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演劇・ミュージカル ギンギラ太陽's「翼をくださいっ!さらばYS−11」
ギンギラ太陽'S「翼をくださいっ!さらばYS−11」写真
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(2005/8/9)
この秋、パルコ劇場の歴史に“初の快挙”の文字が刻まれる。福岡の劇団ギンギラ太陽'sが公演を行なうのだ。自前のプロデュース公演でほとんどスケジュールが埋まる人気劇場ゆえ、地方の劇団が公演を打つこと自体珍しいが、初めての東京公演でいきなりパルコ劇場に進出するのは異例中の異例となる。だがギンギラ太陽'sは九州のみならず西日本ではその名を知られた劇団で、福岡での公演は3000人を集客するほど。人気の理由は、登場するのが人間ではなく、建物や乗り物、場所で、役者がそれらをかぶりモノで演じること。擬人化された建物や乗り物によって語られるのは、流通業界の新興勢力と旧勢力の攻防など、地元で実際に起きた(起きている)ドラマ。その手に汗握る展開は、ヘタな人間ドラマよりもずっと血が騒ぐ。「翼をくださいっ! さらばYS−11」は、一見華やかな航空業界の知られざる歴史を描いた物語だ。笑って感動して、見終わったあとは航空業界に詳しくなっているはずだ。

≪この舞台のツボ [1] キャッチフレーズは「人間が出てこないヒューマンドラマ」≫

人間以外のものに人格を持たせることを擬人化というが、ギンギラ太陽'sの物語に登場するのは、擬人化されたモノのみ。人間はひとりも出てこない。しかし、作・演出の大塚ムネトの取材力と筆力が、ひとつひとつの登場物にこまやかなキャラクターを持たせることに成功。まるで人間同士の間で交わされるような信頼関係、裏切り、自分にも身に覚えのあるつぶやきが描かれ、知らず知らずのうちに感情移入してしまう。役をすべてかぶりモノで表現するために、つい、子供だまし的なコメディと思いがちだが、実は非常に真っ当で骨太なストーリーであり、すぐれたエンターテインメント作品に仕上がっているのだ。ちなみにギンギラ太陽'sのかぶりモノは、非常に精巧なことで知られる。

≪この舞台のツボ [2] 階段を一段ずつ、登ってきました≫

ギンギラ太陽'sの正式な歴史は97年に始まる。その前は、福岡の幻想舞台という劇団内のコントユニットとして、不定期に活動をしていた。そして現在も主宰であり、作・演出・出演をかねる大塚ムネトを中心に正式な劇団となり、公演を重ねるように。最初から現在のスタイルで徐々に人気を広げ、動員数を伸ばしていく。定員1200名の劇場で公演したり、キャパの小さな劇場では1ヵ月ロングラン公演したり、着実に力を付けた結果、近年の公演では、何ステージやってもチケットは即完といわれている。02年には、彼らの人気ぶりとその理由を追うドキュメンタリー番組が西日本で放映されたほど。昨年は「南国から来た寒いヤツ」という公演のDVDがコンビニのローソン店頭端末Loppiで販売もされた。また、大塚氏は、放送界では最も権威のあるギャラクシー賞ラジオ部門で、昨年、脚本を担当したラジオドラマ「福岡天神モノ語り」が優秀賞を受賞。作家としての成長もうかがわせている。

≪この舞台のツボ [3] 地元ネタ満載なれど≫

ギンギラ太陽'sの作品のもうひとつの特色は、町名、通り名、店名、人名など、彼らの地元である福岡ゆかりの固有名詞が次々と出てくること。それを知らない人は最初は戸惑うかもしれないが、次第に、それはひとつの記号に過ぎず、物語全体の理解度には支障がないとわかるはず。というよりも、気がつけば、そんなことは忘れて舞台に没頭しているはずだ。たとえば、ダウンタウンが子供時代の近所の話をしていても充分に笑えるように、どこの誰が聞いても、ギンギラ太陽'sの地元ネタは笑え、また、泣ける。

★劇団公式HP⇒こちら


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