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 KERA・MAP「砂の上の植物群」
KERA・MAP「砂の上の植物群」写真

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人気劇団ナイロン100℃の作・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチが手がける別ユニット、KERA・MAP。これまでは“劇団外の若手俳優との芝居づくり”を定義に、不定期に活動を行なってきたが、ここに来て、一気にビッグに変身する。なんと主なキャストは、常盤貴子、筒井道隆、渡辺いっけい、温水洋一という、キャリアも実力も十二分の大メジャー。特に常盤はこれが初舞台となる。ストーリーはいまのところ、飛行機事故で生き残った日本人が、理由もわからないまま、どこだかわからない場所に監禁されるというシリアスなもの。しかし、そこに笑いをミックスするのがKERA流。恐怖やシニカルを何度も笑いでひっくり返しながら、観客をはるか遠くに連れていってくれるはず。横長のシアター・アプルも何度も公演しているので、その特徴を生かした迫力の美術もいまから楽しみだ。

≪この舞台のツボ [1] 常盤の冒険心に拍手!≫

CMは途切れることがなかったが、映画「赤い月」以降、特に大きな動きがなく、ファンを寂しがらせていた常盤貴子。久々に飛び込んできたニュースは、舞台初出演、しかもKERA・MAPに出演という、意外なものだった。おそらくこれまでにも数え切れないほどの舞台のオファーがあったであろう彼女が、いかにも安全パイ的な作品ではなく、エッジの利いた作家の群像劇を選んだことに大きな拍手を贈りたい。おそらくそこには、大きくてしなやかな冒険心、好奇心、勇気、遊び心があったはず。そうしたたくさんの見えないものを、演技という形にして、観客の前で生で披露する決意をした常盤が、この舞台で多くのものを得られることを期待しよう。

≪この舞台のツボ [2] KERAのラブコールが聞こえる。≫

もともとは、劇団外の若手俳優と組むことを目的としてスタートしたKERA・MAP。今回、豪華なビッグネームが何人も出演するものの、KERAがキャストにかなりこだわったことは想像に難くない。その最大の理由が、山本浩司の起用である。山本の名前を見て「ああ」とわかる人は、おそらくかなりの邦画好きだ。「リアリズムの宿」や「ばかの箱舟」など数本の作品で熱狂的なファンを多く持ち、日本映画の期待の星といわれている山下敦弘監督の映画の常連俳優が山本なのだ。山下作品の大ファンであるKERAが、映画を通して知った山本に「舞台に出ないか」とアプローチ。初舞台を飾らせることになったのだ。また、赤堀雅秋は、小劇場界で人気のTHE SHAMPOO HATという劇団の作・演出家で、以前からTHE SHAMPOO HAT好きだったKERAが、やはり赤堀にアプローチして出演が実現した。KERAとしては、隅から隅までお気に入り俳優が揃った作品と言えるだろう。

≪この舞台のツボ [2] 今年はいくつ、名前を変える?≫

このKERA・MAPが5月だが、3月にはナイロン100℃サイドセッションとして劇団の若手公演を、さらに夏には最初に旗揚げした劇団健康の復活と、いつにも増して多忙でバラエティに富んでいる、今年のKERAの活動。多作になると、普通は1作のクオリティが落ちるものだが、KERAの場合、多作は常態であり、しかもむしろ、昨年あたりから作品のクオリティがどんどん冴え渡っていることを考えると、この風呂敷の広げ方は、自然にモチベーションが上がった結果と思われる。作家として、演出家として、この上り調子、ぜひとも目撃者になっておきたい。



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