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演劇・ミュージカル 「越路吹雪物語」
「越路吹雪物語」
 
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死後25年を過ぎてなお、熱狂的なファンは多いが、その華やかさ、粋、洒落っ気、何よりも“本物”を感じさせる存在感が、今こそ評価されるべきエンターテイナー、越路吹雪。先ごろ、天海祐希が主演したドラマが高視聴率を獲得して話題になったが、越路の生涯を彼女にふさわしくショーアップして見せてくれるのは、この舞台だろう。事実、03年2月の初演から、再演を重ね、今回で4回目の上演となる大ヒット作なのだ。越路を公私に渡って支えた作詞家の岩谷時子が書いた伝記を原作に、越路のヒット曲や当たり役の名シーンをふんだんに盛り込んだ作品は完成度が高く、また、出演者のハマリぶりが人気の理由。越路を演じる池畑慎之介の見た目、歌い方、身のこなしの瓜二つぶり、岩谷時子を演じる高畑淳子の抑えた演技。その迫力は、越路を知らない人でも夢中になれること、間違いない。

≪この舞台のツボ [1] 越路吹雪って、どんな人?≫

1924年生まれ、宝塚音楽学校を経て、宝塚歌劇団に入団。華やかな顔立ち、スラリとした手足、抜群の歌唱力と踊りで人気を博すが、「もっとたくさんの人の前で歌い、踊りたい。芸術家ではなく芸人になりたい。」と51年に退団。数々の映画、舞台で活躍するも、突然パリへ。帰国後はシャンソン歌手として幅広い年齢層から圧倒的な支持を得る。その歌は、彼女ほどシャンソンを歌いこなせる人はフランス人でもめったにいないと言われたほどで、「ろくでなし」「愛の賛歌」「ラストダンスは私に」「サントワマミー」など、今日、日本でよく知られるシャンソンの数々は、越路が歌ってヒットし、広く知られるようになった曲が少なくない。53年から毎年開いていたリサイタルは、伝説のプラチナチケットだった。「スター」「エンターテイナー」という言葉が似合う華やかさとは裏腹に、舞台を降りると繊細で気さくな人柄でも知られた越路は、生涯「コーちゃん」と呼ばれ、多くの人から愛された。80年に没。舞台「越路吹雪物語」では、彼女の後半の半生が、歌と当たり役をふんだんに盛り込みながら描かれる。

≪この舞台のツボ [2] びっくり! そっくり! 池畑コーちゃん≫

この舞台を観た誰もが驚くのが、主演の池畑慎之介ことピーターが越路と本当にそっくりなこと。もともと華奢な骨格が似ているのだが、かつら、メイクを駆使して「コーちゃん」になりきっている。しかし、そのベースには、仕草、話し方、歌い方への池畑の相当に熱心な研究と、本来持っている歌唱力、演技力の高さが存在することは言うまでもない。そのすべてが相まって「コーちゃん降臨」とも言える姿が実現した。そもそも、今もファンの多い伝説の大スターを演じることは、役者にとってかなりのプレッシャー。それをはねのけ、当たり役にしてしまった池畑には、心から拍手を贈りたい。

≪この舞台のツボ [3] 稀代の作詞家、生涯の友人、岩谷時子≫
原作を書いた岩谷時子は、加山雄三の「君といつまでも」、ザ・ピーナツの「恋のバカンス」など、60〜70年代の歌謡曲を彩った人気作詞家。その一方で、宝塚時代から越路のマネージャーであり、公私のさまざまを相談した友人であり、「この舞台のツボ1」に書いた越路が歌ったシャンソンを日本語に訳した人でもあった。作詞、訳詞ともに素晴らしい言葉のセンスを見せ、次々と仕事の依頼が来て売れっ子となったが、最後まで越路のマネージメントはやめなかった。ちなみに、越路の死後、自分の訳詞バージョンの「愛の賛歌」が歌われることを封じた岩谷が、ただひとり例外として許可を出したのが、先日、若くして亡くなった本田美奈子.さんだった。



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