び火。全国公演が行なわれる数少ない劇団になっている。また、世界的に注目される現代作家、マーティン・マクドナーの作品を演出して成功、若い世代だけでなく、上の世代からも厚い信頼を得ている。さらに映画「リアリズムの宿」(04年、山下敦弘監督)に主演したり、新聞、女性誌、サブカルチャー誌など、さまざまな雑誌でコラムを連載、舞台の彼を知らない長塚ファンも増加中だ。年代やジャンルを越えた人気だが、彼がつくりだす世界は決して、わかりやすく温かではない。未見の人は、毒をたっぷり含むがハマるとクセになるその正体を、「LAST SHOW」で確かめては?

≪この舞台のツボ [2] ラストならぬファースト(初めて)の人達≫

この舞台の出演者は次の通り。風間杜夫、永作博美、古田新太、北村有起哉、中山祐一朗、市川しんぺー。北村は、03年、前述のマーティン・マクドナー作の「ウィー・トーマス」に主演し、長塚演出を受けている。中山は阿佐ヶ谷スパイダースのメンバーであり、長塚の外部作品にもほとんど出演している。市川は、長塚が大ファンという小劇場のベテラン劇団・猫のホテルの看板俳優のひとりであり、03年のスパイダース作品「みつばち」に参加している。そして残る3人が、長塚との初めての顔合わせ。主人公を精神的に追い詰める父親役の風間、芸能界に中途半端に生き残る元・子役という役どころの永作は、きっとこれまでにない“初めて”の一面も見せてくれるだろう。また意外なのは、古田新太が長塚と初仕事となること。このふたりの相性もしっかり見届けたい。

≪この舞台のツボ [3] 「LAST SHOW」の前に「悪魔の唄」あり≫

常識では測れないいびつな形をとってはいるが、根本には純粋すぎる愛情があり、それが観る者の胸を打つ──。それがこれまでの作品だとしたら、「LAST SHOW」には違う展開が用意されているらしい。その変化は、長塚本人によると、今年2〜3月に上演された阿佐ヶ谷スパイダースの「悪魔の唄」が関係している。「悪魔の唄」の脚本を書くために戦争について調べるうち、国単位の動き、歴史の流れについて考えざるを得なくなった。それが直接、今回の脚本に反映されてはいないが、家族に対する意識が大きく変化したという。それを乗り越えて書いた家族像はどんなものなのか。心して、向かい合いたい。



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